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CDの音を忠実に引き出すと音は変わる? 

ストリーミング再生対応で再注目のパイオニア「Pure Read」

「RealTime Pure Read」を搭載するパイオニアの、Mac用ポータブルブルーレイドライブ「BDR-XU02JM」

何気なく行っているCDのリッピング。読み込みが途中で止まったり、エラーが出なかったからといって、CDから正しいデータを取り込めているとは限らないことをご存知だろうか。特に古い音楽CDをリッピングする場合、キズなどが原因でエラーが発生し、このエラーを訂正しきれなかったところが補間データに置き換わってしまうことがある。少しずつ補間されると、再生した音を聴いても補間された音かどうかを聞き分けるのは難しいが、実は、知らず知らずの内にHDDやNASの中に補間されたデータの曲が増えてしまっているかもしれないのだ。


こうしたデータ補間を極力抑えて、CDに収められている音を忠実に読み取る技術がパイオニアの一部の光学ドライブに採用される「Pure Read」だ。登場からすでに約4年が経過している技術だが、今年春にさらなる進化を果たしている。これまではリッピング時にしか働かなかったのが、「RealTime Pure Read」としてストリーミング再生時でも利用できるようになったのだ。どれだけいいスピーカーやアンプをそろえても、まずはCDからデータを正確に読み取ることが肝心。PCオーディオが盛り上がっている今だからこそ、「Pure Read」および「RealTime Pure Read」が注目されているのだ。パイオニアの担当者の話を交えて詳しく解説していきたい。

音楽用CDは光ディスクファミリーの中でエラー訂正システムが一番弱い

「CD-DAに搭載されている『CIRC』(サーク)は、光ディスクファミリーの中でも、もっとも脆弱なエラー訂正システムです。訂正できなかった場合は、エラー部分の前後のデータから補間することが仕様で決められています。すなわち、正しいデータで読めないことがあることを認めているのです」。こう語るのは、パイオニアの石原完治氏(技術統括部第6技術部2グループ リーダー)。

そもそも音楽用CD(CD-DA)は、1980年代に登場した規格であり、それまで音楽用メディアはレコードが主流だった。CDのエラー訂正システムは、当時としては必要十分な性能だったが、現在は不十分で、そのエラー訂正能力はDVDやBDには到底及ばない。エラー訂正システムが弱いと、頻繁にデータ補間が発生してしまう。その結果、音質が変わったり、ときにはノイズが発生したりするのだ。

そんなデータ補間された音の違和感に気がついたのが、「Pure Read」の生みの親であるパイオニアの大下貴宏氏(技術統括部第6技術部主事)。あるとき、自分の演奏した曲とそれを記録したCDの音の違いに気付き、データが正しく再現されているかを機械で測定したところ、大量にデータ補間されていることがわかった。そこで、音楽CDの読み取り時にエラーが発生しても、勝手にデータ補間をしないで正しく読み出せるように「Pure Read」を開発した。

「Pure Read」は、独自のアルゴリズムでエラー部分を何度も読み込む(リトライする)ことで、音楽CDに記録された音を正確に引き出している。読み取るスピードを変えたり、ディスクの読み取り位置を変えたりしながら、エラー部分を何度も何度も読み込む。ひと言でいえば、「読めるまで努力する」(石原氏)のだ。正しく読むには、ファームウェアの高い精度に加え、ドライブのハードウェア性能が必要になるため、他社が簡単にまねできるものではないという。アルゴリズムに改良を加えながら、現在は第3世代の「Pure Read3」までバージョンがアップしている。

「Pure Read」の生みの親である大下氏(右)と「RealTime Pure Read」の開発を担当した石原氏(左)

「Pure Read」利用者の要望に応えた「RealTime Pure Read」

そんな「Pure Read」が、今年2013年3月にストリーミング再生時でも利用できるようになった。それがパイオニアのMac用ブルーレイドライブ「BDR-XU02JM」に搭載された「RealTime Pure Read」だ。前述の通り、「Pure Read」は、正しくデータを読み取るまでリトライを繰り返すため、時間的に余裕のないストリーミング再生との相性はよくない。リトライの影響で、再生中に音途切れする可能性があるためだ。そこで十分なバッファリング時間を確保し、音の途切れを防止。アルゴリズムも見直し、どうしても正しいデータが取れない場合は、音が途切れる前に補間されたデータを出力するようにして、ストリーミング再生時の「Pure Read」の利用を可能にした。

「RealTime Pure Read」の開発を担当した石原氏によると、「RealTime Pure Read」は、「Pure Read」利用者の要望に応えた機能だという。「Pure Read」でCDから正確な音を取り込むには、リッピング作業が欠かせない。HDDの中に膨大なライブラリーを構築している人にとっては、リッピング済みの曲を再度リッピングするのは面倒だ。手元にCDがあれば、リッピングし直さずに「Pure Read」の効果が得られる「RealTime Pure Read」はまさに、待望の機能といえる。

なお、現時点で「RealTime Pure Read」を利用できるドライブは、Mac用の「BDR-XU02JM」とWindows用の内蔵ドライブ「BDR-S08J」(Webアップデート)の2機種となっている。

