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連載

今月のイケメンシネマ★スター -あの映画のあのイケメンに直撃!-

「絶滅の恐怖と闘いながら、そこで踏ん張っている古い男に強烈にあこがれます」

第27回「イケメン★シネマスター」ゲストは、津田寛治さん!

絵に描いたような小市民の中年男が、軽犯罪者を逮捕できる“市民ポリス”制度の発動で権力を手にしたことで、あり得ない大事件に巻き込まれていく姿を描く映画『市民ポリス69』。人気漫画家・柳沢きみおのコミックを実写化した本作に、日本映画界代表する実力派俳優の津田寛治さんが出演しています。津田さんが演じるのは、テロ活動で制度崩壊を企む組織のボス・永井輝也。「時代遅れの男にあこがれます」という津田さんに、映画の話や男のロマンチスジムを直撃! そして密かに想いを抱く将来の夢までおうかがいしました。

津田寛治

profile


津田寛治

1965年8月27日生。福井県出身。北野武監督に見出され、『ソナチネ』で映画デビュー。数多くの劇場映画・テレビドラマに出演を重ね、確かな演技力と存在感で若手・ベテランを問わず、さまざまな名匠から信頼を寄せられている。北野武監督作品『Dolls』などで2002年度のブルーリボン賞助演男優賞を獲得。名実ともに日本映画界に必要不可欠な名優の地位を確立している。近作として『その街のこども 劇場版』『不倫純愛』など。
■津田寛治 オフィシャルウェブサイト

プロフィール

―― 今回の『市民ポリス69』は、津田さんの怪演が楽しめる映画に仕上がっていますね。


ありがとうございます(笑)。以前から本田(隆一)監督が大好きで、久々に今回お声をかけていただいてうれしかったです。オファーの時は違う役柄で、もっと若い人が演じるのかと思っていましたが、「津田さんはこちらの役で」ということで輝也という男に決まりました。輝也はギャングにあこがれていて、昔のギャング映画を引きずっているような感じで演じてほしいと。それで、ポーカーをくわえ煙草で興じているような男になっているんですよ。


―― 監督のイメージする津田さんのキャラクターに、輝也が初めからあったようですね。


以前『戦 IKUSA 第弐戦 二本松の虎』という映画でいただいた役柄も、ヤクザ映画に心酔するヤクザという設定で(笑)、共通点があって面白いですよね。僕はアメリカン・ニューシネマなどに出てくるような、サラミをナイフで食いちぎる強盗のようなイメージを試してみたり(笑)。そして、とにかくタバコを吸う。吸い終わったらその火でまた点けるので、ライターが要らない。そういう風にアイデアを入れ込み、イメージを膨らませてみました。


―― そして、主演が個性派の酒井敏也さん! 小市民像がピッタリとハマっていました。


大好きな俳優さんですし、一緒に参加できることもうれしかったですし、現場は楽しかったですね。以前ドラマでご一緒した時に気難しい方かなと思っていましたが、とても腰が低くて優しい方で、人柄も良かった。酒井さんのキャラクターは特異ですが、あまりにも今回は役柄とピッタリで、映画的でマンガ的ですごいです。何も言わず従順に奥さんから200円をもらって、こういう男もいると思わせる。酒井さんと重ねて見えるほどでした(笑)。

津田寛治

―― 権力を手にして欲望を満たそうとする酒井さん演じる主人公像は、いかがですか?


主人公の芳一は我慢の人生で爆発しないので、イラダチを覚えて観ていましたが(笑)、女の子との出会いがきっかけとなって、彼が麻酔銃を手に暴れ始めるあたりの気持ちは、わかるような気もしますよね。女性の存在が自分の力に変えられて、ステップアップしていける男って、見込みのある男のような気がするんですよ。僕は、女性は勝手についてくるものだと思っていましたが、女にモテたいから頑張るほうが爆発力はよりすごいですよね。

津田寛治

―― いっぽう、輝也のような時代遅れの男には、哀愁やロマンチシズムが漂っていますよね。


そうですね。1つの男のあこがれではありますよね。例の『ソーシャル・ネットワーク』のマーク・ザッカーバーグのように最先端を行く男へのあこがれもあるかもしれないけれど、そういうものに全然ついて行けず、我が道を行く古い男がカッコいい。ネットや企業戦士になどに、「いつか自分も」という想いがありながらも、どこかで自分には無理で、絶滅してしまう恐怖感がある。だからこそ、そこで踏ん張る人間には、強烈にあこがれますよね。

津田寛治

―― ちなみに、津田さんご自身は、マークと輝也で言えば、どちらに近いタイプですか?


