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7,900円の低価格を実現したスティック形状の新製品 

入手しやすい放射線測定器 エステー「エアカウンターS」レビュー

2月4日に発売された「エアカウンターS」

2011年3月11日の東日本大震災によって発生した、福島第一原子力発電所での原子炉建屋爆発・放射性物質漏れ事故。当時運転中だった原子力発電所での大事故は、事故発生からまもなく1年の時間が経過する今でも、私たちがこれまで当たり前のように享受できていた「安心・安全な生活」に大きな影響を与えている。政府から昨年12月に事故に関しての収束宣言が出たものの、放出された放射性物質の除染は遅々として進まず、東北や関東の福島第一原発から離れた地域でも「ホットスポット」(局地的に放射性物質の汚染濃度が高いエリア)が見つかるなど、事態は収まったとはとても言えない状況だ。メディアでも、「放射能」「放射性物質」「放射線」というワードが今でも連日のように飛び交っており、それらの言葉に対して多くの方が不安に感じているのも変わりがない。こうした状況の中、事故発生後から注目度が高まってきているのが、「放射線測定器」や「ガイガーカウンター」(放射線測定器の1種類)という、一般消費者にとってはこれまで聞いたことも見たこともなかった計測機器だ。


放射線測定器は、その名のとおり、目に見えない周囲の放射線の量を調べる機器。これまでは業務用製品が多く、価格も数万円以上というものがほとんどであったが、最近では、簡易的に放射線量を把握できる家庭用製品がいくつかリリースされている。その中でも、これまで話題を集めてきたのが、エステーから発売された低価格な放射線測定器「エアカウンター」だ。本製品は1万円以下で購入できる価格の安さからヒット商品となったが、2012年2月4日にその新モデル「エアカウンターS」が発売された。こちらの希望小売価格は7,900円(税込)と、さらに購入しやすくなっている。ここでは、実際に購入した「エアカウンターS」を用いて、その特徴をくわしくレビューしていきたい。

初代モデルよりも安く、高性能に。スティックタイプのボディも特徴

「エアカウンターS」を販売するエステーは、消臭・芳香剤や脱臭剤、防虫剤などを手がける日用雑貨のトップメーカーだ。「消臭力」や「消臭ポット」「ムシューダ」といった人気商品でおなじみの会社だが、2011年10月に、家庭用の放射線測定器「エアカウンター」を発表・発売し、この市場に参入した。それまでの放射線測定器市場は、主に海外製品が多く流通している状況であったため、国内の大手企業であるエステーが家庭用の放射線測定器を発売したことは大きな驚きであった。

初代「エアカウンター」は、これまでの放射線測定器としては低価格となる9,800円(税込)という希望小売価格で人気を集めた。その人気は、福島県を中心に月産で約1〜2万個の生産量を確保していたものの、すぐに完売し、需要に生産が追いつかなくなるほど。加えて、関東地方でのホットスポットの拡大でさらに需要が増えたという背景もあって、同社は、今回紹介する量産タイプの第2弾製品「エアカウンターS」の開発・販売を決定したというわけだ。希望小売価格は、初代「エアカウンター」よりも安い7,900円(税込)。初代「エアカウンター」と比べて量産・販売体制も強化されており、初回の出荷数が10万個となっているほか、店頭では全国のドラッグストアやホームセンターなどでも販売が行われる。初代「エアカウンター」と比べて価格が安くなっているうえ、流通量も販路も増えたことで、より「入手しやすくなった」のが、この製品の大きなポイントだ。

