新製品レポート - ニューモデルの詳細情報をいち早くチェック! -

フルハイビジョン映像や高解像度写真も高精細に表示できる 

新ステージ突入!ソニーの84V型4Kテレビ「BRAVIA KD-84X9000」

2012年9月27日、ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」シリーズでは初となる4K(3840×2160)対応モデル「BRAVIA KD-84X9000」が発表になった(発売は11月23日)。画面サイズは、同シリーズ最大となる「84V型」だ。どうしてこの大型サイズで4Kモデルをリリースしたのか? その理由も含めながら特徴を紹介しよう。

84V型という圧倒的な画面サイズを実現したソニー初の4Kテレビ「BRAVIA KD-84X9000」。ボディサイズは213.7(幅)×151.1(高さ)×56.7(奥行)mmで、重量は97.9kg(フロアスタンド含む)。パネル解像度は4K(3840×2160)で倍速駆動に対応する。また、部分駆動対応のエッジ型LEDバックライトを採用し、バックライトのオン・オフ制御により4倍速相当の効果が得られる「モーションフローXR240」に対応。このほか、地上・BS・110度CSデジタルチューナーを2基備えており、外付けHDDへの録画機能も利用できる。ネットワーク機能では、「Sony Entertainment Network(SEN)」の利用に対応。消費電力は574W(待機時0.20W)。価格は168万円。受注生産ではなく、一定数の在庫を用意しながら販売するとのこと

スタンドは、床に設置する用のフロアスタンドと、ラックの上に設定する用のテーブルトップスタンドが付属。左がフロアスタンドを装着した状態で、右がテーブルトップスタンドを装着した状態となる。ちなみに、サイドスピーカーとフロアスタンドが装着された状態で梱包される

84V型という大型サイズながらも壁掛け設置にも対応する

新しい映像体験のために84V型4K液晶パネルを採用

「BRAVIA KD-84X9000」は、液晶テレビとして最大クラスとなる84V型の4K(3840×2160)液晶パネルを採用する、「4K表示対応の超大画面テレビ」である。ソニーが、最初の4Kテレビとして、この大きな画面サイズを選んだのは、「今までにはない新しい映像体験」を実現するため。それは単に「大画面で迫力がある映像を楽しめる」ということではない。ポイントとなるのは、大画面化・高解像度化によって、従来よりも「視聴距離を短く、視野角を広く」できることだ。

ソニーによると、80V型フルハイビジョンテレビの場合、最適な視聴距離(※一般的にパネルの高さの3倍)は約2.7mで、視野角は30度になるという。これは、人間の視界の中にテレビのフレームの外側が含まれるイメージだ。画面に近づけば近づくほど視野角は広くなるが、半面、精細感が落ちる。同時に、細かいところまで目が届くため、ノイズなど映像のアラが目立つことになる。80V型フルハイビジョンテレビでは、そういったマイナス要素を感じないギリギリの距離が約2.7mになるというわけだ。

いっぽう、今回発表された4K対応の84V型「KD-84X9000」は、フルハイビジョン(1920×1080)の約4倍の画素数を誇る。当然、フルハイビジョンよりも映像を高精細に表現することが可能となっており、画面に近づいても精細感は落ちない。ソニーは、「KD-84X9000」での最適な視聴距離は、80V型フルハイビジョンテレビの半分に相当する約1.6mとしている。この視聴距離だと、視野角は倍の60度に拡大するので、視界の大部分がフレーム内に収まり、映像の中にいるような臨場感・没入感を楽しめるという。これが、この新型4Kテレビの最大のポイント(=今までにはない新しい映像体験)だ。

ソニーは、「BRAVIA KD-84X9000」の最適な視聴距離を約1.6mとしている。これは、フルハイビジョンテレビの約半分の距離だ

左がフルハイビジョンテレビ、右が「BRAVIA KD-84X9000」での視聴イメージ。視聴距離が短くなり、視野角が広がる

新製品発表会のデモでは、最適な視聴距離(約1.6m)の位置にテープが貼られていた

新製品発表会のプレゼンテーションで登壇したソニーの今村昌志氏(ソニー 業務執行役員 SVP ホームエンタテインメント&サウンド事業本部長)は、「ハイビジョン画質は、当時、36型のブラウン管テレビで最適になるように定義されたフォーマット」と説明。続けて、「テレビの大画面化が進み、リビングでは40〜50V型が当たり前となっている最近では、画素ピッチの考え方を変えなければならない。最適な視聴距離を考慮すると、大画面ではフルハイビジョン解像度では足りないと考えている」と語った。

実際、発表会で展示されていた「KD-84X9000」のベータ機の映像を見ても、解像度と視聴距離の関係は納得できた。「KD-84X9000」で表示する4Kフォーマットの映像は、フルハイビジョン以上のシャープな描写であると同時に、画面に近づいてみても、画素が見えることなく精細感のある映像を楽しめるのである。

