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8色のカラバリ、プラチナバンドにも対応する小型ベーシック機 

放射線測定スマホ「PANTONE 5」を首都圏近郊で使ってみた

念願だった900MHz帯の「プラチナバンド」を取得し、勢いづくソフトバンク。そんなソフトバンクが放つ、「プラチナバンド」に対応したこの夏の新機種の中でも、「PANTONE 5 107SH」(シャープ製、以下PANTONE 5)は、コンパクトなボディにガラケー機能を完備し、さらに、ガンマ線測定機能までも備えた異色のスマートフォンだ。今回は、通常のスマートフォンとしてのレビューに加え、2011年3月に起こった原発事故により、放射線量多くなったとされる首都圏のホットスポットで「PANTONE 5」の放射線測定機能を検証してみた。

プラチナバンド対応、ガラケー機能完備、そしてクリアな発色の「リフレクトバリアパネル」を採用するなど、充実の基本性能を備える「PANTONE 5」

ソフトバンクのAndroidスマホの底辺を固めるベーシックモデル

「PANTONE」は、従来のケータイから続くソフトバンクの端末ブランド。その名の通り、色見本で知られる米PANTONE社とのコラボレーションモデルであり、鮮やかなカラーバリエーションで知られるブランドだ。ハードウェア的にも、コンパクトなボディと、その時代で必要とされる基本機能を網羅しており、ソフトバンクの端末では、ユーザーの多いベーシックモデルに位置づけられている。7月14日に発売された「PANTONE 5」は、同シリーズ初のスマートフォンだ。

まずは、「PANTONE 5」のボディサイズと重量を見てみよう。本体サイズは、約58(幅)×115(高さ)×12(厚さ)mmで、重量は約116gとなっており、854×480表示に対応する約3.7型液晶ディスプレイが組み合わされている。ボディのサイズは厚みが少々あるものの、最近登場したソフトバンクのスマートフォンの中では、冬モデルの「102P」に準じるコンパクトさだ。液晶は、表面のガラスと液晶本体の間にあった隙間をなくした「リフレクトバリアパネル」が採用されている。この「リフレクトバリアパネル」は、シャープ製のスマートフォンでもハイエンドモデルに採用されていたもので、明るい場所での視認性や、クリアな発色が特徴となっている。特に、本機の場合、屋外での放射線測定を行うことを考えると、明るい屋外での視認性はかなり重要といえよう。

約58mmという横幅で、ボディはかなりコンパクト

曲線基調でデザインされている背面。コンパクトなボディと相まって、手の小さなユーザーでも持ちやすい

表面のボタンは、液晶の一部を利用したタッチ式。配列は、左からひとつ前の画面に戻る「バック」、ホーム画面に戻る「ホーム」、いろいろな機能を呼び出す「メニュー」、起動中のアプリを切り替えたり終了させる「タスク」という配列

「PANTONE」シリーズは、幅広いユーザーに使われるベーシックモデルという位置づけと、PANTONEの色見本イメージを具現化するため、従来からカラーバリエーションはとても多かった。今回の「PANTONE 5」も、8色ものカラーバリエーションが用意されている。ブラックやホワイトのような基本的なカラーに加え、ピンクだけで濃淡の2種類が用意されていたり、オレンジやイエローなど非常に鮮やかなカラーも用意されるなど、PANTONEブランドのカラフルなイメージはそのまま踏襲されている。

スマートフォンとしては異例の8色のカラーバリエーションを用意。いずれのカラーも「Roman(ローマン)〜」というネーミングで、イタリアをイメージしたカラーとなっている

右側面には、ボリュームコントロールと、ストラップホールが装備される

左側面には、電源スイッチが備わる

小型スマートフォンでは省略されることの多いヘッドホン端子を、上面に搭載している

次は、機能面を見てみよう。本機の機能面での目玉は、この7月25日から開始されたソフトバンクの新電波サービス「プラチナバンド」に対応している点だ。900MHz帯の電波を利用する「プラチナバンド」は、ソフトバンクが従来から提供していた、2.1GHz帯や1.5GHz帯の電波と比べて、建物などの遮蔽物を回りこみやすく、電波の到達距離も長いといった特徴があり、携帯電話に適した特性を備えている。今までソフトバンクの端末が不利とされていた郊外や、ビルの乱立する都市部、地下街やビルの中でも原理上つながりやすくなるはずだ。現在、全国で基地局を急ピッチで整備している最中なので、今後、通話エリアが大幅に改善されるだろう。なお、プラチナバンドの利用に際し、追加料金や設定は必要ない。

このほかの機能としては、いわゆるガラケー機能として、FeliCaポート、ワンセグ、赤外線通信を備えているほか、ボディはIPX5/7等級の防水仕様と、IP5X等級の防塵仕様をクリアしている。本機は、幅広いユーザーをターゲットにした製品ということで、ケータイから継承されるこれらの機能の搭載はかなり重視されているようだ。