左が初代「エアカウンター」で、右が「エアカウンターS」

「エアカウンターS」は、初代「エアカウンター」と同様、1時間あたりの人に対する放射線の影響の大きさを表す単位「μSv/h」(毎時マイクロシーベルト)の表示に対応し、地面から1mの高さでのガンマ線の空間線量(空気中の放射線量)を「0.05〜9.99μSv/h」の範囲で測定することが可能。従来よりも測定感度がアップしており、初代「エアカウンター」では測定が終わるまでに「最長約5分間」の時間が必要だったが、「エアカウンターS」では、これが「最長約2分」にまで短縮している。さらに、約22(直径)×170(長さ)mmのスティック形状のボディに変更になったのもポイント。重量も従来の110gから60gへと軽量化が図られており、より持ち運びやすいボディとなっている。なお、エステーの発表によると、「エアカウンター」シリーズの開発においては、おもちゃメーカーのタカラトミーから半導体センサーの技術提供を受けているほか、「エアカウンターS」については、タカラトミーアーツ(企画・製造・販売を担当するタカラトミーの関連会社)と共同で企画・開発を行ったとのことだ。

「エアカウンターS」のパッケージは、白色と水色を基調にしたさわやかな印象。本体と取扱説明書のほか、人間健康科学研究科放射線科学域の福士政広教授(首都大学東京大学院)が監修した小冊子「正しく覚えよう!放射線の基礎知識」と、単3乾電池1本が同梱される

「エアカウンターS」のボディサイズは約22(直径)×170(長さ)mmで、重量は60g。パッケージ同様、白色と水色を基調したデザインを採用。従来よりもスリムで軽いボディとなっている

電源は単3乾電池1本。アルカリ乾電池を使用する場合は、1日1時間の利用で約2か月の電池寿命となっている

測定方法はカンタン。高さ1mの位置で水平に持って2分待つだけ

続いて、「エアカウンターS」の使い方を紹介しよう。実際の測定は以下の手順で行うようになっている。

1.本体を持つ:「エアカウンターS」を地面から1m離して水平に構える
2.電源オン:本体横のスイッチをONにスライドする
3.予測数値が表示される:数字のカウントダウンが始まり、約35秒後から予測数値が表示される(予測数値は確定値が決まるまで更新されていく。その間、動作ランプは点滅)
4.確定値が表示される:約2分で測定が完了すると動作ランプが消灯し、確定値が表示される
5.確定値は更新される:確定値が表示された以降も、約10秒ごとに値が更新される(直近1分間の平均値を表示する)
6.測定をやり直す:RESETボタン押すと、測定をゼロからやり直せる

「エアカウンターS」の使い方自体は、「地面から1m離した状態で本体を水平に構える。その後、スイッチを入れて約2分待つ」だけ。難しいことは何もない。仕組みもシンプルで、電源をオンにすると、放射線量を適時測定し、平均化した値を表示し続けるようになっている。ただ、使用するうえでは、「予測数値」と「確定値」の違いには注意が必要だ。予測数値は、測定開始の約35秒後から完了まで、液晶表示部の動作ランプが点滅している間に表示される、あくまでも“仮の値”となっている。実際に使用する際は、特に、測定開始直後は比較的数値が高めに表示されることがあるので、その値はうのみにせずに、誤差が少なくなった確定値が出るまでの約2分間は、本体をなるべく動かないようにして待とう。ちなみに、エステーは、「エアカウンターS」で測定できる確定値を、「誤差が±20%以内に収まった数値」と定めている。

また、これは初代「エアカウンター」でも同様なのだが、「エアカウンターS」は、その使い方からも想像できるように、「地面から1mの高さにおけるガンマ線の空間線量の測定に特化した製品」であることは覚えておいてほしい。表面線量(物質表面の放射線量)の測定には対応していないのだ。また、食品や水に含まれる放射性物質・放射線量も測定することはできない(※食品や水の線量を正確に測定するには高額な計測機器が必要となる)。

「エアカウンターS」は、本体先端付近の下部に、医療機関で使用されるエックス線計測器の技術を応用した、放射線検出用のシリコン半導体(フォトダイオード)を装備。放射線の入射により発生した電荷を時間あたりでカウントし、放射線量の換算式(セシウム基準/Cs137)を用いて、「μSv/h」(毎時マイクロシーベルト)に変換して表示する。なお、測定値については「国の認定を受けた第三者機関によって、国家標準に基づいた校正を実施し、承認を受けている」とのこと

