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サウンドクオリティも使い勝手も大幅にレベルアップ! 

28.5万円のポータブルハイレゾプレーヤー「AK240」速攻レビュー

iriverの最新ポータブルハイレゾオーディオプレーヤー「Astell&Kern AK240」(以下、AK240)は、DSDネイティブ再生やバランス出力など、今、ポータブルオーディオ業界で大きな注目を集めているトピックをすべて盛り込み、まさに究極のポータブルハイレゾオーディオプレーヤーを体現した製品に仕上がっている。日本国内では、「ポタ研2014冬(ポータブルオーディオ研究会)」で製品発表会が行われ、2月21日より発売が開始されることが、iriverの代理店を務めるアユートからアナウンスされているが、非常に注目度の高い製品なので、価格.comユーザーの中でも、気になっている方も多いことだろう。そんな「AK240」を今回、「ポタ研2014冬」での発表会に先駆けていち早く試用する機会を得た。さっそく、オーディオ・ビジュアル・ライターの野村ケンジ氏の音質インプレッションを交えながら、「AK240」の全容をお伝えしよう。

【2014年2月12日】ヘッドホン出力、アルバムアート表示に関する記述を修正いたしました

シーラス・ロジック製DACにジュラルミンボディ! 中身も見た目も大きく変わった「AK240」

すでに『iriverから最新ハイレゾプレーヤー「Astell&Kern AK240」登場!』でもお伝えした通り、「Astell&Kern AK240」は、AKシリーズで初の200番台のナンバリングを冠したモデルとなる。型番の数字と価格(直販価格:285,000円)からもおわかりの通り、AKシリーズの最上位モデルの製品となっており、従来のAKシリーズから大きな進化を遂げている。

上の写真は、今回試用した「Astell&Kern AK240」。20万オーバーのプライスが付いていることもあり、製品が入っているパッケージもかなり高級だ

なかでも音に関しては、内蔵DACがこれまでからガラリと変わっている。これまでのAKシリーズは、上位モデルの「AK120」を含め、すべてのモデルでWolfson製DAC「WM8740」を採用してきたが、「Astell&Kern AK240」では、新たにシーラス・ロジック(Cirrus Logic)製DAC「CS4398」を採用。AKシリーズの上位モデル「AK120」と同じく、 L/Rチャンネルそれぞれに独立して配置したデュアル構成を採用しているのだ。「CS4398」といえば、ハイエンドSACDプレーヤーなどに採用されているハイエンドDACだが、これを手のひらサイズのポータブルプレーヤーに2基も搭載したというのだから、サウンド面ではかなり期待が持てる。

さらに「AK240」では、搭載DACの変更にともない、最大192kHz/24bit、32bit(Float/Integer ※32bitは24bitダウンコンバート)と、最大DSD128(5.6MHz/1bit)のネイティブ再生も可能となった。従来、こういった音源は据え置きタイプでしか再生できなかったのだが、「AK240」は、ハイエンドDAC「CS4398」をポータブルプレーヤーのコンパクトな筺体の中に収めることで、ポータブル環境下でも楽しめるようになったのだ。

DSDファイルも、PCM変換再生ではなく、ネイティブで再生することができる

「Astell&Kern AK240」のサウンド面での進化はDACにとどまらず、ヘッドホン出力部分にも及ぶ。具体的には、アンバランスの3.5mmステレオミニに加え、新たに、2.5mmマイクロミニ(4極)タイプのバランス出力が用意された。デュアルDACの性能を余すことなく引き出す意味でも、バランス出力が新たに加わったのは大きい。出力インピーダンスについても、アンバランスでも2Ω、バランスでは1Ωとなり、「AK120」や「AK100MKII」の3Ωからさらに高出力になっているのもポイントだ。

DACの性能を引き出すため、バランス出力も新たに加わった。バランス出力は2.5mmマイクロミニ(4極)タイプとやや特殊だが、今後、サードパーティメーカーから対応イヤホンケーブルが出てくるとのことだ

もちろん、「AK240」の進化点はサウンド面だけではない。本体の外装についても、不要な共振を抑えつつ、ポータブルプレーヤーとして利用する上で重要な本体の軽量化と堅牢性を実現するため、ボディのメインフレームに、航空機でも使用されるジュラルミンの削り出し素材を、背面パネルに、カーボンファイバー素材のプレートをそれぞれ採用するなど、かなりこだわっている。

デザインに関しても、これまでのAKシリーズとは大きく異なるアシンメトリーのソリッドな筺体を採用。ジュラルミンのやわらかくも重厚な質感や、見る角度によってさまざまな表情を見せるカーボン素材も非常にクールで、「究極のポータブルハイレゾオーディオプレーヤー」の名に恥じない仕上がりだ。

左右非対称のアシンメトリーデザインを採用した「AK240」。ジュラルミンとカーボンファイバー素材を大胆に使い、サウンド面だけでなく、ポータブルオーディオプレーヤーとして利用する上で重要な本体の軽量化と堅牢性にも配慮している