カメラは、有効画素数約490万画素のCMOSセンサーを採用したメインカメラと、約30万画素のCMOSセンサーを使ったインカメラを搭載している。メインカメラは、最大解像度2560×1920の静止画と、HD(1280×720)の動画撮影に対応している。この夏のスマートフォンでは800万画素クラスのカメラが主流になっているため、それらと比べるとスペック的にはやや劣るが、起動はクイックで、キーロック画面(ウェルカムシート)からカメラの起動にかかる時間はわずか約0.4秒。シャッターチャンスを逃さずに撮影が行えるのはメリットだ。

約490万画素のメインカメラ。解像度の面ではほかの上級スマートフォンに比べると少々劣るが、起動にかかる時間は短くフットワークにすぐれる

ベーシックモデルでは省略されがちなインカメラもしっかりと搭載されている。インカメラは、Android 4.0の顔認証ログイン機能「フェイスアンロック」などで使うことができる

バッテリーの容量は1460mAh。シングルコアCPU機としてみると標準的な容量だ。連続待受時間は約500時間、連続通話時間は約530分(いずれも3G)で、かなりの長時間駆動に対応している

搭載される放射線測定機能の精度をチェック

本体の前面にあるボタン「クイック起動」を押すことで、ガンマ線の空間線量をすぐに計測できる。なお、カメラやメールアプリなど、別のアプリの起動ボタンとして使うこともできる

「PANTONE 5」の存在をユニークたらしめている最大の特徴は、放射線測定機能を備えている点である。本機の放射線測定機能は、「半導体式」と呼ばれるもので、ガンマ線の空間線量を0.05~9.99マイクロシーベルト/時の範囲で計測することができる。機能としては、最近増えてきた家庭用の簡易放射線測定器に相当すると言ってよいだろう。

これらの簡易放射線測定器と比べた「PANTONE 5」の優位性は、データの保存や管理が行いやすい点だ。また、スマートフォンらしく、地図データと連携して、計測した線量のデータと場所の関係を把握しやすくなっているのもかなり便利である。なお、放射線測定機能はソーシャルメディアとの連携はとられていない。これは技術的な理由ではなく、計測結果が一人歩きしてしまうことを防ぐための配慮だ。

測定モードについては、「常時測定」と「しっかり測定」という2種類の測定モードを備えている。「常時測定」は、歩きながらその瞬間瞬間の線量を計測することができるものだが、精度はばらつきがあり、突拍子もないような数値が計測されることがある。いっぽうの「しっかり測定」は、特定の場所に静止して、2分間静止した状態で線量を計測するので、常時測定より精度は高い。

しっかり測定は、地上1mの位置で2分間計測することでより正確な空間線量を測定する

線量データの計測ログが端末に残る点が、専用の家庭用簡易放射線測定器と比べた優位性だ

計測した数値は、このように地図上にまとめて表示できる

放射線の常時測定をオンにしておけば、キーロック画面で空間線量を表示することができる

放射線のホットスポットとして知られる、千葉県北西部の流山市中央部にある個人住宅の敷地内の空間線量を、クリアパルス社のシンチレーション式の空間線量測定器「Mr.Gamma A2700」と、本機の計測結果で比較してみた。なお、「Mr.Gamma A2700」は、エネルギー補償機能を備えており、「PANTONE 5」よりひと桁細かい単位で高い精度の計測が行える。なお、計測は、地上1mの地点で行っており、なるべく条件をそろえるようにしているが、屋外での検証ということもあり、実験室のような完全に同一の条件ではないことをお断りしておく。

  PANTONE 5
(しっかり計測)
Mr.Gamma A2700
道路と玄関の中間 0.17μSv/h 0.165μSv/h
庭シート張り 0.21μSv/h 0.167μSv/h
庭北東隅シート張り中木下 0.29μSv/h 0.212μSv/h
雨水枡その1 0.05μSv/h 0.161μSv/h
雨水枡その2 0.17μSv/h 0.145μSv/h
雨水枡その3 0.12μSv/h 0.239μSv/h
雨水枡その4 0.12μSv/h 0.154μSv/h
雨水枡その5 0.25μSv/h 0.189μSv/h
奥庭シート張り 0.08μSv/h 0.173μSv/h
庭(東)シート張り 0.12μSv/h 0.202μSv/h
駐車場雨どい排水口 0.05μSv/h 0.247μSv/h

両者の数値を見てみると、比較的近い値が出ているところもあるが、「PANTONE 5」のほうの数値にばらつきがあり、「Mr.Gamma A2700」では比較的高い線量を記録した場所でも、ほとんど線量を計測できなかった場合が数回あった。

線量の低い都心部では、もっぱら0.05〜0.08マイクロシーベルト/毎時の範囲だったので、大まかな線量の目安としては十分参考にはなるだろう。ただし、本格的な測定器ではないため、本機の放射線測定機能の使い方としては、ひとつひとつの数値に振り回されることなく、何か所も計測してみて、その土地の大まかな線量の傾向を見極めるといった使い方が適しているようだ。また、突発的に高い数値を計測することもあったが、誤差の可能性が高いため、数回繰り返して計測してみたほうがよい。