僕は完全にアナログです。理想を言えば、デジタルを使いこなしたい願望がありますし、「価格.com」もよく利用していますが(笑)、最近考え方が変わったんですよ。昔はデジタルでアナログをやろうと思っていました。たとえばフォトショップにしても、ワンクリックでできてしまうところをツールで終わらすのではなく、手間をかけて手作業でしかできないエフェクトで作るとか。最近はそれすらも辞めて、デジタル自体に頼らなくなりましたね。

津田寛治

―― 世間はデジタル全盛ですが、この先、津田さんはどのように生きていきたいですか?


映画作りについて言えば、後処理を考えず、すべて現場で作る。そこで映ったものがすべてで、そこで妥協したものは後処理をしない。すべて現場で完結させるような、そういうアナログな作り方にあこがれますね。実は、映画を撮りたい夢があるんですよ。俳優としては余計なものをそぎ落とした演技を目指しながら、監督としては主観映像で主人公が出てこない、主人公の目線だけの映画を撮ってみたい。楽しみに待っていてほしいですね(笑)。

津田寛治さんの「My Favorite Movie」

『松田優作 DVD BOX デジタル・リマスター版』[DVD]

『松田優作 DVD BOX デジタル・リマスター版』[DVD]

日本映画界が誇る名優・松田優作の没後20年を記念して、松田優作の代表作の数々を、デジタル・リマスター処理を施してDVD-BOX化。『蘇える金狼』『野獣死すべし』『人間の証明』『探偵物語』の4作品を収録。キャスト勢には、風吹ジュン、小林麻美、岡田茉莉子、薬師丸ひろ子ら豪華女優陣が顔を揃えるほか、監督勢には、村川透、佐藤純彌、根岸吉太郎ら名匠たちが集結。今もフォロワーが絶えない松田優作の魅力が凝縮された必見アイテムだ。

監督:
村川透、佐藤純彌、根岸吉太郎
出演:
松田優作、風吹ジュン、小林麻美、岡田茉莉子、薬師丸ひろ子 ほか

「アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンの『さらば友よ』という映画がありました。初めて観たのが小学校3年生ぐらいで、テレビ番組の「ゴールデン洋画劇場」か何かで観て、とても衝撃を受けて、自分の洋画、映画の入り口になりましたね。ゴジラなどの子どもが観るような映画ではない、大人の映画に惹かれ始めたころです。俳優を仕事として意識し始めたのが、松田優作さん。角川映画でガンガンやっているのを観ていて、俳優はすごいなあと。最初は、映画を作りたいという想いだったんです。その想いのまま俳優を初めて、今に至る感じですね。リアルな演技にすごく惹かれるので、今回の輝也で言えば反体制、ジョン・カサヴェテスっぽいところを出したかったというのか(笑)、そういう演技を目指したいですね。」

出演映画紹介

『市民ポリス69』

『市民ポリス69』

「特命係長 只野仁」などで知られる人気漫画家・柳沢きみおの同名コミックを実写映画化したセクシー・アクション。気弱な中年男が犯罪検察組織“市民ポリス”に選ばれたことで、予想外の事態に巻き込まれ、抑制していた男の欲望に目覚めていく姿をポップに描く。ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中。


(C) 2011 トランスフォーマー/オフィス桐

『市民ポリス69』オフィシャルサイト

『市民ポリス69』公式ブログ

『市民ポリス69』 (shimin_police) on Twitter




【キャスト・スタッフ】

監督:本田隆一

原作:柳沢きみお

出演:酒井敏也、早見あかり、原紗央莉、桐生コウジ、斎藤陽子、錦野旦(特別出演)、津田寛治、清水章吾、佐藤二朗、藤原健太、山本浩司、つぶやきシロー ほか

配給:トランスフォーマー

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出演映画紹介

取材・構成・撮影/大滝功(OFFICE NIAGARA)

映画ライター。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活」の初代編集長。 現在はフリーのライター/プロデューサーとして雑誌などに連載をもつほか、数々の映画サイト及び映画コンテンツのプロデュースを手がける。 映画の趣味はミーハーで、マスコミ側のくせに“全米ナンバーワン!”のコピーに容易に踊らされる36歳。

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