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【最新デジタル&家電用語解説】電力供給も可能なスマホ向け次世代転送規格 

microUSBポートから映像が出力できる「MHL」

各社から、2012年夏モデルのAndroidスマートフォンが発表された。そのスペックをよく見ると「MHL(Mobile High-definition Link)」という見慣れない用語があることに気づくだろう。今回は、そんな新しい技術用語「MHL」の正体について解説しよう。

スマホから映像や音声をテレビなどに出力する新しい映像転送規格

MHLとは、米国のSilicon Image社が開発した、モバイル機器を対象にした映像&音声の転送規格だ。MHLを使えば、スマートフォンやタブレット端末のようなモバイル機器から、ケーブル1本でPC用モニターや大画面テレビ、またはAVアンプなどに映像や音声を出力できるようになる。

MHLは、映像については1080p(30fps)のフルHDまで、音声については7.1chのサラウンドまで対応しており、高品質な映像と音声の転送に対応している。HDMIのようなコンテンツ保護にも対応しているので、コピープロテクトのかかったデジタルデータの映像を出力することもできる。HDMIのように、接続機器間での電源のオン/オフ制御などの連携を行うことも可能だ。

以前から、サムスンの「GALAXY S」シリーズなど一部の海外メーカー製AndroidスマートフォンではMHLに対応していたが、2012年春以降に発売されたスマートフォンでは、国内メーカー製の「Xperia SX/GX」、「ARROWS X/Z/A」、「REGZA PHONE T-02D」、「AQUOS PHONE ZETA/sv」などにも搭載されている

MHLの大きな特徴は、専用の入出力端子は使わず、既存のmicroUSBポートを流用している点だ。そのため、使い勝手としては“映像出力できるUSBポート”のような印象を受ける。なお、HMLポートから出力された映像は、専用のアダプターを使うことで、HDMI信号に変換することもできるので、既存のモニターやテレビのHDMI入力端子に繋げることも可能だ。

MHL対応ディスプレイがない場合は、MHL→HDMI変換アダプター、グリーンハウス「GH-MHL-HDMIK」やエレコム「MPA-MHL005BK」などを介することで、通常のHDMIポートへ入力できる

モニター側のMHL端子は、HDMI端子との共用となっている。既存の端子を流用するのもMHLの特徴だ

HDMIとの大きな違いは、給電への対応

MHLのような映像転送規格としては、すでにHDMIがある。しかも、HDMIにはスマートフォンなど小型機器用の小型ポート「type D」が用意されており、これが搭載されるスマートフォンも珍しくはない。そうした中で、MHLが存在する理由があるとすれば、それは、MHLはHDMIと違い、電力供給に対応している点だ。MHLでは、USBと同様、電力供給が行えるため、たとえば、スマートフォンとテレビで接続して映像を映し出しているときに、同時にスマートフォンを充電することもできる。このため、動画再生の最中に途中でバッテリー切れを起こす心配がない。別途給電用の電源アダプターなどを持ち歩く必要がないのが最大のメリットなのだ。

MHL端子を備えた機器はまだ数が少ない。液晶ディスプレイとしては、サムスンの24型ディスプレイの「S24B750V」(写真左)や、23型ディスプレイ「S23B550V」が発売済みだ。ユニークな製品としては、AVアンプとして、オンキヨーの「Integra DTR-30.4」や「TX-NR616」(写真右)、「TX-NR515」などがあり、MHLを介してスマートフォンを本格的なAVシステムに組み込むこともできる

今後HDMIの代わりとして普及する可能性が高い新規格

MHLはまだ始まったばかりの規格だが、今後スマートフォンやタブレット端末で映像出力端子として使われていたHDMIに取って代わる可能性がある。

既存のmicroUSBポートを流用するMHLなら、本体サイズに制限のあるスマートフォンでも搭載しやすく、別途コネクターを装備する必要がないため、今後MHLに対応するスマートフォンも増えるものと思われる。出力側の対応機器はまだまだ少ないが、HDMI端子への変換アダプターを使うことで、既存のテレビなども接続できる。スマートフォンとAV機器を繋げるキーデバイスとして注目したい。

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