なお、線量計は、時間が経つと徐々に誤差が生じてくるのだが、「PANTONE 5」の線量計は、キャリブレーションを後で行うことができない。そのため、時間が経った端末では線量の誤差が大きくなる可能性がある。この点は十分に注意しておきたい。

処理スピードは十分だが、ストレージ容量は少なめ

次に、「PANTONE 5」の処理能力面を見てみよう。CPUには「MSM8255(1.4GHz)」が採用される。このCPUは、シングルコアということで、世代的には1年ほど前のスマートフォンで多く採用されていたものだが、本機は、1GBというRAM容量と組み合わせることで、処理速度はそれほど遅いとは感じない。確かにデュアルコアCPU機と比べると動作に弱冠の引っかかりはあるものの、メールやソーシャルメディアや、Webページの閲覧といった基本的なインターネット機能などで不満を感じることはない。本機の体感速度では、液晶パネルのタッチ感度に独自のチューニングを施した「ダイレクトトラッキング技術」も好影響を与えている。画面スクロールの追従性や、文字入力の際の反応性も悪くなく、操作性は悪くない。

ただし、データやアプリの保存に使う内蔵ストレージは4GBで、そのうちユーザーが使うことのできる容量は約0.9GBとあまり大きくない点はやや心配だ。長期間にわたって使い続けていると、データ保存容量が不足する可能性があるので、早めに容量の大きめなmicroSDカードに交換するか、データやアプリのインストール先になるべくmicroSDメモリーカードを選択したい。

次に、「PANTONE 5」の実際の処理速度を調べるため、ベンチマークアプリ「AnTuTu ベンチマーク」を使ったベンチマークテストを行った。停止できるアプリは可能な限り停止させ、データ同期、Wi-Fi、Bluetoothなどとの通信を停止させた状態で5回立て続けに計測し、最高値と最低値を除外した3つの数値の平均値を掲載している。なお、比較対象として、ソフトバンクの2011年冬モデルで、同じCPUを搭載する「AQUOS PHONE 103SH」と、NTTドコモの夏モデル「AQUOS PHONE st SH-07D」のスコアも合わせて掲載している。

  総合スコア RAM CPU integer CPU Float
-point
2D Graphic 3D Graphic Database IO Sdcard Write Sdcard Read
PANTONE 5
CPU:MSM8255
(1.4GHz、シングルコア)
RAM:1GB
画面解像度:480×854
Android 4.0
3817.7 468.7 963.7 412.7 299.0 1070.0 386.7 41.3 175.7
AQUOS PHONE 103SH
CPU:MSM8255
(1.4GHz、シングルコア)
RAM:512MB
画面解像度:540×960
Android 2.3
3724.0 481.7 978.0 421.0 296.7 1117.0 338.3 37.7 53.7
AQUOS PHONE st
CPU:MSM8255
(1GHz、シングルコア)
RAM:1GB
画面解像度:480×854
Android 4.0
3099.0 335.7 679.7 294.7 296.7 1004.7 345.0 41.3 101.3

「PANTONE 5」のトータルスコアは、3817.7となった。これは、最新のデュアルコアCPUと比べると、およそ半分強のスコアだが、シングルコアCPU搭載スマートフォンとしてみると、なかなか優秀である。同じCPUを搭載し、動作クロックも同じ「AQUOS PHONE 103SH」とサブスコアを比較しても大きく劣っているところはなく、特にネックとなっている性能は見当たらない。SDメモリーカードの書き込みに当たる「Sdcard Write」のスコアが少々低いが、これは高速なSDメモリーカードに交換することで多少改善される余地がある。

放射線測定機能やカラバリ目当てでも、不満の少ないベーシック機

放射線が気になる人にとっては注目の、本機に備わる放射線測定機能だが、あくまで、簡易的なものであり、測定精度はさほど高いわけではない。ピンポイントの空間線量を把握するというより、いろいろな地点で計測して、その土地全般の線量の傾向を知るといった目的で使ったほうがいいだろう。

プラチナバンドがスタートしたばかりのソフトバンクで、これから端末を購入するならプラチナバンドに対応するモデルを選んだほうがいい。その中でも、「PANTONE 5」は、完備されたガラケー機能を備えたコンパクトなスマートフォンとして、バランスの取れたモデルといえる。

コンパクトかつカラフルなボディといった外見の魅力や、放射線測定機能などを目当てに選んでも、機能や性能の面で大きく落胆することはない本機は、スマートフォンになっても「PANTONE」らしく、しっかりとした基本性能を備えたベーシックモデルに仕上がっている。

複雑なAndroidの画面を再構成したユーザーインターフェイス「Feel UX」を搭載。初めてスマートフォンを使うユーザーには親しみやすいだろう

記事・検証 価格.comマガジン編集部/党員四號

今回放射線の検証を行ったのは実は自宅。本機の放射線測定機能は、他人事ではなく気になっていた。気軽に線量がわかるのは便利だが、その数値をどう活用するかでオピニオンは大きくわかれる。将来起こるかもしれない健康被害よりも、こうした数値を数字をどう理解するかが、一住民としての直近の悩みどころだ。

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