「新型」というよりも「新生」。そう表現したくなるくらい大きな進化…
(2013年6月19日掲載)
2012年9月21日掲載
2012年9月21日の発売を前にして、auとソフトバンクの両社が、iPhone 5で使用するLTE回線の詳細を相次いで発表した。ここでは、LTEの基本知識から、auとソフトバンクによるLTEサービスの違いを解説。さらに、両キャリアでのiPhone 5に関する月額料金の比較や、テザリングの状況、割引プランにいたるまで解説しよう。
※料金・割引プランは、両キャリアとも2012年9月21日現在での内容になります。内容が変更される場合がありますのでご注意ください。
にわかに注目を集めている「LTE(Long Term Evolution)」とは、携帯電話の次世代高速通信規格のこと。国内では、NTTドコモが「Xi」という名前で2010年12月24日より、商用サービスを開始しているが、LTE対応が特徴のアップルの新スマートフォン「iPhone 5」の登場にあわせて、auからは「4G LTE」のサービス名で、ソフトバンクからは「SoftBank 4G LTE 」というサービス名で、2012年9月21日より同時にサービスが開始されることになったのだ。 このLTEの最大の特徴は、データ通信の速度が速い点だ。現在主流の3G通信方式では、ダウンロード時で、auの「WIN HIGH SPEED」が9.2Mbps、ソフトバンクの「3Gハイスピード」が14.4Mbpsの最高速度になっているが、LTEでは、最大37.5Mbpsや75Mbpsという従来とは比較にならない高速な通信が可能となる。また、データ通信で発生するタイムラグが3G回線より短いため、レスポンスが速く、使用感もスムーズになる。Webページのような、細かなデータを大量にダウンロードするような場合でも、サクサクと動作するのだ。
なお、スマートフォンに限らず、LTE対応のデータ端末は、いずれも従来の3G回線にも対応している。このため、LTEサービスの圏外であっても、従来同様に通信が行えるのだ。かつて、NTTドコモの3G回線「FOMA」が登場した頃のように、通話エリアがなかなか広がらないといった問題が起こらないのはとても心強い。
こうした特徴を備えたLTEは、データ通信を多用するスマートフォンに、新たな魅力を加えてくれる、きわめて重要なキーテクノロジーなのだ。
いよいよ9月21日から開始される、auの「4G LTE」と、ソフトバンクの「SoftBank 4G LTE」の両LTEサービスを、スペックの面から比較してみた。
「4G LTE」と「SoftBank 4G LTE」のスペック比較
| キャリア名 | ![]() |
![]() |
|---|---|---|
| 名称 | 4G LTE | SoftBank 4G LTE |
| 受信時最高通信速度 | ・37.5Mbps ・75Mbps ・112.5Mbps ※112.5Mbpsは2013年の予定 |
・37.5Mbps ・75Mbps |
| 送信時最高通信速度 | 25Mbps | 25Mbps |
| 基地局数 (申請している数、ソフトバンク調べ) |
4516 | 10673 |
| 使用する周波数帯 | ・2.1GHz帯 ・1500MHz帯 ・800MHz帯 ※1500MHz帯と800MHz帯は年内開始予定、ただしiPhone 5では使用しない |
2.1GHz帯 |
| 当面の通話エリア (実人口カバー率で2012年度末までに) |
96% ※2.1GHz帯、1500MHz帯、800MHz帯合計 |
92% |
両社のLTEサービスを比べてみると、最高通信速度や実人口カバー率などの面で、auのほうが有利に見える。auでも「最強のスマホネットワーク」を目指しており、ライバルよりも高い回線品質をアピールしているが、この比較表からもそれは読み取ることができるだろう。特に来年をめどに、112.5Mbpsのサービスを予定している点は大きな魅力だ。また、この表には記載していないが、「4G LTE」では、「eCSFB」という新技術が採用されており、待機時の電力消費削減や、音声通話の発信から着信までにかかる時間の短縮、3 G基地局⇔LTE基地局の引継ぎ(ハンドオーバー)にかかるタイムラグを減らすといった、細かな改良が施されており、技術力の高いauらしいサービスに仕上がっている。
