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機能性と音質の両方にこだわった注目のオーディオ機器をくわしくレビュー 

銘機の予感漂う、パイオニア初のネットワークプレーヤー「N-50」

パイオニアのネットワークオーディオプレーヤー「N-50」

パイオニア「N-50」は、同社としては初めてとなるネットワークオーディオプレーヤーの上位モデル。2011年11月上旬に発売されたばかりのオーディオ製品であるが、なかなかにコストパフォーマンスがよく、価格.comの「その他オーディオ機器」においても、11月16日現在の売れ筋ランキング・注目ランキングの両方で1位をキープしているほど。発売直後から品薄状態が続いており、現状では在庫切れのショップがほとんどで、11月下旬以降でないと手に入らない状況になっている。


今回、発売前よりこの製品に注目していたという、オーディオ・ビジュアル・ライターの野村ケンジ氏が、本機の機能と音質の両方をくわしくレビューする。

利便性の高さから注目度が高まっているネットワークプレーヤー

PCオーディオというと、「パソコンにUSB DACを接続する」のが現在の主流となっているが、もうひとつ、「ネットワークプレーヤーを選ぶ」という方法もじわじわと注目を集めてきている。USB DACがあくまでもパソコン周辺機器であり、1対1的なつながりであるのに対し、ネットワークプレーヤーはもう少し自由な存在。ネットワークプレーヤーでは、パソコンだけでなくNASやブルーレイレコーダーなどをサーバーとして使用したり、インターネットラジオなどの付加機能を利用することもできる。また単体CDプレーヤーなど既存のオーディオ機器とあまり変わらない使い方ができる(もちろん初期設定には多少の知識が必要となる)ため、「パソコンはあまり得意ではない」という人にも比較的扱いやすいと思わせる、敷居の低さも魅力となっているようだ。

そんな状況の中、パイオニアから新しいネットワーク“オーディオ”プレーヤー、「N-50」と「N-30」が2011年11月上旬に登場した。なかでも上位モデルの「N-50」は、ネットワークプレーヤーとしての機能だけでなく、USB DAC機能やiPodデジタル接続、単体DAC機能など、音楽ソース用のメディアセンターとしても活用できそうなくらい多彩な機能を持ちあわせている。これは大いに期待がもてそう、ということで、早速「N-50」の製品サンプルを借りて、その実力のほどを検証してみることにした。

ネットワークオーディオプレーヤー、パイオニア「N-50」の魅力は、なんといっても・多機能さ・音質に対するこだわりの2点が注目ポイントとなっている。そこでまずは、機能面についての紹介をしていこう。

フロントパネルにヘアライン加工を施し、高級感を演出。メインスイッチの右側には「Hi-bit 32 Audio Processing」のオンオフが一目で分かるLEDが備わる

2.4型のカラー液晶ディスプレイを装備

「N-50」の下位モデルとなる「N-30」。外観デザインは「N-50」と共通となっているが、内部構造が異なるほか、高音質化技術やUSB DAC機能なども備えていない

USB DACやiPodデジタル接続、AirPlayなど多彩な機能を搭載

「N-50」は、メインとなるネットワークプレーヤーとしては、DLNA1.5準拠の有線LANを備えており、ネットワーク上に有線LANで接続されているデジタルメディアサーバー(DLNA対応のNASなど)やWindows PC(Windows Media Player 11以降)内のリニアPCM/WAV/FLAC/WMA/AAC/MP3といった音楽ファイルを再生することができる。そのクオリティも最高192kHz/24bitまで(WAVとFLACのみ、その他は48kHz/16bitまで)と幅広く対応しているので、Web配信されているハイレゾリューション音源(CDの44.1kHz/16bitよりも高いサンプリング周波数とビット数の音源データ)なども再生可能だ。

また、「N-50」は、リアパネルにUSB端子(Bタイプ)を用意。ネットワークプレーヤーとしてはあまり見かけないUSB DAC機能を搭載(ネットワーク音楽再生機能とUSB DAC機能は排他的にどちらか一方が搭載されることが一般的)している点も、「N-50」ならではの魅力といえるだろう。こちらもネットワークプレーヤーと同じく、最高192kHz/24bit(WAVとFLAC)までの音楽ファイルの再生に対応。加えてパソコンとの接続には本体内クロックで伝送を制御する「アシンクロナス転送」を採用することで高音質化を推し進めている。このため、Windows用にはオリジナルのドライバーが用意されている。このほか、リアパネルには、同軸/光デジタルの入力端子も搭載されている。

