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Xi、デュアルコアCPU、HD液晶などを備えるフラッグシップモデル 

ドコモの“全部入り”スマホ「ARROWS X LTE F-05D」レビュー

2011年12月17日に、NTTドコモの冬春モデルのスマートフォン「ARROWS X LTE F-05D」(富士通製:以下、ARROWS X LTE)が発売された。高速通信が可能なLTEサービス「Xi(クロッシィ)」に対応し、ガラケー機能も備えているのがウリで、ドコモの今期における“全部入りモデル”の代表格と目されている。今回は、auから同日に発売された兄弟機「ARROWS Z ISW11F」との簡単な比較を交えつつ、その実力を徹底的に調査しよう。

軽量ボディが光る、待望の“全部入り”モデル

スクエアなデザインが特徴。大画面ディスプレイを採用する割に、横幅が抑えられており、持ちやすい。凹凸が抑えられているので、ジャケットやシャツの胸ポケットに入れても型崩れしにくい

まずは「ARROWS X LTE」の外観からチェックしよう。サイズは約64(幅)×129(高さ)×9.8(厚さ)mmと、今期発表されたXi対応4モデルの中ではもっとも薄い。4.3型という大きめの液晶を備えるものの、横幅も比較的抑えられており、女性の手でもホールドしやすい形状だ。重量もXi対応モデルでは最軽量の124gに抑えられ、auの「ARROWS Z ISW11F」と比べても、7gも軽く仕上がっている。全部入りモデルだが高密度なパッケージングが特徴となっているのだ。


ボディデザインは、基本的にはスクエアで、ソニー・エリクソンの「XPERIA acro」の雰囲気に近い。液晶の解像度は、720×1280のHD表示に対応している。東芝との提携で、モバイル液晶の技術を得られたことが影響しているようで、発色も良好だ。IPS液晶としては視野角はそれほど広くはないが、外出先で使うことの多いスマートフォンでは特にデメリットにはならないだろう。液晶の明るさは標準的で、屋内で使った場合、筆者としては最大輝度でもちょうどよい明るさに感じた。


タッチパネルについては、ちょっとカクカクしたり、大きくオーバーしてスクロールしたりすることもあった。このタッチパネルのフィーリングは、本機に限らずAndroid端末がiPhoneに、なかなか追いつけない部分のひとつだ。Androidの基本ボタンは、誤操作しにくいハードウェアキーが採用される。ただ、形状が細いので、慣れないうちはきちんと押せたのかどうか少し気を使う。また、左側面に形のよく似た電源ボタンと音量調節ボタンが配置されているが、指先の感覚だけでは間違えることがあり、この点でも多少の慣れが必要なところがある。

カラーはシックな「Blue Black」と、明るい「Magenta」の2色が設定される。auの兄弟機「ARROWS Z ISW11F」に用意される、ファインホワイト、ストリームブルー、ライブピンク、ネオブラックの4色と比べるとバリエーションがちょっと少なく、色もオーソドックスなものだ

左の「ARROWS X LTE」と、左の「ARROWS Z ISW11F」(au)を並べたところ。「ARROWS Z ISW11F」のサイズは約64(幅)×128(高さ)×10.1(厚さ)mm、重量は131gとわずかに大きい

背面は光沢仕上げで、指紋が目立ちやすい。ただし、カメラのレンズ部分を含めて凹凸はギリギリまで抑えられている

左写真の「ARROWS X LTE」のボタンはメニュー、ホーム、バックの3つ。ホームキーはメッキされ、サイズも少し大きくなっており、指先の感触で識別しやすい。右写真の「ARROWS Z ISW11F」のボタンもハードウェアキーだが、1枚板にホームボタンが乗っているようなデザインになっている。本体にプリントがなく、デザインもすっきりしている

上面には、microHDMI端子とmicroUSBポート、ヘッドホン端子、ワンセグのアンテナを備える

カバーを外したところ。防水仕様のため、カバーはしっかりしている。なお、microUSB端子とmicroHDMI端子はかなり隣接しているので、同時には利用できない

左側面に電源ボタンと音量調節ボタンが搭載される

右側面に備わるのはストラップホールのみ

底面のくぼみは、背面カバーを外すためのもの

採用されるAndroid プラットフォーム(OS)のバージョンは2.3.5だ。メモリーはストレージとして利用できるROMが8GB、システムが使うワーキングメモリー(RAM)が1GBと、上位機種らしく余裕の容量を確保している。内蔵ストレージの空き容量は初期状態で約4GBあり、アプリのインストール領域に不自由はしなさそうだ。なお、2GBのmicroSDメモリーカードも同梱されている。