いっぽうのソフトバンクは、申請しているLTE基地局数の多さを理由に、iPhone 5で使用する2.1GHz帯で比較するなら、自社のほうが通話エリアが広いと主張している。また、ソフトバンクでは、他キャリアでは最近頻発している全国規模の大きなネットワーク障害が、この1年発生していないことや、各種媒体の調査による3G回線の実際の通信速度を根拠に、ネットワークの安定性と実際の速度でも有利である、とも主張している。
ただ、ネットワークの品質は、こうしたスペックだけでは判断できない。回線速度は、瞬間瞬間で変化するネットワークの負荷状況に依存する部分が大きいし、基地局の数が、通話エリアの広さを意味するとは限らず、基地局の機材の能力や細かな運用ノウハウも重要になる。回線の品質については、両社の過去の実績から判断するのがもっとも現実的であるといえるが、その点では、現状auのほうに軍配が上がるだろう。
次に、毎月の月額料金から両キャリアを比較してみよう。今回はiPhone 5の新規購入、MNP、機種変更を使った購入という3つの事例をベースに、モデルとなる料金を調べてみた。なおここでは、端末自体の負担金や通話料は除外している。
新規購入の場合のiPhone 5の月額料金を比較
| キャリア名 | ![]() |
![]() |
|---|---|---|
| 基本料金 | LTEプラン:980円
※「誰でも割」適用の場合 |
ホワイトプラン(i):980円 |
| インターネット接続料金 | LTE NET:315円 | S!ベーシックパック(i):315円 |
| 定額パケットプラン | LTEフラット:5,460円
(容量7GBまで) ※12月31日までのLTEフラットキャンペーン(i)適用 |
4G LTE 定額プログラム:5,460円
(容量無制限) |
| 合計 | 6,755円+通話料 | 6,755円+通話料 |
新規購入の場合の月額基本料金は、両キャリアとも6,755円で変わりはない。ただし、ソフトバンクの「LTE定額プログラム」は、データ容量が無制限であるのに対し、auの「LTEフラット」は7GBを超えた場合に速度が128kbpsに制限される点で大きく異なっている。
MNPの場合のiPhone 5の月額料金を比較
| キャリア名 | ![]() |
![]() |
|---|---|---|
| 基本料金 | LTEプラン:0円
※「女子割(2年)」+「誰でも割(2年間)」適用の場合 |
ホワイトプラン(i):0円
※「のりかえ割」、「【新】 iPhone かえトクキャンペーン」適用の場合(2年間) |
| インターネット接続料金 | LTE NET:315円 | S!ベーシックパック(i):315円 |
| 定額パケットプラン | LTEフラット:5,460円
(容量7GBまで) ※12月31日までのLTEフラットキャンペーン(i)適用の場合 |
4G LTE 定額プログラム:5,460円
(容量無制限) |
| 合計 | 5,775円+通話料 | 5,775円+通話料 |
MNPを使って他キャリアから乗り換えた場合も、基本料金が無料という点も含めて、通話料を除けば料金月額は2つのキャリアとも5,775円で同じだ。ソフトバンクの「のりかえ割」と「【新】 iPhone かえトクキャンペーン」はそれぞれ期間が1年に限られているので、両方を適用させると期間の2年間、「ホワイトプラン(i)」の基本料金980円が無料となる。auの「女子割」も、「誰でも割」で値下げされた980円の基本料金「LTEプラン」を24か月分にするものなので、割引効果としては同等といってよいだろう。
機種変更の場合のiPhone 5の月額料金を比較
| キャリア名 | ![]() |
![]() |
|---|---|---|
| 基本料金 | LTEプラン:980円
※「誰でも割」適用の場合 |