リアパネルにUSB端子を備え、USB DAC機能を利用できる

さらに、「N-50」は、フロントパネルにUSB端子(Aタイプ)を装備しており、こちらでは、iPod内の音楽を高音質に再生できる「iPodデジタル接続」や、USBマスストレージクラス準拠のUSBメモリーからの音楽再生が可能。対応する音楽ファイル形式はWAV/FLAC/WMA/MP3(WAVとFLACは最高96kHz/24bitまで)となっている。

加えて、「N-50」には、アップルのAirPlay機能も搭載されており、MacのiTunesやiPhone/iPod touchのミュージックプレーヤーなど、使い慣れたプレーヤーから直接音楽再生を行うことができる。しかもフロントパネルの2.4型カラー液晶ディスプレイには、アルバムジャケットなどの楽曲情報が表示されるからありがたい。

フロントパネルにもUSB端子を装備。iPodデジタル接続に対応する

液晶ディスプレイは、アーティストやアルバム別に楽曲を表示できるほか、再生画面にアルバムジャケットを表示することもできる

操作性の面では、iPod touch/iPhoneを使って「N-50」本体の操作ができる専用のアプリ「Pioneer ControlApp」が用意されている。Android端末用のアプリも11月下旬に登場する予定だ

このほか、「N-50」は、オプションのBluetoothアダプター「AS-BT200」を活用することで、携帯音楽プレーヤーやスマートフォン、ノートパソコンなどからワイヤレスでの音楽再生が可能となる。加えて、iPod touch/iPhone/iPadやAndroid端末用の専用アプリ「Air Jam」を使用することで、最大4台までのBluetooth機器の同時接続が可能となる。共通のプレイリストを作成/再生することも可能だ。

価格を超えた音質クオリティを実現

ざっと機能を紹介するだけでも結構なボリュームになってしまう「N-50」だが、もうひとつの注目ポイント「音質に対するこだわり」も見逃せない。

まず特徴的なのが、bit拡張処理「Hi-bit 32 Audio Processing」の搭載だ。こちらはDSPを活用して音声データを192kHz/32bitまでアップサンプリングし、自然で微細な音を再現するというもの。

また、「N-50」は、ハードウェア的にもかなり凝った仕様になっており、筐体は「リジッドアンダーベース」と呼ぶ2重構造シャーシを採用。高剛性化と低重心化を両立させている。その内部は、デジタル回路とアナログ回路を別基板で完全分離。電源トランスを2つ用意し、電源回路も2系統用意するなど、かなりのこだわりようが伺える。

しかしまあ、音質に関しては「百聞は一見にしかず」と。この場合は「百スペックは一聴にしかず」というべきか。ということで、早速我が「ミニマムシアター」のTADスピーカー(※1)に接続し、そのサウンドクオリティのほどを確認することにした。また、先にも言ったとおり、ネットワークプレーヤーとUSB DACの両機能をあわせ持つ製品は数少なく、今回のように、純粋に「両者のメリット・デメリット=音質の違い」を比べられる機会は滅多にない。ということで、iPodデジタル接続も含め、各接続の音質的特徴の違いについてもレポートしよう。

まず最初に、「N-50」のネットワークオーディオプレーヤーとしての実力を確認すべく、NAS(QNAP「TS109」)内のWAVファイルを再生してみることにした。なお「Hi-bit 32 Audio Processing」機能については、その基礎体力を知るためにもまずはオフにしてみる。

すると驚くことに、これまで聴いてきた高級USB DACを凌駕するレベルの、ピュアでダイナミックなサウンドが飛び出してきたのだ。とにかくSN感が、とてつもなく高いレベルにある。さらに、ダイナミックレンジの幅も広く、階調表現も細やかなので、まるでベールを数枚はがしたかのように感じるほど、ダイレクトでリアリティ感あふれるサウンドが楽しめた。たとえばアコースティックギターを聴くと、カッティングと弦の響き、胴鳴り、ホールの複雑な響きなど、すべての音の要素が相殺されたり曖昧になることなく、見事に分離され、ただひとつの欠落もなくすべてがしっかりと伝わってくるのだ。しかも変な歪みや強調のない、録音されたままの自然な音のように感じられる。これはいい。

ネットワークプレーヤーは、CDプレーヤーなどのように振動や磁気の発生源になるパーツがまったくと言っていいほどないことから、音質的にはかなり有利といわれているが、それにしてもこのSN感は格別だ。本格オーディオとして面目躍如といえるレベルであり、それが価格.com最安価格(2011年11月16日現在)で5万円台という価格で実現できているのは、まったくもってうれしい限りだ。

