NTTドコモのAndroidスマートフォン「Xperia A SO-04E」(ソニーモバ…
(2013年5月25日掲載)
2012年7月6日掲載
「Qi」とは、「Wireless Power Consortium」(以下、WPC)が策定したワイヤレス充電規格のことだ。Qiは国際標準として策定されており、この規格に乗っ取って設計された製品であれば、端末メーカーを問わず、充電したい端末をQi対応の充電器の上に置くだけで充電することができる。これがQiの最大のウリだ。
パナソニックによると、ワイヤレス充電自体は、Qiが策定される以前にも、電動歯ブラシやコードレス電話機などで実用化されていたという。ただ、充電器は製品に合わせて独自に設計されたため、製品ごとの互換性がまったくなく、それぞれの製品の数だけ充電器が増加することに。充電器が増えることで、ユーザーの利便性が損なわれるだけでなく、エコの観点からも悪いという問題があった。この問題を解決するために、ワイヤレス充電のユニバーサル仕様を策定する団体として立ち上げられたのがWPCで、そのWPCで策定されたワイヤレス充電の国際標準規格が「Qi」というわけだ。パナソニックは、このWPC創設段階からレギュラーメンバーとして参画しており、Qiの仕様策定にも深くかかわっている。
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ユーザーの利便性とエコの両立を目指し、メーカーの垣根を越えたワイヤレス充電のユニバーサル仕様として策定されたのがQiだ |
現在、WPCには、109社が参加している。デバイスメーカーだけでなく、携帯電話キャリアやインフラメーカーなど、さまざまな業種が参加している |
Qiには今までのワイヤレス充電にないもう1つの特徴がある。それが、“充電のフリーポジション化”だ。今までのワイヤレス充電の場合、専用の充電器の決められた場所にデバイスを置かないと充電できなかったが、Qiでは、充電したいデバイスを置いた位置にかかわらず充電できる“フリーポジション”を実現している。
Qiでは、デバイスに電力を送る仕組みとして、充電器とデバイス側の充電池の両方にコイルを搭載し、コイル同士を合わせて電磁誘導を発生させて電力を送る「電磁誘導方式」を採用している。「電磁誘導方式」の場合、その性質上、コイル同士が離れてしまうと電力の伝送効率が下がってしまう。しかし、フリーポジションで充電を実現するには、コイルの位置を固定するわけにはいかない。そこで、Qiではフリーポジションでの充電と充電効率の両立を実現するために、充電器側の伝送方法を複数規定している。現時点では12種類の規格が認可されているが、なかでも「ムービングコイル方式」「多コイル方式」「マグネット方式」の3種類の方式が主流だ。各方式とも一長一短の特徴があるため、Qi対応の製品を展開するメーカーは、自社の製品に合ったものを選べるようになっている。このように設計の自由度を残しつつ、互換性を維持しているところもQiならではといえる。ちなみに、パナソニックはこのうちの「ムービングコイル方式」を採用している。
文字通り、充電器側のコイルを移動させる方式。充電器側の「マトリクスコイル」と呼ばれるシート状のコイルで微弱な反応を検知することで充電池の場所を特定し、充電池側のコイルの下に「ムービングコイル」をピンポイントで移動させることで、ワイヤレス充電とフリーポジション充電の両方を実現している。充電器側と充電池側のコイルがピンポイントに合うため、送電効率が比較的高いのが特徴だ。また、送電の際に発生するノイズも最小限で済むため、モバイルマルチメディア放送の機能を有するスマートフォンの充電などに有利といわれている。さらに、「マトリクスコイル」を利用することで、金属などの異物も高精度で検出できるため、安全性も高いという。いっぽうで、コイルを動かすモーターなどが内蔵されるため、充電器の小型化やコスト面で不利。国内では、パナソニックが採用している。
●採用製品
充電器にコイルをハニカム構造で敷き詰めた設計が特徴。充電池側のコイルの位置を検出すると、充電器側の最適なコイルだけを駆動させて送電する。コイルの可動部分がないため、充電器側の薄型化に有利だが、多数のコイルを配置しているため、電波干渉が起こる場合がある。また、他の2つの方式に比べると、複数のコイルを組み合わせて電力を送電するため、送電効率は落ちる。国内では、日立マクセルなどが採用製品を展開している。
●採用製品
現在、WPC がQiの規格として公開しているのは「Volume 1 Low Power」というものだ。この「Volume 1 Low Power」は、伝送できる電力が最大5W(1A・5V)までと規定されており、スマートフォンやモバイルバッテリーなどの比較的小電力なデバイスがメインターゲットとなっている。現在発売されているQi対応製品も、基本的にこの仕様の枠組みに収まるように設計されたものだ。国内で発売されている製品を見ても、充電池を内蔵するデバイスは、スマートフォンやiPhone用バッテリー内蔵ジャケットなど、比較的消費電力の少ないスマートフォン周辺機器が圧倒的に多い。
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国内では、特にスマートフォンでの採用例が多い。なかでもNTTドコモは力を入れており、「おくだけ充電」の名称でQi対応スマートフォンを積極的に展開している |
日本以外にもQi対応製品を投入している国はあるが、今のところ、日本が世界で一番Qiが普及しているという。ちなみに海外では、スマートフォン本体にQiを搭載する製品は少なく、iPhoneの周辺機器での採用が多いという |
ただ、最大5Wという仕様は、タブレット端末やノートパソコンなどを充電するには少々力不足だ。そこでWPCでは、ユーザーの利便性をさらに高めようと、「Volume 1 Low Power」よりも伝送できる電力を引き上げた「Middle Power」と呼ばれる新しい仕様を策定しようと動き出している。「Middle Power」では、タブレット端末やノートパソコン、電動工具などの充電にも対応できるよう、伝送できる電力は最大120Wを想定している。パナソニックとしても、今後はAVデジタル家電、調理家電、美容家電、アウトドア製品などの充電池を使う製品にQiを積極的に導入し、Qiの拡大を目指していくという。
さらにWPCでは、将来的に電気自動車や電動バイクなども充電できる最大1Kw(1000W)の「High Power」を開発することも検討しているという。そう遠くない将来、電気自動車や電動自転車などを駐車スペースに置くだけで充電される日もやってきそうだ。
メディア説明会の最後には、Qiのさらなる普及に向けた取り組みについても紹介があった。パナソニックによると、スマートフォンや携帯電話を利用するユーザーの中で、家以外の場所でも手軽に充電できるニーズが非常に高まってるという。今後、Qi対応の製品がさらに拡大していく中で、おくだけ充電が身近に行えるインフラ整備がますます重要になってくる。
そこで、Qi対応スマートフォンを積極的に展開しているNTTドコモと、Qi対応製品を展開するパナソニックは、ANAや日産、プロント、タリーズ、ファミリーマートなどの企業と連携し、Qi対応充電器の設置を進め、生活に密着したさまざまな場所でQiによるワイヤレス充電ができる環境を整えている。2012年5月末時点で全国約90か所に900台の設置が完了しており、9月末には約500か所に3000台の設置を目指しているという。今後は、外出先に充電器を持っていかなくても、どこでも気軽に充電できるようになるかもしれない。
記事:価格.comマガジン編集部 金さん(^・x・^)