連載 - ライター・編集部員による定期連載 -

【連載】 最新PCパーツラボ 第9回 

初の6コアCPU「Core i7 980X Extreme Edition」

Core i7 980X Extreme Edition

自作PCやPCパワーアップに役立つ情報をお届けする「最新PCパーツラボ」。第9回は、インテル製コンシューマー向けCPUの最上位モデル「Core i7 980X Extreme Edition」をピックアップ。従来モデル「Core i7 975 Extreme Edition」と比較し、最新6コアCPUの実力を見ていきます。

さっそくパフォーマンスをチェック!

今回は、2010年3月23日公開の「インテル「Core i7 980X Extreme Edition」ベンチマーク速報」で紹介した検証環境と同じ条件で、「Core i7 975 Extreme Edition」を検証。その結果と、「インテル「Core i7 980X Extreme Edition」ベンチマーク速報」で検証した「Core i7 980X Extreme Edition」の結果を比較・考察している。なお、「Core i7 980X Extreme Edition」の基本仕様に関しては、『インテル「Core i7 980X Extreme Edition」ベンチマーク速報』で詳しく解説しているので、そちらを参照していただきたい。

「Core i7 980X Extreme Edition」と「Core i7 975 Extreme Edition」の比較

 
Core i7 980X Extreme Edition
Core i7 975 Extreme Edition
アーキテクチャ
Westmere
Nehalem
対応ソケット
LGA1366
LGA1366
対応チップセット
X58 Express
X58 Express
CPUコア製造プロセス
32nm
45nm
CPUコア数
6
4
CPUコアクロック
3.33GHz
3.33GHz
ターボ・ブースト・テクノロジー
最大3.6GHz
最大3.6GHz
ハイパースレッディング・テクノロジー
スレッド数
12
8
スマートキャッシュ(共有L3キャッシュ)
12MB
8MB
QPI
6.5GT/s
6.5GT/s
対応メモリーモジュール
DDR3-1066
DDR3-1066
メモリーチャンネル数
3ch
3ch
TDP
130W
130W

なお、検証用PCの環境は以下の通り。

Windows 7エクスペリエンスインデックス

まずは、Windows 7標準のシステム評価ツール「エクスペリエンスインデックス」を実行してみた。CPU性能の結果は、「Core i7 980X Extreme Edition」が7.8、「Core i7 975 Extreme Edition」が7.4となった。「Core i7 980X Extreme Edition」と「Core i7 975 Extreme Edition」は、同じ動作周波数なので、キャッシュ容量と、コア数/スレッド数が影響したと考えられる。オーバークロックを行えば、「エクスペリエンスインデックス」の最大値7.9も目指せそうだ。

「Core i7 980X Extreme Edition」のWindows 7エクスペリエンスインデックススコア

「Core i7 980X Extreme Edition」のWindows 7エクスペリエンスインデックススコア

「Core i7 980X Extreme Edition」のWindows 7エクスペリエンスインデックススコア

「Core i7 975 Extreme Edition」のWindows 7エクスペリエンスインデックススコア

CineBench R11.5 64bit(MAXON Computer)

続いて、MAXON Computer社のベンチマークプログラム「CineBench」を使用し、パフォーマンスを検証する。今回の検証では、2010年2月に公開された最新バージョン「CINEBENCH R11.5」を使用した。

グラフ1:CineBench R11.5 64bit SCORE

グラフ1:CineBench R11.5 64bit SCORE

グラフ1が「CineBench R11.5 64bit」の各スコアだ。1スレッドで動作する「Rendering/シングルコア」は、CPUコア自体のパフォーマンスを、マルチスレッドで動作する「Rendering/マルチコア」は、CPU全体のパフォーマンスを、「OpenGL」はシェーディングパフォーマンスを表す。

「Rendering/シングルコア」は、CPUコアの動作クロックが同じためか、「Core i7 980X Extreme Edition」と「Core i7 975 Extreme Edition」の間でほとんど差が見られなかった。いっぽう、「Rendering/マルチコア」は、「Core i7 980X Extreme Edition」が、「Core i7 975 Extreme Edition」の1.9倍以上のスコアをたたき出した。コア数の違いははっきり出ているといえる。「OpenGL」に関しては、「Core i7 980X Extreme Edition」が「Core i7 975 Extreme Edition」を下回る結果となってしまったが、その差はほんのわずか。ほぼ互角といっていいレベルだ。

PCMark Vantage(Futuremark)

次に、Futuremark 社のベンチマークプログラム「PCMark Vantage」を使用し、システム全体のパフォーマンスを計測した。なお、各種設定は初期設定のままとなっている。

グラフ2:PCMark Vantage SCORE

グラフ2:PCMark Vantage SCORE

グラフ2が「PCMark Vantage」の各スコアだ。「Productivity」の項目以外のすべてで、「Core i7 980X Extreme Edition」が「Core i7 975 Extreme Edition」を上回っているが、なかでも「Communication」のスコアが非常に伸びているのがわかる。これは、アーキテクチャに新たに追加された「AES-NI」と呼ばれる命令群により、 AES暗号および復号化処理が高速化したためと考えられる。