さて、次にUSB DACとしてのサウンドを聴いてみよう。常用しているノートパソコン「Acer AS1410」にドライバーをインストールした後、USBケーブルで「N-50」と接続する(認識は特に手間取ることもなくスムーズに完了した)。こちらの音は、はっきり言ってネットワーク再生ほどのインパクトはない。極上だった高SN感が多少減退し、普通の“よい音”レベルにとどまっていることからだろう、顕微鏡をのぞいているかのような高精細感はなくなり、ダイナミックレンジの幅も多少縮まったように感じられる。とはいえ、キレのよさやニュアンス表現の細やかさについては相変わらずなので、よりジェントルな演出になったと言いかえることもできる。

これは多分に、パソコンの音質レベルが両者の違いを生じさせているものと思われる。もっと音質にこだわったパソコンを使用すれば、ネットワーク再生とUSB DAC再生の差はだいぶ縮まってくるはずだ。その証拠に、同じノートパソコンからAirPlay再生を行ってみると、両者のサウンドクオリティは比較的拮抗したレベルになった。先に最良の状態、NASからのネットワーク再生を聴いてしまったのがミスだったようで、USB DAC再生も階調表現の細やかさや解像度感では十分に健闘している。USB DACとしても、なかなかに使い応えがある製品といえるだろう。加えて192kHz/24bit入力対応というのがうれしい。純粋なUSB DACとしても、価格相応以上のレベルにあるのは確かだ。

続いて、iPodをフロントのUSB端子にデジタル接続してみると、こちらもなかなかの音を聴かせてくれた。もちろん、ネットワーク再生とUSB DAC再生にはかなわないが、「N-50」自身のSN感の高さがうまく生かされているのだろう、AVアンプなどのiPodデジタル接続に比べて、ダイナミックさが数段高まって聴こえる。ちなみにそのクオリティは、AirPlay接続したiPod touchよりも上。手軽さを求めるのであればAirPlay、少しでも音質にこだわりたい、もしくはAirPlay非対応のiPodを使用する場合はiPodデジタル接続を利用するのが適当かもしれない。

最後にNASからの再生に戻し、「Hi-bit 32 Audio Processing」をオンする。音がやわらかい印象に変わったと言えばいいのだろうか。キレの良さが若干弱まるものの、よりていねいな、ニュアンス表現が細やかで自然な音を聴かせてくれるようになった。「すべてこちらで」というほどではないが、倍音成分の表現がセンシティブな楽曲など、ケースバイケースでうまく活用するとよさそうだ。

さて、実はここまで細かい内容までチェックを行ったのは、我が「ミニマムシアター」にUSB DACはいくつかあれど、ネットワークオーディオプレーヤーがなく、導入を検討中だったこともある。しかし、それ以上に、「N-50」があまりにもインパクトあるサウンドを聴かせてくれたため、つい夢中になっていろいろ試してしまったというのが本当のところ。正直言って、この価格でこのクオリティは驚きに値する。個人的にも、有力候補どころか、明日にでも購入に踏み切ってしまいそうだ。このように「N-50」は、機能面と音質面の両方から、ネットワークオーディオの可能性を大いに高める、すばらしいプレーヤーだと断言しよう。「ネットワークオーディオをはじめてみたい」という方には、スタートからハイレベルを実現できる、最適な製品ではないだろうか。


※1 試聴環境について

今回の試聴は筆者の試聴室、自称「ミニマムシアター」にて行った。「N-50」から出力されたアナログ信号はRCAケーブルでいったんAVアンプ(パイオニア「SC-LX71」)を経由してパワーアンプ(ヤマハ「101M」)へ伝達、TAD(パイオニアのプロ用機器ブランド)の「TL-1601b」(15インチ口径のウーファー)+「TD4001」(4インチ口径のホーン型ドライバー)の2ウェイスピーカーにてサウンドクオリティをチェックした。いっぽう、NAS(QNAP「TS109」)との接続は、バッファロー製のギガビット対応イーサネットHABを介しつつ、オーディオ用途を目的とした高級LANケーブル、SAEC「SLA-500」(17,850円/1.8m)を2本使用して万全を期している。またネットワークとUSB DAC機能との比較用には、「Acer AS1410」(OSはwindows7 64bit版)というひと昔前のごくありふれたスペックを持つノートパソコンを使用しつつも、USBケーブルにSAEC「SUS-480」(23,100円/0.7m )やクリプトン「UC-HR1.0」(44,100円/1m)などを利用することで、不要な差が生じないよう配慮した。

ライター/野村ケンジ

ホームシアターやカーオーディオ、音楽・映像関連、クルマ分野など、幅広いジャンルで活躍するフリーライター。100インチスクリーン+TADモニターで6畳間極小ホームシアターを自宅で実践するなど、実験的な試みにも積極的にチャンレンジするこだわり派。サウンドコンテストの審査員なども担当している。

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