Android OSのバージョンは2.3.5

初期状態で、内蔵ストレージの空き容量は4.09GB。2GBのmicroSDメモリーカードも同梱される

操作系は秀逸。プリインストールアプリはてんこ盛り

「ARROWS X LTE」のユーザーインターフェイスは、迷わず快適に利用できる洗練されたもの。ロック画面の解除も、キーを縦や横にロックをスライドさせる一般的なものではなく、ボタンをタッチするだけの操作になっており、解除が行いやすい。ホームアプリはドコモオリジナルの「docomo Palette UI」が標準だが、富士通独自の「NX! comfort UI」と、Android標準の「ランチャー」も内蔵しており、切り替えて使うことができる。メニューバーを下にフリックすると現れる「通知パネル」では、Wi-FiやBluetoothなどのオン・オフや画面の回転ロックなどに加えて、内蔵される「FMトランスミッタ」の切替もできる。FMトランスミッタを使えば、端末内の楽曲をワイヤレスでカーステレオなどから再生できる。

また、国産のスマートフォンらしく、プリインストールされているアプリが多い。初期状態のドローワー(アプリの一覧)を数えたところ、65個ものアプリが登録されていた。アプリはドコモのサービス関係が5つ、電話などの基本機能が18個、エンターテインメント関連が17個、便利ツールが17個、おサイフケータイ・ショッピングが3つ、設定に関係するものが5つとなっている。そのうちのいくつかは、アプリのダウンロードサイトへのリンクであるが、なかなかの数だ。起動した状態で、ワーキングメモリーの利用状況を見ると、すでに200MB以上を消費していた。だが、1GBのワーキングメモリーを積んでいるので、急いで削除するほどではない。ただ、アプリを絞り込めば、さらにスムーズな動作を見込める余地がありそうだ。

ロック画面の解除はボタンをタップするだけのカンタンな操作

初期状態のホーム画面はドコモ独自の「docomo Palette UI」になっている。ホームアプリの変更は「ホーム切替」アプリで行う

65個の機能・アプリがプリインストールされている。バックグラウンドでは24個のプロセスが実行されていた

さらに、富士通製スマートフォンの特徴である電子辞書アプリが、「ARROWS X LTE」にも搭載されている。インターネットにつながっていれば、オンライン辞書で調べ物をすることも可能だが、コンテンツの信頼性やオフラインでも利用できる点が、この電子辞書アプリの優位点だ。辞書データも「現代用語の基礎知識」、「広辞苑第六版」などの定番から、「みんなで国語辞典(2)新語辞典」や、「築地魚河岸ことばの話」のようなちょっと変わったものまで揃えられているので、実用性だけでなく、雑学的に楽しむこともできるだろう。

2月28日修正:記事記載当初、端末側に辞書データがプリインストールされていないと記載していましたが、実際には、端末によってプリンストールされているものもあるとのことでしたので訂正いたします。詳細は富士通のリリースページをご確認ください。

プリインストールアプリの「総合辞書+」を起動すると、辞書類を利用できるようになる

カメラは、メインが有効約1300万画素、サブが有効約130万画素。1920×1080のフルHD動画を撮影できるメインカメラは、オートフォーカス機能を備え、フォトライトも利用できる。静止画撮影では、接写や顔検出が可能で、手ぶれ補正機能も備えている。また、ISO25600まで増感できるので、薄暗い状況の撮影にも強い。メニューは使いやすく、フラッシュや解像度などはツールボタンをタップすることで簡単に設定できる。シーン別撮影など高度な機能も、画面上もしくは左端をフリックするとパネルが表示され、操作のほとんどをタッチ操作で完結できる。