本体側面には、AKシリーズでおなじみのボリュームダイヤルや物理ボタンに加え、microSDカードスロットも配置された。カードスロット自体は、これまでのAKシリーズのmicroSDスロット×2からmicroSDスロット×1に減ってしまったが、対応メモリーカードが最大128GBまでのmicroSDXCカードとなり、内蔵メモリーの256GBとあわせて最大384GBのメモリー容量を実現することができる

「AK100」「AK120」「AK240」を並べてみたところ。「AK240」は「AK120」に比べると一回り大きいものの、DAC性能などを考えると非常にコンパクトにまとまっている

実際に手に持ってみるとわかるが、重厚な見た目とは裏腹に、非常に軽量なボディに仕上がっている。背面のカーボンファイバー素材も、見る角度によって表情が変化し、非常にカッコいい

ちなみに、「AK240」のパッケージには、「AK120」と同ようにレザーケースが標準で添付されている。カラーはモスグリーンとなっており、マッドグレーのボディとの相性も抜群で、非常にカッコいい。ただ、ケースを付けてしまうと、本体背面に使われているカーボン素材の模様がすべて隠れてしまう。ケースを付けるか付けないかはかなり悩みそうだ。

付属のレザーケースは、モスグリーンカラーを採用。「AK240」の独特な形状に合わせて細部まで作り込まれており、しっかりとフィットする。ケースを付けても付けなくてもカッコいいデザインなのので、どちらにしようかかなり迷ってしまう

新ユーザーインターフェイスで使い勝手がアップ! Wi-Fi機能もかなり便利

ここまで、サウンド面と本体デザイン面について紹介してきたが、「AK240」は使い勝手も大きく向上している。特に、操作レスポンスについては、制御するCPUがデュアルコアにスペックアップしたことで、これまでのAKシリーズに比べるとかなり向上。タッチパネルを使って楽曲をスクロールするときや、楽曲を選択して再生するまでの反応は、「AK100」や「AK120」から明らかに速くなっている。唯一、処理不可の大きいDSDファイルの再生のみ、CPUの隠しコアを使用するため、再生開始までの時間が多少かかるが、それ以外はかなり快適なレベルだ。

また、タッチパネルを使ったユーザーインターフェイスについても、バックグラウンドのOSが、これまでのAKシリーズが採用していたLinuxベースの独自OSから、Androidベースの独自OSに変わったことで、これまでのAKシリーズで実現できていなかった機能が新たに実装されたり、弱点とされていた部分が改善しているなど、使い勝手がグンとアップしている。

画面上部に再生中の音楽ファイル情報、画面下部にテキストメニューが並ぶホーム画面であったり、タッチパネルで操作できるシークバーを備えたファイル再生画面、階層メニューを採用する楽曲ファイル選択画面、各種設定画面などは、一見するとこれまでのAKシリーズとあまり変わっていないように見えるが、細かい部分がかなり進化している

なかでも大きく変わったのがプレイリスト管理だ。これまでのAKシリーズは、プレイリストに楽曲を追加するときにファイル単位でしか追加できず、10曲追加するのに10回同じ操作を繰り返す必要があるなど、かなり面倒だった。これが「AK240」では、全楽曲から任意の楽曲を複数選んで追加できたり、タッチパネルでアルバムやアーティスト、フォルダーをドラッグ&ドロップすることで、ファイル単位でなく、アルバムやアーティスト、フォルダー単位で追加できるようになったのだ。

また、これまでのAKシリーズは、プレイリスト名や曲順変更といった編集もできなかったが、文字入力機能を使ったプレイリスト名の変更や、ドラッグ&ドロップを使った曲順変更も可能になった。正直なところ、これまでのAKシリーズのプレイリスト機能はかなり使いにくく、積極的に使おうと思えなかったのだが、機能拡充した新しいプレイリスト機能なら積極的に使っていけそうだ。

新しいプレイリスト機能では、タッチパネルの利点を最大限に生かし、複数選択やドラッグ&ドロップで曲を簡単に追加できるようになった

一度作成したプレイリストの曲順も、ドラッグ&ドロップの簡単な操作で入れ替えることが可能だ

また「AK240」では、Android OS搭載端末に実装されている通知領域のように、画面上部からスワイプして呼び出せるサブメニューが新たに追加されたのだが、これは、誤動作防止のロック機能やイコライザーのON/OFF、画面の明るさなどを瞬時に操作でき、非常に便利だ。しかも、サブメニューには、これまでのAKシリーズにはなかった機能として、「キーワード検索機能」も新たに実装されている。「AK240」の場合、256GBの内蔵メモリーを備えており、これまでのAKシリーズ以上に膨大な楽曲を持ち出すことができるわけだが、こうした膨大な楽曲の中からピンポイントで楽曲を探せるのはやはり便利だ。

画面上から指でスワイプして呼び出せるサブメニュー画面。ギャップレス再生のON/OFFや、リピート再生モードの切り替えなど、頻繁に利用するメニューに素早くアクセスできるほか、「キーワード検索機能」も利用することができる

