「新型」というよりも「新生」。そう表現したくなるくらい大きな進化…
(2013年6月19日掲載)
2012年7月12日掲載
筆者は取材に出かけるときは、ほとんどノートPCを持ちかなくなった。出先での用はもう「新しいiPad」で用が足りるからである。懸念であった日本語変換も、標準のものがだいぶこなれてきているし、ATOKが使えるアプリATOK Padを使えば、おかしな変換で困ることもない。
ただ唯一、キーボードだけはソフトウェアではタイプ速度が追いつかない。画面から目を離すと位置がわからなくなるので、タイプミスが増えるからである。
そんなわけで、いつもiPadとApple純正のワイヤレスキーボードを持ち歩いていたのだが、困るのが移動中の電車内などでタイプする時である。カバンの上でiPadを平置きしてキーボードを使うと、周りの人から何やってるか丸見えというデメリットが発生する。
電車内ぐらい我慢しろよと思われるかもしれないが、こういうところで生産性を上げていかないとフリーランスは稼げないのだからしょうがない。
キーボードカバーと一体になるキーボードも各種でているが、どうも重さと厚さが気になっていた。iPad単体はカバーを付けてもスリムなので、そのスリムさがスポイルされるのがなんだかなぁ、ということなのである。
そもそも重いのはダメだ。ノートPCの重さに耐えきれずにiPadでなんとかがんばっているわけだから、足した結果ノートPCと同じ重量になるぐらいなら、最初からノートPCを持っていった方がマシである。
そんなジレンマを一気に解決する製品が出た。ロジクールのUltrathin Keyboard Coverである。
すでに米国では4月に発売されており、永らく日本での発売が待たれていた製品だ。販売の遅れから、まさかJISキーボード化とかいらんことしてるんじゃあるまいなと勘ぐったが、無事USキーボード配列で販売された。
厚さとしては新iPadとほぼ同じだが、側面のアールの感じが違う。カバーとして重ねた状態だと、まるでiPadの方がキーボード部で、キーボードのほうが液晶部のような印象を持たせてある。このあたりの軒を貸して母屋を取られる的なデザイン処理はなかなかうまい。
ヒンジ部分はAppleのオフィシャルカバーと同じで磁石でくっついているが、反対側は特にロックなど何もないので、手で押さえてないとパカパカ開く。このあたりはパソコンとは使い勝手は違う。
使用するときは磁石のヒンジを外して、キーボード面の溝にiPadをはめ込む。ここにも磁石が付いており、装着するとパチッと音がしてくっつく。iPad本体を持ち上げてもキーボードと外れないぐらいの磁力はあるので、開いたままでの移動でもバラバラになって困るということはない。
さて肝心のキータッチだが、さすがに本体がUltrathinなだけあって、ストロークがない。買ってから触ってみてちょっと残念な感じがしたが、実際にタイプしてみると、思いのほか指の疲れは感じられなかった。さすがそのあたりはロジクールのクオリティである。
キーのサイズと間隔はApple標準キーボードよりもやや小さく、ということは同時に横向きのソフトウェアキーボードよりも小さいのだが、物理キーボードだけあってタイプミスが起こることはなかった。というかそういうことを改めて意識して比較しなければ、気がつかないレベルである。
使ってないときは自動で節電しているようなので、意識してソフトウェアキーボードを使いたい時以外は、キーボードの電源は入れっぱなしでも問題なさそうだ。
キーボードとして使わなくても、幅広のiPadスタンドとしての役割もある。電車で膝の上に載せたカバンの上でも完全に安定するので、単にサイトをブラウジングするとかいった時も便利だ。
本当はパカッと開けてすぐ使える状態になってるといいのだが、いったんヒンジを外してセットするというワンアクションが入る。だがその手間をかけてても、これを使うメリットのほうが大きい。
オンラインストアで9,980円を高いという人もあるかもしれないが、風呂のフタみたいな純正カバーが4,500円もすることを考えたら、iPad 2以降のユーザーで文字入力が結構あるよーという人にはベストソリューションではないかと思う。まちがいなくiPadでの仕事効率はアップするだろう。
ライター/小寺信良
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITといったメディアを独自の視点で分析するコラムで人気を博す。主な連載は、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」、ITmedia「ケータイの力学」など。週刊メルマガ「金曜ランチボックス」も好評配信中。