ホワイトプラン(i):490円
※「iPhone かいかえ割」適用の場合 |
| インターネット接続料金 | LTE NET:315円 | S!ベーシックパック(i):315円 |
| 定額パケットプラン | LTEフラット:5,460円
(容量7GBまで) ※12月31日までのLTEフラットキャンペーン(i)適用の場合 |
4G LTE 定額プログラム:5,460円
(容量無制限) |
| 合計 | 6,755円+通話料 | 6,265円+通話料 |
同キャリア内での機種変更の場合では、ソフトバンクのほうが「iPhone かいかえ割」を適用させることで、月額490円分だけ安くなる。ソフトバンクのiPhoneユーザーは多いことから、同キャリア内で乗り換えたほうがおトクになる計算だ。
このほか、ソフトバンクのLTEパケット料金には、下限2,100円、上限 6,510円の2段階プラン「パケットし放題 for 4G LTE」が用意されており、データ通信を多用しないユーザーなら料金を大きく抑えることができる。基本的には自宅のWi-Fiを使い、ごくたまの外出時に3GやLTE回線を使うといったスタイルなら、月額料金を2,000円台半ばから3,000円台前半程度までに抑えることも夢ではない。
上記の月額料金に加えて、auとソフトバンクではさまざまな料金の割引プランを用意している。注目したい割引プランのひとつは、提携する光ファイバー回線やCATVサービスを組み合わせることで、月額料金を割り引きするものだ。特に、auの「au スマートバリュー」は、最大2年間、毎月1,480円(永年980円、最大2年間500円)を割り引くというかなり意欲的なメニューである。しかも、この割引は家族にも適用され、最大で家族の使うauの携帯電話10回線まで適用される。対象となる光ファイバー回線は、KDDIの「auひかり」や「auひかりちゅら」に限らず、「コミュファ光」や「eo光」「Pikara」などの他社サービスでも利用可能だ。CATVも、「J:COM」や「JCN」などの大手サービスに限らず、地方のローカルCATV局まで豊富に対応しているのが魅力で、潜在的な対象ユーザーは実はかなり多い。
いっぽうのソフトバンクでも類似のサービスとして「4G/LTEスマホBB割」をこのたびスタートさせる。割引額は永年980円、当初の2年間はさらに500円が上積みされ合計1,480円となる。こちらはソフトバンク系の通信サービスである「ホワイトコール24」および「ホワイトBB」、「ケーブルライン」「ひかりdeトークS」への加入が条件となっている。
ソフトバンクでは、今回かなり特殊な料金割引プランを新たに用意した。ひとつは「スマホ下取りプログラム」で、iPhone 5などのLTE対応スマートフォンの購入者を対象に、ソフトバンク製の旧スマートフォンの買い取りを行うというもの。買い取った金額は、現金としてではなく毎月の利用料金から1,000円ずつ割り引かれる形で還元される。たとえば、「iPhone 4S」の64GBモデルを下取りする場合、下取り額は20,000円となっているので、20か月にわたり毎月の通話料が1,000円割り引かれることになる。下取り対象の商品と、その割引額は以下の表に記載するが、iPhoneだけでなく、一部のAndroidスマートフォンも対象になっている点にも注目だ。
「スマホ下取りプログラム」での下取り価格
| 商品名 | 下取り額 |
|---|---|
| iPhone 4S 64GB | 20,000円 |
| iPhone 4S 32GB | 18,000円 |
| iPhone 4S 16GB | 16,000円 |
| iPhone 4 32GB | 12,000円 |
| iPhone 4 16GB | 10,000円 |
| iPhone 4 8GB | 8,000円 |
| iPhone 3GS(すべて) | 5,000円 |
| iPhone 3G (すべて) | 4,000円 |
| X06HT、X06HTII、001HT | 3,000円 |
| 001DL、101DL | 2,000円 |