30pの4K映像をパソコンから出力し、「KD-84X9000」のベータ機で表示するデモの様子。フルハイビジョン以上の高精細な映像が映し出されていた

2Kから4Kに高精細なアップコンバートが可能

では、「KD-84X9000」で楽しめる4K解像度のコンテンツはどのくらい存在するのか? というと、現状では、4Kでの映像制作が始まったばかりであり、家庭で手軽に楽しめるものはほとんどない。だが、「KD-84X9000」のような4K対応の映像機器(プロジェクターやテレビ)は、何も4K映像だけを表示するものではない。パネルスペックは4Kであるものの、デジタル放送やブルーレイなどのフルハイビジョン映像(2K映像)をキレイに表示することに主眼を置いて開発されており、低解像度の映像を4K映像に変換する、高性能なアップコンバート機能を備えているのだ。

「KD-84X9000」の4Kアップコンバートの肝となるのは、新しい高画質回路「4K X-Reality PRO」だ。この新回路は、ソニー独自のデータベース参照型の超解像技術のパターン分類を「学習型」に進化させたアルゴリズムを採用するほか、処理を「2K→2Kの超解像処理」と「2K→4Kへのアップスケーリング&超解像処理」に分けているのが特徴。最初の「2K→2Kの超解像処理」では、入力されたフルハイビジョン映像に対してノイズ低減処理や複数枚パターン検出処理、データベース参照型の超解像処理を施し、映像を精査。これは、これまでの「BRAVIA」が搭載していた「X-Reality PRO」と同じ処理となっている。続いて、「2K→4Kへのアップスケーリング&超解像処理」では、4Kにデータベースを最適化した新開発の高画質回路「XCA8-4K」を用いて、4Kへのアップスケーリングとデータベース参照型の超解像処理を行う。これにより、デジタル放送・ブルーレイのハイビジョン映像を、より高精細で臨場感のある4K映像に変換することが可能となっている。

なお、「KD-84X9000」は、アップスケーリングの必要がない4K解像度の映像についても、「4K X-Reality PRO」での高画質処理を施す。具体的には、独自のパターンイメージ分析と、それにあわせた超解像処理により、鮮明でクリアな描写に仕上げるようになっている。

新製品発表会では、「KD-84X9000」のベータ機と、80V型相当のフルハイビジョン液晶テレビを使って、同じフルハイビジョン解像度の映像を比較するデモが用意されていた。このデモでは、映像の精細感で歴然とした差を確認できた。「KD-84X9000」は、元々がフルハイビジョン映像とは思えないほどの高精細な表示を実現。まだベータ機の段階であるためか、ややノイズが目立つ場合もあったが、立体感や奥行感も強まったと感じる高品位な映像であった。

フルハイビジョン映像を、「KD-84X9000」と80V型フルハイビジョンテレビで比較するデモ。ソニーの超解像技術は、入力映像をリアルタイムで画素ごとにパターン解析・分類し、データベース上に存在する最適な絵柄と照合することで、オリジナル映像の質感やディテールを生かして変換する。また、動きのある映像では、縦・横・斜め方向への被写体の動きを複数のフレームで参照・解析することで、動きによってぼやけが生じた部分の劣化を復元するようになっている。「KD-84X9000」の高画質回路「4K X-Reality PRO」では、「X-Reality PRO」に、4Kにデータベースを最適化した新開発の高画質回路「XCA8-4K」を組み合わせているほか、超解像技術のパターン分類が「学習型」に進化している

「KD-84X9000」は、パッシブ方式での3D表示にも対応。高画質回路「4K X-Reality PRO」を使って、ブルーレイ3Dのフルハイビジョン映像を4Kにアップコンバートしたうえで、画面上の偏光シートで左右それぞれ3840×1080ドットの3D映像として、水平に1ラインずつ振り分けて表示する。電池不要のパッシブ型3Dメガネを通して見ることで3D映像を楽しめる

高品位な写真再生とサウンドにも注目

高解像度な写真をキレイに表示できるのも、4Kテレビの見逃せない特徴だ。画素数でいえば、フルハイビジョンは約207万画素で、4Kは約829万画素となっており、4K 表示は、1500万画素を超えるような写真も、より細かいところまで表現することができる。「KD-84X9000」では、「PlayStation3」専用の編集・再生ソフト「PlayMemories Studio」との連携に対応しており、同ソフトから出力される4K解像度の静止画の表示が可能となっている(※「PlayMemories Studio」の4K出力機能は2012年度中に実装予定)。

コンパクトになった新型「PlayStation3」を使った4K写真のデモ

また、「KD-84X9000」は、映像だけでなく音にもこだわった製品だ。

一般的な液晶テレビは、本体下部に、下向きのスピーカーユニットを搭載しているものが多い。スピーカーの存在がわからないくらい、すっきりとした筐体デザインになる半面、ユニットの容積をそれほど確保できないうえ、下向きに設置されているため、音質面ではかなり不利な仕組みとなっている。

「KD-84X9000」は、少し古いタイプの薄型テレビがそうであったように、テレビの両サイドに大型のスピーカーボックスを配置。「10ユニットライブスピーカー」と呼ばれるシステムで、ボックスには、3種類10個のスピーカー(ツイーター×2、ウーハー×4、サブウーハー×4)が搭載されている。さらに、音声信号をフルデジタルで処理する「S-Master」と、アンプ回路、スピーカーシステム、筐体を含めて製品全体の音響特性を最適化する独自技術「クリアフェーズ」を搭載。フロントスピーカーだけで仮想5.1chサラウンド音場を再現する「S-Force フロントサラウンド3D」も備えている。