また、CPUの性能が反映されやすい「Gaming」の項目についても、コア数とキャッシュ容量の多い「Core i7 980X Extreme Edition」が、「Core i7 975 Extreme Edition」を上回るスコアを示した。トータルのスコアを示す「PCMark」の項目も、これらに引っ張られる形で、若干上昇している。しかし、「CineBench R11.5 64bit」の「Rendering/マルチコア」で出たスコアほどの差は出なかった。

3DMark Vantage(Futuremark)

続いては、Futuremark 社のベンチマークプログラム「3DMark Vantage」を使用し、3Dパフォーマンスを見ていく。なお、計測モードは「Extreme」に設定。各種設定は初期設定のままとなっている。また、グラフは、「3D Mark SCORE」に反映される「GPU TEST」「CPU TEST」と、「3D Mark SCORE」に反映されない「FEATURE TEST」に分けている。

グラフ3:3DMark Vantage SCORE(3D Mark SCORE/GPU TEST/CPU TEST)

グラフ3:3DMark Vantage SCORE(3D Mark SCORE/GPU TEST/CPU TEST)

グラフ4:3DMark Vantage SCORE(FEATURE TEST)

グラフ4:3DMark Vantage SCORE(FEATURE TEST)

グラフ3と4が「3DMark Vantage」の各スコアだ。トータルの3D性能を示す「3D Mark」と、GPU性能を示す「GPU SCORE」「GPU TEST1」「GPU TEST2」、GPUの特定機能の性能を示す「FEATURE TEST」に関しては、ほとんど差がないものの、CPU性能を示す「CPU SCORE」「CPU TEST1」「CPU TEST2」では、やはりコア数とキャッシュ容量の多い「Core i7 980X Extreme Edition」が、「Core i7 975 Extreme Edition」をわずかながら上回るスコアを示した。

3Dゲームパフォーマンス

次は、実際の3Dゲームのパフォーマンスを見ていこう。今回は、カプコンのアクションアドベンチャーゲーム「BIOHAZARD 5」、スクウェア・エニックスのRPG「THE LAST REMNANT」、カプコンの格闘ゲーム「STREET FIGHTER IV」の3タイトルのベンチマークプログラムを用意した。いずれも、1920×1200ドットの解像度で計測している。

グラフ5:GAME BENCHMARK SCORE

グラフ5:GAME BENCHMARK SCORE

グラフ5がGAME BENCHMARKの各スコアだ。マルチスレッドに最適化された「BIOHAZARD 5」と「STREET FIGHTER IV」、マルチスレッドにあまり最適化されていない「THE LAST REMNANT」のいずれも、「Core i7 980X Extreme Edition」と「Core i7 975 Extreme Edition」の間に差はほとんど出なかった。

動画エンコード速度

続いて、マルチスレッドに対応したペガシスの動画エンコードソフト「TMPGEnc 4.0 XPress」を使用し、動画エンコードの速度を計測してみた。今回は、72秒・195MBのAVCHDファイルを、WMP形式とMPEG2形式に変換する時間を計測している。

グラフ6:動画エンコード速度

グラフ6:動画エンコード速度

グラフ6が「動画エンコード速度」の結果だ。コア数/スレッド数の多いCPUに有利なテストだが、予想通り「Core i7 980X Extreme Edition」が、「Core i7 975 Extreme Edition」を10〜15%ほど上回るスピードで変換作業を終えた。

消費電力

最後は、消費電力のチェックだ。今回は、システム全体の消費電力を、サンワサプライの「ワットチェッカーplus」を使い計測した。アイドル時の計測値 は、 PC起動10分後の消費電力とし、ピーク時の計測値は、「CineBench R11.5 64bit」ですべてのCPUコアを使用する「Rendering/マルチコア」を実行した際の最大消費電力とする。

グラフ7:消費電力

グラフ7:消費電力

「Core i7 980X Extreme Edition」は、コア数が「Core i7 980X Extreme Edition」1.5倍の6つに増えたものの、コアの製造プロセスを45nmから32nmに微細化することで、発熱量を示すTDPでは、「Core i7 975 Extreme Edition」と同じ130Wを維持している。そのため、システム全体の消費電力に関しても、アイドル時、ピーク時ともに、ほとんど同じ数値を示した。

まとめ

以上、「Core i7 980X Extreme Edition」と「Core i7 975 Extreme Edition」を使用し、そのパフォーマンスを比較してきたが、コア数やキャッシュ容量の増加により、動画エンコードといったマルチコアに最適化されたプログラムや、キャッシュ容量を多用するプログラムでは「Core i7 980X Extreme Edition」のすぐれたパフォーマンスを確認できた。現行のインテルのコンシューマー向けCPUの中で、最速な製品であるのは間違いないといえる。4月20日現在、価格.com最安値で118,000円と非常に高価だが、ハイビジョン動画編集などでより高いパフォーマンスマンスを求めるユーザーなら、ぜひ注目したい製品だ。

ただ、CPUのパフォーマンスはすばらしいのだが、それ以外の部分で問題が1つある。それは、6コアのCPUの性能を生かし、そのパフォーマンスを体感できるアプリケーションが限られているということだ。ただ、これに関しては、インテル側も認識しており、マルチスレッドに対応したソフトウェアの開発支援に取り組んでいるとのこと。今後、6コアCPUの性能を生かせるアプリケーションが増えてくれば、ますます人気が高まってくるはずだ。

※価格.com最安価格は2010年4月20日現在のものです

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