「エアカウンターS」で測定を行う際は、正確な空間線量を測るために、地面から1m離して水平に構えて使用する。また、測定中は、なるべく本体を動かさないようにする必要がある。なお、エステーは、放射線の発生は一定ではないとし、同じ場所での測定精度を上げるためには「複数回の測定を行い、その平均値を求める」ことを推奨している

電源をオンにすると(RESETボタンを押すと)液晶に「35秒」の数字が表示され、すぐにカウントダウンがスタートする。この間、動作ランプは点滅する

「35秒」のカウントダウンが終わると予測数値が表示される。予測数値が表示されている間も動作ランプは点滅している

予測測定が終わると動作ランプが消灯し、確定値が表示される。確定値が出るまでに必要な時間は、放射線量によって多少左右されるようだが「約2分」。その後も約10秒ごとに確定値が更新され、直近1分間の平均値が表示され続ける仕組みとなっている。なお、予測測定が完了してから1時間以上何も操作がない場合は、液晶に「POFF」と表示されるようになる(電源は自動で切れない)

「エアカウンターS」の機能については、先に紹介した測定結果をリセットする「RESETボタン」のほかに、放射線を感知するとブザー音を鳴らす機能も備えている。ただ、このブザー音機能は、いったん電源を切ると設定がオフになってしまうほか、鳴っても音量が小さく、屋外では聞き取りにくいのが難点

測定結果を共有できる専用の「エアカウンターリポート」を展開予定

このほか、エステーは、「エアカウンター」シリーズのユーザー向けのサービスとして、ユーザーが測定した放射線量の結果・測定場所を送信して、各地域から集まった測定結果を地図上で確認できる専用サイト「エアカウンターリポート」を展開する予定となっている(当初は、2012年1月10日からスタートの予定であったが延期となっている)。あわせて紹介しておこう。

「エアカウンターリポート」では、「エアカウンター」もしくは「エアカウンターS」を購入したユーザーが、カメラ機能とGPS機能を備えた携帯電話を利用して、放射線量の測定結果や測定場所の画像を送信することで、サイト上の地図にそれらの情報を反映するシステムを採用している(システムはウェザーニューズが構築)。自分の測定結果だけでなく、自宅周囲や外出先などの放射線の分布・量を手軽にチェックできるのが特徴だ。さらに、放射線に関する疑問・質問を送信して、首都大学東京の放射線安全管理学の専門家が回答するというサービスも予定されている。なお、情報の送信には、「エアカウンター」シリーズのシリアルナンバーの入力が必要になる。

「エアカウンターリポート」のプレスリリースをチェック

※2012年2月9日現在、サービス開始は延期となっています。


以上、エステーの新しい家庭用放射線測定器「エアカウンターS」の特徴をレビューした。実際に購入・使用してみて、この製品は「常備できる測定器」であることが重要なポイントだと感じた。放射性物質の汚染に対しては、政府や自治体から、ある程度広範囲なエリアに対しての情報は出ているものの、生活レベルでの細かいエリア情報はまだまだ少ない。スティックタイプで軽量な「エアカウンターS」であれば、常に持ち歩くことができるので、気になったらサッと取り出して測定することができる。日々の生活において、わずかではあるかもしれないが「安心・安全を得ることができる製品」なのである。特に、汚染が気になる地域にお住まいで、お子さんがいる親御さんにとっては、「もっておきたい」製品ではないだろうか。ただし、「エアカウンターS」は、ガンマ線の空間線量のみの測定機器であることはお忘れなく。この機器だけで、放射性物質や放射線に対する不安をすべて払拭できるわけではない。あくまでも簡易的な測定機器であることを前提にして購入・使用していただければと思う。

記事 価格comマガジン mkr

カメラと写真の総合展示会「CP+ 2012」がいよいよ明日から開催されます。ニコン、オリンパス、ペイタックス、シグマなどから注目度の高い新製品が続々と発表になった、ここ数日のデジカメ関連のリリースラッシュは、ものすごいものがありました。今年の「CP+」は間違いなく盛り上がることでしょう。

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