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【連載】最新PCパーツラボ 第51回 

ついにきた! 3万円台の“Maxwell”採用ミドルレンジGPU「GeForce GTX 960」

自作PCやPCパワーアップに役立つ情報をお届けする「最新PCパーツラボ」。第51回は、 NVIDIAの最新GPU「GeForce GTX 960」をピックアップ。上位モデル「GeForce GTX 980/970」と同様に、省電力性能が向上した第2世代Maxwellアーキテクチャーを採用するミドルレンジGPUの実力をチェックしてみた。


記事:価格.comマガジン編集部 銭袋秀明

省電力性能が向上した第2世代Maxwellアーキテクチャーを採用するミドルレンジGPU

Maxwell世代、正真正銘のミドルレンジGPU

これまで登場してきたMaxwellアーキテクチャーを採用したデスクトップ向けGPUを整理してみると、ミドルレンジGPUの座が空席だったことがわかる。初めに登場したのがエントリーミドルの「GeForce GTX 750」「GeForce GTX 750 Ti」で、次に登場したのがハイエンドモデルの「GeForce GTX 980」「GeForce GTX 970」。ミドルレンジ帯のみ前世代Keplerアーキテクチャーのままだったのだが、今回、NVIDIAが投入したGeForce GTX 960は、まさにその空きを埋める存在だ。Maxwellアーキテクチャーが登場して10か月、ようやくミドルレンジGPUがお披露目されたのだ。

GeForce GTX 960は、新開発のGPUコア「GM206」を採用している。上位モデルGeForce GTX980/970と同じ第2世代Maxwellアーキテクチャーを採用するが、トランジスタ数は52億個から29.4億個へと約半分に縮小。ブロックダイアグラムでGPUコアの構造を確認すると、GPCが4基から2基に減り、GPCごとに接続されたメモリーインターフェイスも半分の128bitに減少している。GeForce GTX 980のブロックダイアグラムの上半分のみ残したような構成だ。

GeForce GTX 980のGPUコアのブロックダイアグラム

GeForce GTX 960のGPUコアのブロックダイアグラム。128基のCUDA coreを32基ごとに4つのコントロールロジックで分けた「SMM」(Streaming Multiprocessor Maxwell)が複数搭載されているなど基本的な構造は共通している

メモリーデータレートは7Gbpsだが、第2世代Maxwellでは、メモリーの帯域を節約するロスレス圧縮技術が使われている。これにより9.3Gbps相当の実効レートを実現しているとのことで、バス幅の影響を抑えている。

また、TDPがデスクトップ向けGTX 900シリーズの中でもっとも低い120Wとなるいっぽうで、GeForce GTX 970より高いクロックで動作するのも注目だ。リファレンスクロックは、コアが標準1126MHz、ブースト時1178MHzで、国内でリリースされた製品はどれもオーバークロックモデルだ。そのクロックは標準で1200MHz台が多く、なかには1400MHzに届きそうなモデルも存在する。NVIDIAでは高いクロック耐性を備えているとしており、それを裏付けるような高クロックモデルが各社からリリースされている。

オーバークロック耐性の高さを表すスライド。コアクロック、メモリーデータレートともに大きな伸びしろが示唆されている

電力効率はKepler世代のミドルレンジ「GeForce GTX 660」に比べ、2倍になったとしている

さらに映像に関する機能面でもGeForce GTX 980と同様にアップデートされている。4Kクオリティーの映像をフルHDディスプレーでも楽しむことができる「Dynamic Super Resolution」(DSR)をはじめ、低負荷で高品位なアンチエイリアシング処理ができる「Multi Frame sampled Anti Aliasing」(MFAA)もサポート。さらに、動画圧縮技術のひとつH.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)は、ハードウェアデコードとハードウェアエンコードの両方に対応した(GeForce GTX 980はハードウェアエンコードのみ対応)。

このように、GeForce GTX 960は、フルHDディスプレーでも4Kクオリティーの映像品質を楽しむことができる、ワットパフォーマンスにたけたミドルレンジGPUなのである。NVIDIAでは、“MOBA(Multiplayer online battle arena)”ゲーマーをターゲットにしており、「Dota」「League of Legends」「Heroes of Newerth」などのプレイに適したモデルとしている。

電力効率の高さや1080pでのゲームプレイなど、MOBAゲーマーに適したGeForce GTX 960

  GTX 960 GTX 970 GTX 760 GTX 660
アーキテクチャー
GPUコア
Maxwell
(GM206)
Maxwell
(GM204)
Kepler(GK104) Kepler(GK106)
製造プロセス 28nm 28nm 28nm 28nm
ベースクロック 1126MHz 1050MHz 980MHz 980MHz
ブーストクロック 1178MHz 1178MHz 1033MHz 1033MHz
CUDAコア 1024基 1664基 1152基 960基
テクスチャユニット 64基 104基 96基 80基
メモリータイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリーインターフェイス 128bit 256bit 256bit 192bit
メモリー容量 2GB 4GB 4GB/2GB 2GB
TDP 120W 145W 170W 140W
補助電源端子 6ピン×1 6ピン×2 6ピン×2 6ピン×2

Palit製GeForce GTX 960搭載ビデオカードの外観をチェック

今回テストで使用したGeForce GTX 960搭載ビデオカードは、Palit製のオーバークロックモデル「Palit GeForce GTX 960 Super JetStream (NE5X960T1041-2060J)」。デュアルファン構成の2.5スロットを占有する大型クーラーを搭載する。

主な仕様は、ベースクロック1279MHz、ブーストクロック1342MHz、搭載メモリーGDDR5 2GB、メモリーデータレート7.2Gbps(クロック7200MHz相当)。コアとメモリー両方ともオーバークロックされている。補助電源端子は6ピン×1。モニタ出力端子は、DisplayPort×1、HDMI×1、DVI×2という構成だ。ビデオカードの外観は以下のとおり。

全体

基板裏面

側面

側面

後方

ブラケット側

Palit GeForce GTX 960 Super JetStreamは、低負荷時に2つのファンが停止するセミファンレス機能を搭載する。電源を入れたあとファンの回転が始まり、OS起動後約40秒後には停止した。また、ゲーム系のベンチマークを走らせているときは、速い段階でファンが周り始める。ベンチマーク中にファンが止まることはなく、ベンチマークが終わったあとにすぐファンが停止することもなかった。ファンが止まるのは3分〜5分後だった。ちなみに、高負荷時の状態でファンが回転するとき、コイル鳴きのような音が確認できた。GeForce GTX 960搭載ビデオカードすべてのモデルでそうだとは言い切れないが、少し気になる点だろう。



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