カメラアプリの画面。アイコンをタップするとメニューがポップアップする。蛍光灯によるちらつきも調整できる

蛍光灯の下で、クリップの山を撮影した写真。やわらかい感じだが、発色は良好。サイズは4128×3096ドットで、ファイルサイズは1.17MB

ワンセグも搭載している。アンテナを引き出し、「テレビ」アプリを起動。数秒で番組が表示される。五反田の事務所では、建物の中でも電波の受信感度は良好だった。なお、高画質化エンジンを備えており動画の画質補完を行えるほか、動きの激しい映像をなめらかに再生させる「なめらかモード」を備えている。スマートフォンらしい機能としては、Twitterとの連動機能を備えており、ワンセグを見ながらTwitterに書き込んだり、ログを見ながらの視聴も行える。

ちなみにauの「ARROWS Z ISW11F」のアンテナは、ボディのカーブに合わせて先端にカバーが付いており、見た目はこちらのほうが良好。ただ、アンテナの可動域が狭く、「ARROWS X LTE」のように直角に立てるようなことはできない。

アンテナを引き出して、「テレビ」アプリを起動するとワンセグを視聴できる

このほか、富士通独自の手書き入力機能「NX!input」は、もちろん搭載されている。キーボードの上で文字をなぞることで入力が可能。漢字、カナ、記号をモード切替せずに高い精度で認識でき、十分に実用的だ。ただし、キーボードのフリック入力が無効になるのが惜しい。筆者の場合は、フリック入力の方が素早い入力を行えた。

ソフトウェアキーボードの上に手書きして文字を入力できる「NX!input」

「Dolby Mobile V3」に対応しているので、ステレオイヤホンを接続すればバーチャル5.1chサラウンドの音声を楽しむことが可能。なお、初期状態では無効になっている

高速通信規格「Xi」に対応し、テザリングも可能

「Xi」(クロッシィ)は、ダウンロード時最大37.5Mbps、アップロード時最大12.5Mbpsという高速性が特徴の次世代通信サービス。「Xi」端末は、FOMA通信モジュールも内蔵しており、「Xi」エリアでは、自動的に「Xi」に、郊外など非「Xi」エリアでは、FOMA端末としてデータ通信を行える。今回、「Xi」サービス圏内となる筆者の五反田の事務所内で速度を計測したところ、実効速度で下り約6.2Mbps、上り約1.3Mbpsという結果になった。スペックどおりではないが、FOMAの実効速度よりスピードは速く、サクサクとしたレスポンスで、Flashコンテンツも待たされることなく表示できる。「Dropbox」や「Evernote」など、高い回線速度を要求するクラウドサービスにも適した回線だ。

「Xi」の圏外ではFOMA回線に接続される。ただし、FOMAハイスピードとはいえ、下り7.2Mbps、上り5.7Mbpsというカタログスペックはちょっと残念。「Xi」対応端末の「GALAXY S II LTE」などで採用される、ダウンロード時最大14Mbpsの「FOMAハイスピード」と比べると、ファイルのダウンロードタイムで差が生じる場合がある。

いっぽうのauはLTEサービスを提供していないが、その代わりに「ARROWS Z ISW11F」はWiMAXモジュールを搭載している。こちらも同じ場所で計測したところ、下り約10.5Mbps、上り約4.5bpsという結果になった。対応エリアであればWiMAXの方が実効速度は速いようだ。

次に、「Xi」と「WiMAX」を、建物の中で使った場合の電波の到達性で比較しよう。「WiMAX」の場合、電波の比較的弱いエリアでは、電波の届きやすい窓際から離れると速度が大きく下がることがあるものの、「Xi」なら少々建物の中に入り込んでも速度の低下はそれほど顕著ではなかった。両者ともメリット・デメリットがあるので、用途を考えて選びたいところだ。

LTE接続状態で、通信速度計測アプリ「Speedtest.net」で「Xi」の回線速度をチェックした

USBテザリングとWi-Fiテザリングの両方に対応している。「Xi」の高速なインターネット回線をタブレット端末などで利用できるのは便利だ

最速ではないものの、高い処理能力

CPUには、1.2GHz動作のデュアルコアプロセッサー「OMAP 4430」が搭載されている。「GALAXY S II LTE SC-03D」などが搭載する1.5GHz動作のCPUよりスペックは劣るが、それでも十分に高速なCPUだ。実際の処理性能を調べるため、定番のAndroidスマートフォン用ベンチマークアプリ「Quadrant Advance」を利用してベンチマークを採ってみた。5回計測して、1位と最下位のスコアを除外した、3回分のスコアを平均した数値を採用している。