さらに、ソフトバンクではもうひとつ「4G/LTEスマホ家族キャンペーン」が開始される。これは、「iPhone 4」または「iPhone 4S」から、iPhone 5のようなLTE対応スマートフォンに機種変更した際に生じた旧型端末を、家族向けに転用させるために、新規に回線契約した場合、パケット料金を2年間1,980円に抑えるというものである。これに基本料金の「ホワイトプラン(i)」980円と、インターネット接続料金「S!ベーシックパック(i)」315円を組み合わせれば、月額3,275円で旧型iPhoneを使い続けることができるのだ。
子供向けに、新規にスマートフォン契約をするのは負担が大きい、と考えている場合などに便利なプランといえるだろう。
※「スマホ下取りプログラム」と「4G/LTEスマホ家族キャンペーン」の実施期間は、9月21日から11月30日まで
「Wi-Fiテザリング」とは、スマートフォンをモバイルWi-Fiルーターとして使う機能で、ノートPCや携帯ゲーム機などを、家の外でもインターネットに接続させられるようになるというものだ。
この、Wi-Fiテザリングに対応していたのは、データ通信専用のモバイル回線「WiMAX+」に対応している一部のauのスマートフォンか、NTTドコモのスマートフォンに限られていた。しかし、auとソフトバンクでは、このたびiPhone 5でWi-Fiテザリングを解禁することになったのだ。両キャリアのWi-Fiテザリングの違いを比較してみよう。
auとソフトバンクのiPhone 5でのテザリングサービスの違い
| キャリア名 | ![]() |
![]() |
|---|---|---|
| テザリングオプション料金 | 525円
※12月31日まで申し込みなら最大2年間無料 |
525円
※12月31日まで申し込みなら最大2年間無料 |
| オプション料金に含まれる通信容量 | 500MB/月 | なし |
| パケット料金やオプション料金に含まれる通信可能なパケット量の合計 | 7.5GB/月 | 7GB/月
※パケットし放題フラットfor 4G LTEの場合7.5GB |
| パケット超過後のオプション料金 | 2,625円/2GB | 2,625円/2GB |
| サービス開始時期 | 2012年9月21日より対応 | 2013年1月15日より対応 |
auとソフトバンクともに料金面ではあまり大きな差はない。ただ、ソフトバンクについては、テザリングオプションを契約した場合には、パケット量が無制限だったところが毎月7GBへと制限がかかるようになる。auについては初めから7.5GBに制限されている。なお、両キャリアともにパケット制限を超過しても128kbpsでの通信は継続して行えるが、2,625円/2GBのオプション料金を支払うことで、速度を回復させることができる。
また、テザリングを利用できる時期については、auが9月21日のiPhone 5購入当初から対応するのに対して、ソフトバンクでは年明けの2013年1月15日からの対応となっている点が大きく異なる。
iPhone 5の登場に際して、いち早くテザリング対応を発表したauだが、ソフトバンクも先日テザリング対応を発表したほか、旧型端末の下取りや家族向けの転用を促す「4G/LTEスマホ家族キャンペーン」などを発表して対抗しており、割引プランの豊富さでは、ソフトバンクが有利な状況となっている。
気になるLTE回線のエリアや帯域などの品質については、スペックだけでは判断できないが、auのLTE回線で使われる新技術「eCSFB」は、待機時の消費電力の点でも有利という特徴があり、技術的な優位性はauのほうに分がありそうだ。
いずれにせよ、話題のテザリングについてもソフトバンクがついに解禁に踏み切ったこともあり、au版かソフトバンク版、どちらの「iPhone 5」を選ぶのかは非常に悩ましい状況になっている。
記事・検証 価格.comマガジン編集部/党員四號
教育テレビ(Eテレと言うべきなのだが、やっぱりなじめない)の「0655」で流れる「のりこえるの歌」は、不器用な中年労働者の心に響きますな…