「Pure Read」は、「ドライブユーティリティ」(赤枠)にてオン・オフが可能。「Perfect Mode」と「Master Mode」の2種類のモードが用意されている。「Perfect Mode」は文字通り、一切のデータ補間を許さないモードで、正確に読み取れない場合は読み込みを停止する。「RealTime Pure Read」機能のオンも、この「ドライブユーティリティ」で設定する

Mac用のブルーレイドライブ「BDR-XU02JM」。ボディには、動作時の振動が伝わりにくいマグネシウム合金素材を使用する。アップルの「MacBook」シリーズと統一感のある色味と質感に仕上げられている。スロットインタイプで、防塵効果の高い内部シャッター膜を採用。ディスクの風切り音を抑える仕組みも盛り込んでいる。価格.comでの最安価格は19,406円(2013年8月14日時点)

内蔵型ブルーレイドライブ「BDR-S08J」。BD-Rディスク(1層:25GB)への15倍速記録が可能なのが特徴。また、すべてのBDXLディスク(BD-R XL:3層100GB、4層128GB、BD-RE XL:3層100GB)への記録と再生に対応する。十和田パイオニア製造で信頼性も高い。2013年7月のWebアップデートにて「RealTime Pure Read」へ対応した。価格.comでの最安価格は19,500円(ピアノブラック、2013年8月14日時点)

「Pure Read」の効果を体感。その違いは?

「Pure Read」と「RealTime Pure Read」の効果を体験するため、パイオニアの視聴室にて試聴させてもらった。利用したのはMac用ドライブの「BDR-XU02JM」、パソコンは「MacBook Air」。スピーカーにはパイオニアの「S-UK3」、アンプには「RSDA302P」を使っている。それほど高級なシステムではない。

今回はパイオニアの視聴室にて、「Pure Read」と「RealTime Pure Read」の効果を確認した

曲は大下氏の演奏したピアノと、シューベルトの「IMPROMPTU IN E-FLAT MAJOR,D.899(Op.90)No.2」。いずれもCDの裏を見ると、汚れが目立って状態がよくないものだ。ちなみに、大下氏によると、見た目の汚れとエラーの有無は関係なく、きれいに見えるCDでもエラーが発生するケースがあるという。

まず、大下氏のピアノを視聴した。再生中にCDのエラーを測定するツールで、「RealTime Pure Read」のオンとオフの違いを見ると、オフ時は補間データ(赤い波形)が多く見られた(下写真)。「RealTime Pure Read」をオンにすると、赤い波形はなくなり、CDに収録された音を忠実に読み取れているのがわかる(測定には、大下氏が業務で利用しているWindowsパソコンを利用)。両方の音を聴き比べると、オフ時は一枚薄膜がかかったような印象なのに対して、「RealTime Pure Read」をオンにすると見通しのよいクリアな音質に変わった。聴き比べると、その違いは、はっきりとわかる。シューベルトの「IMPROMPTU IN E-FLAT MAJOR,D.899(Op.90)No.2」でも音の輪郭がはっきりし、余韻のあるホールで聞いているようなサウンドに様変わりした。いい環境で試聴したことも大きいが、CDの音を忠実に再現しただけで、これだけ音が変わるのには驚いた。

また、「Pure Read」を使ってMacBook AirのSSDにあらかじめ取り込んだ曲と、「RealTime Pure Read」でストリーミング再生したものも聞き比べたが、両者の違いは感じられなかった。ストリーミング再生でも「Pure Read」によって、CDに収録された音を正確に読み取っていることが体感できた。

視聴に利用した2枚のCD。大下氏が手に持っている左のCD(大下氏のピアノ演奏が収録されたもの)は、テスト用にタワシで傷を付けている。もう1枚は、テスト用に見つけた状態の悪い古いCDだ

補間データがどれだけ含まれるかを可視化するために大下氏が開発した専用のツール。左が「Pure Read」をオフで取り込んだ場合で、赤色の波形が補間データ。かなり補間データが含まれていることがわかる。右が「Pure Read」をオンにした場合。赤色の波形がなくなり、補間なしの緑色の波形となった

 

まとめ

「RealTime Pure Read」のオン・オフやモード変更に利用する「ドライブユーティリティ」には、どれだけ補間データが出力されているかを確認できる機能が搭載されている。これで、「RealTime Pure Read」の効き具合を視覚的に把握できるのだ。特にエラーの多いCDだと、オン・オフの音質差が著しいという。

「ドライブユーティリティ」にて、CDにどれだけエラーが含まれているかがわかる。画面右の赤色のバーがそれで、この場合、「Bad」とかなりエラーが含まれている。「RealTime Pure Read」をオンにすれば、エラーがなくなる

「Pure Read」は、CDリッピングの精度を高める強力なツールだ。CDの状態が悪ければ悪いほど、音質改善が期待できる。登場から4年以上が経過している機能で、目新しくはないが、PCオーディオのすそ野の広がりとともに、再び注目が高まっている。そこで登場した「Pure Read」をより手軽に使える「RealTime Pure Read」は、まさに待望の機能といえるだろう。「Pure Read」および「RealTime Pure Read」を利用するには、対応のドライブ(現時点では2機種)を用意する必要があるが、少しでも音にこだわるのであれば、導入を検討してみてはどうだろうか。

 
 
 

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