新製品発表会では、ステレオ再生時の音質を確認。中高音がクリアに再現されていたのが好印象であった。また、ボックス中央にツイーターとウーハーを配置するなどの工夫により、定位感がいいのも大きなポイント。画面の真ん中から音が出るようにうまく調整されているのだ。

「10ユニットライブスピーカー」は、ハウジングにアルミ素材を採用。ボックス中央にツイーターとウーハーを配置し、サイドにサブウーハーを並べることで、定位感にすぐれたサウンドを実現している。また、多くのネジでユニットを固定することで、不要な共振を抑制。なお、スピーカーボックスは取り外しが可能となっている

定在波の発生を抑えるために、5角形のキャビネットを採用するのも特徴。セリフなどが聞き取りやすくなっているという

背面と側面に、入出力インターフェイスを装備。HDMI入力は計4系統装備している(背面×2、側面×2)。そのうち背面の1系統と、側面の1系統が4K入力に対応。このほか、HDMI入力用オーディオ入力端子、D端子(D5)、ビデオ入力端子、PC入力端子(D-sub15ピン)、LAN端子、USB端子(×2)、光デジタル音声出力、ヘッドホン端子も装備。無線LAN機能も備えている

背面左側には、電源ボタンや音量調整ボタンを配置

背面には取っ手として使用する細いフレームが装備されている

感動をリビングに届ける“窓”。開発は“すり合わせ”にこだわった

高画質回路「4K X-Reality PRO」のチップや、「10ユニットライブスピーカー」を手にプレゼンテーションを行う、ソニーの今村昌志氏(ソニー 業務執行役員 SVP ホームエンタテインメント&サウンド事業本部長)

「BRAVIA KD-84X9000」は、84V型という画面サイズと、160万円を超える価格を考慮すると、「BRAVIA」シリーズの中では、販売台数や売上に大きく貢献することはない製品であろう。という書き方をすると、「またソニーが売れないものを作った」「市場では価値が低い製品」などと揶揄する声が聞こえてきそうだ。だが、この製品にはソニーが考える“テレビの価値”が詰まっている。単に「4Kテレビを出した」というわけではなく、これからのソニー製テレビの方向性を示す、重要な製品となっているのだ。


ソニーの今村氏は、新製品発表会のプレゼンテーションにおいて、同社が考えるテレビの価値・役割を「感動をリビングに届ける“窓”」と表現。今村氏は「大きい画面のテレビが欲しいという欲求は普遍のもの。KD-84X9000は、人間の5感に臨場感を届ける“窓”になる」と語った。先に紹介したとおり、「KD-84X9000」は、大画面をより近い視聴距離で視聴することで、今までのテレビにはない臨場感・没入感を得られるのが特徴。この新しい映像体験を実現するために、大型の4Kパネルを採用したのである。今村氏が「BRAVIAが実現したいこと・考えていることを世に問う、これまでにはない新しいテレビ」と語ったことからも、「KD-84X9000」を皮切りに、同社は、大画面の4Kテレビを積極的に展開していくはず。あわせて今村氏は、「BRAVIA」シリーズは今後、ローエンドモデルを減らし、大画面モデルが中心のラインアップにシフトすることも明言している。

今村氏のプレゼンテーションでは、製品特徴だけでなく、ソニーが「BRAVIA」で考えていること・実現したいことも紹介

なお、発表会の質疑応答では、マーケティングや売上、販売台数などの質問が続き、多少予定調和感が出てきたところで、最後に、オーディオ・ビジュアル評論家の麻倉怜士さん(最前列のど真ん中に座られていました)から、「単に4Kにアップコンバートしただけではない、今回の新製品の絵作りへのこだわりを教えてほしい」という質問が飛んだ。この質問に対する今村氏の回答が具体的で、また熱を帯びていたのが印象に残った。このやり取りからも、「新しい価値を提供したい」という気持ちを強く感じた次第だ。

「絵作りでは、すり合わせに特にこだわった。たとえば、パネルとバックライトの特性、映像回路をマッチさせることに時間をかけている。また、静止画でも、カメラにマッチした絵が出せるかどうかを徹底した。ほかにも、スピーカーも単に10個のユニットを並べたのではなく、視聴環境を想定し、位相や信号回路の処理にもこだわっている」(今村氏)

新製品発表会のプレゼンテーション会場では、「KD-84X9000」が5台並べられていた

取材・記事:価格.comマガジン編集部 mkr

今回のソニー今村さんのプレゼンテーションは、ここ数年に出席した新製品発表会の中でも、個人的には特にすばらしい内容であったと思っています。少なくともソニーの中ではナンバーワン。製品の“狙い”よりも“思い”を重視した内容には感銘を受けました。そういう場合、紹介された製品がほしくなるものなのですが、「KD-84X9000」はさすがにちょっと何というかサイズもお値段も私には分不相応であります…

ページの先頭へ