Quadrant Advanceベンチマークスコア

機種名 総合スコア CPU メモリー I/O 2D 3D
ARROWS X LTE
CPU:OMAP4430
(1.2GHz、デュアルコア)
RAM:1GB
画面解像度:720×1280
Android 2.3
2871 5935 2433 5025 473 488
ARROWS Z
CPU:OMAP 4430
(1.2GHz、デュアルコア)
RAM:1GB
画面解像度:720×1280
Android 2.3
2652.7 6143.7 2405.0 4216.7 467.7 492.7
モトローラPHOTON
CPU:Tegra 2
(1.0GHz、デュアルコア)
RAM:1GB
画面解像度:540×960
Android 2.3
2710.7 6117.7 2633.7 3798.3 245.7 757.7
GALAXY S II LTE
CPU:APQ8060
(1.5GHz、デュアルコア)
RAM:1GB
画面解像度:480×800
Android 2.3
3903.0 6484.7 2938.7 8476.7 596.0 1022.3

兄弟機ながら、「ARROWS X LTE」のほうが若干高い結果となった。サブスコアを見ると、「I/O」の差が、総合スコアの違いに現れているようである。今期最速との呼び声も高い「GALAXY S II LTE」のスコアと比較すると、かなり大きな差が付いているが、これは「GALAXY S II」のスコアだけが飛びぬけて高いと見たほうがよい。本機の処理能力は、今期の他のデュアルコア搭載スマートフォンと比べてみると、かなり高い部類である。


バッテリーの容量は1400mAhと、スマートフォン一般としてはけっして少なくはないが、1700mAh以上の大容量バッテリーを積んでいるほかの「Xi」端末と比べると、やや物足りない。実際のバッテリー消費量も大きめで、時々メールチェックしたり撮影したりといった使い方でも、半日も経つとバッテリーがなくなりそうになる。ヘビーに使うと、2時間程度でバッテリーを消費してしまうこともあった。「ARROWS X LTE」を長時間持ち歩いて利用するなら、モバイルバッテリーも常備したほうがよさそうだ。

また、ベンチマークアプリなどを動作させていると、端末が相当熱くなるのが気になった。今は冬なので問題ないが、気温が上がる夏は、熱暴走がちょっと心配になる。なお、「ARROWS Z ISW11F」(au)のバッテリーは1460mAhと弱冠容量が多いのだが、発熱により充電が止まるなど一部機能が使えなくなるケースが報告されている。筆者の端末を、試しに高温な場所に置いて酷使してみたところ、指摘されるような動作の停止は再現できなかった。しかし、この点で注意するに越したことはない。

内蔵のバッテリー。容量は1400mAhと「Xi」端末としてはやや少ない

がんがん使いたくなる快適・高機能なスマートフォン

充電機能付きクレードルを付属しているのはうれしいところ。なお、auの「ARROWS Z ISW11F」も充電できた

以上のように、「ARROWS X LTE」は、その装備の充実ぶりが注目に値するスマートフォンだ。処理性能も高いし、充電機能付きクレードルが付属しているのも便利だ。バッテリーの消費がやや大きいというネックはあるが、今後のアップデートなどで改善されることを期待したい。


IPX5/8に準拠する防水性能および防塵性能を持っているため、濡れた手で操作したり、雨に当たったり、仮に水中に落としても問題なく使い続けられるだろうし、多少の汚れも問題ない。赤外線通信ポートも備えるのでメールアドレスの交換などもカンタンだし、利用者の多いおサイフケータイも使える。「GALAXY S II LTE」や、「Optimus LTE」といった「Xi」搭載の競合モデルと比較しても、豊富な付加機能は大きなメリットといえよう。また、キャリアは違うものの、兄弟機となる「ARROWS Z ISW11F」と比較しても、ビルの中でも比較的つながりやすい「Xi」の特徴は、特に都市部で働くビジネスマンなどにはうれしいところだ。

ITライター/柳谷智宣 やなぎやとものり

パソコンからスマートフォン、ネットなど幅広く手がけるITライター。ありとあらゆるデジタルデバイスを使いこなす。主な連載はASCII.jpの「真似したくなるPC活用術」、近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)など。

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