ユーザーインターフェイスとは関係ないのだが、使い勝手の面では、楽曲データベースの更新が不要になった点も見逃せないポイントだろう。これまでのAKシリーズは、楽曲を追加するたびにデータベースを更新する必要があったが、「AK240」では楽曲を転送した瞬間にデータベースが更新されるため、microSDカードを後から装着する場合を除けば、データベースを更新する必要がなくなったのだ。また、これまでのAKシリーズでは、WAV形式の楽曲データを再生した際に、アルバムアートを表示することができなかったのだが、「AK240」では、WAV形式の楽曲データのアルバムアートを表示してくれるようになった。これも地味にうれしい進化点だ。

このほか、「AK240」では、AKシリーズで初めてWi-Fiを実装した点も大きな特徴だろう。Wi-Fiを活用した機能としては、同一ネットワーク内のパソコンに内蔵されている音源をストリーミングで再生したり、楽曲をWi-Fi経由でダウンロードできる「MQSストリーミング」と、特定の音楽配信サイトより直接ハイレゾ音源などの楽曲購入・ダウンロードできる機能の2種類が用意されており、前者は発売と同時に、後者は後日対応していくという。

「MQSストリーミング」は、同一ネットワーク内にあるパソコンに専用ソフトウェア「Astell&Kern MQS Streaming Server」をインストールし、ソフトウェアを起動しておくことで利用できる。「AK240」の場合、256GBの内蔵メモリーと最大128GBのmicroSDXCカードを併用することで最大384GBまで楽曲を持ち運ぶことができるわけだが、「MQSストリーミング」を使えば、同一ネットワーク内という制限はあるものの、内蔵メモリー+microSDXCカードの容量に加え、パソコン内部に保存している膨大な楽曲ライブラリーもワイヤレスで楽しめるようになる

「MQSストリーミング」では、楽曲ファイルのストリーミング再生に加え、楽曲ファイルを「AK240」の指定したフォルダーにWi-Fi経由でダウンロードすることもできる

AVライター 野村ケンジの音質インプレッション

斬新、かつ高級感あふれるデザインを持つ、重量感、存在感に大きく増したボディや、直販価格28.5万円!というポータブルプレーヤーとしてはほかに類を見ない超プレミアムなプライスタグなど、実際に製品を手にとったときは、あまりのハイエンドっぷりにただただ驚くばかりだったが、そのサウンドを聴いたとたん、さまざまな疑問が一瞬のうちに霧消した。ポータブルプレーヤーとは思えない、据え置き型の上級ネットワークプレーヤーやUSB DACと比較しても十分に拮抗しうる、高い実力を持ち合わせているのだ。

まず、基礎体力の高さが素晴らしい。SN感、なかでもノイズレベルの低さが「AK120」に比べても格段に向上。情報のすべてを余さず、しかも正確に伝えてくれるので、ボーカルやギターがググッと大きく前にせり出したかのような、距離感の近い演奏が楽しめる。おかげで、表現は他製品に比べるもなく格段にダイレクトだし、何よりも数枚ベールをはぎ取ったかのような明瞭さがうれしい。

いっぽう、解像度の高さも特筆もの。各楽器の演奏が、とてつもない細やかさで再現されるうえ、揺るぎのない定位感を持ち合わせているので、「この曲ってこんな表現だったのか」「こういうステージングだったのか」と、聴き慣れたはずの曲でも新たな発見があるくらい。CDの情報量も捨てたものじゃないと思えたし、何よりもハイレゾ音源が大きな伸びしろを持って、音質的なアドバンテージを発揮してくれている。ボーカルなどは、まるで本人が目の前で歌ってくれているかのよう。張り上げた声の力強さや熱気の高さに、思わず鳥肌が立ってしまうほどのリアリティを持つ。ダメだ、これはクセになる。ポータブルプレーヤーでここまで生き生きとした、情熱的なサウンドが楽しめるなんて、そうそうない。この音を一度でも聴いてしまったら、もう元の機器には戻れないかもしれない。

そう、iriverは、単なる高級ポータブルプレーヤーを作ったのではなく、屋外に手軽に持ち運べる、それでいて室内でもメインプレーヤーとしても十分に魅力的な、音質的にはポータブルプレーヤーとしての概念を、サイズ感や手軽さではホームオーディオの概念を、それぞれブレークスルーする、新たな価値観のハイエンドプレーヤーを作り上げてきたのだ。そう考えると、あのデザインもあの価格も納得できる。音質やデザインで比較すべきは、据え置き型のSACDプレーヤーであり、上級ネットワークプレーヤーなのだ。このように、「AK240」は、ポータブルプレーヤーというカテゴリーには収まらない、とてつもない新製品だといえる。

音質インプレッション:オーディオ・ビジュアル・ライター 野村ケンジ
取材・記事:価格.comマガジン編集部 金さん(^・x・^)

Astell&Kern AK240

Astell&Kern AK240

価格.com最安価格149,980

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