バックナンバーを見ておわかりかと思うが、筆者は昨年末にWiMAXのル…
(2012年5月16日掲載)
2011年10月12日掲載
ヘッドホンやスピーカー、プレーヤー、アンプなど、オーディオに関するテーマを決めて実力派製品を複数回にわたって紹介する、野村ケンジ氏のオーディオ連載「Paradiso della musica」(パラディーゾ・デッラ・ムージカ)。連載第2シリーズのテーマは、「ヘッドホンの音も重視したUSB DAC選び」。3回目となる今回は、人気の定番モデルを紹介する。
巷でPCオーディオが盛り上がっているおかげもあって、そのコアとなる製品であるUSB DACも、かなりのアイテム数がそろうようになってきた。いまや価格も製品としての特徴も、さまざまなバリエーションが存在し、選ぶ側にとってはなかなかうれしい環境となりつつある。そこで今回は、幅広い製品群の中から、据置型ヘッドホンアンプとしても人気の高い2製品について紹介しよう。
デスクトップ向けのUSB DAC兼ヘッドホンアンプとして、高い人気を誇るのがAUDIOTRAKの「DR.DAC2 DX」だ。価格も3万円超と、いまどきのUSB DAC群の中ではミドルクラスにカテゴライズされる製品であるが、その分エントリーモデルにはないこだわりが随所に見られるのも確かだ。
たとえば音質の要といえるDACチップにはバーブラウンブランドの「PCM1798」を採用、オペアンプもヘッドホン出力端には「OPA2604」、ライン出力端には「OPA2134」をチョイス。サウンドクオリティ優先の、かなりぜいたくな内容となっている。いっぽうでフィルムコンデンサーや電解コンデンサーも高品位なパーツを厳選。最適化された回路基盤とあわせて、徹底的に音質を追求している様子がうかがえる。
機能面でも充実した内容を誇るのが、「DR.DAC2 DX」ならではの特徴だ。入力端子としては、USB以外にも同軸デジタル、光デジタル、アナログRCAを備え、簡易的ながらもプリアンプやセレクターのように活用することができる。さらにUSB端子からの入力は、ステレオ(96kHz/24bitまで対応)だけでなく、5.1ch出力も可能となっているため、光デジタル出力にAVアンプなどをつなげば、パソコンでのDVD映画再生でも迫力のサラウンドを堪能することができる(同軸/光デジタルは192kHz/24bitまで対応しているがAVアンプなどと接続する光デジタルからは出力されない)。またヘッドホン端子は2系統を用意。600Ωまで対応しているので、欧州製の高級ヘッドホンであっても、その実力を存分に発揮することができる。
しかし「DR.DAC2 DX」にとって最大の注目ポイントといえば、オペアンプが交換できるカスタム性だろう。ヘッドホン用、RCA用にそれぞれ個別に使用されているオペアンプは、ソケット方式で実装されているため、好みの製品に差し替えることができるのだ。標準ではTi製が装着されているが、好みでJRC(新日本無線)製やナショナルセミコンダクタ、アナログデバイセス製などと交換して、音色の違いを楽しむのもいいだろう。
さて、実際のサウンドはというと、ひと言で表現するとていねいで密度感の高いサウンド。分解能が高く、重なった音もひとつずつていねいにディテール表現してくれるので、音数、音色ともに豊か。わざわざオペアンプを交換しなくても、このままでも十分に納得できるサウンドを聴かせてくれる。600Ω対応をうたっているだけあってヘッドホンの駆動力もまずますで、なかなか鳴り切ってくれない「AKG Q701」も、ソリッドでキレの良い低音を聴かせてくれた。個人的にはもう少し量感があっても良い(もう一歩駆動力が欲しい)気がするが、このあたりはオペアンプ交換で何とでもなるかもしれない。
さすが定番といわれるだけはある、クオリティの高い製品だ。
<オススメポイント> 入力数が多いことに加えて、オペアンプを交換して遊べる楽しさ。
<ウイークポイント> 光デジタル出力がUSB入力時の音声のみ対応であること。アナログ入力時のAD変換はともかく、光/同軸デジタル入力にもパススルーなどで対応してほしかった。
・解像度感 ★★★★☆
・SN感 ★★★★☆
・ダイナミックレンジ ★★★☆☆
・デザイン ★★★☆☆
・コスト ★★★☆☆
PCオーディオ向け、デスクトップ向けのヘッドホンアンプとして、高い人気を集めているブランドがもうひとつある。それがStyleaudioだ。こちらはJAVSやSOtMなども取り扱うZIONOTEのオリジナルブランドで、これまでも数モデルのUSB DACなどがリリースされている。
今回ピックアップするのは、Styleaudioの集大成ともいうべきトップモデル、「CARAT-TOPAZ Signature」だ。「CARAT-TOPAZ」(Signature名のない先代に当たるモデル)からは、USB入力が最高48kHz/16bitから96kHz/24Bitへとグレードアップされたほか、オペアンプなどを変更するなど、随所にクオリティアップが行われている(同社のヘッドホンアンプなしUSB DACのCARAT-SAPPHIREに近い内部構成)。
さらに詳細をチェックすると、比較的コンパクトなボディの中には、並々ならぬこだわりによって選び抜かれたパーツがぎっしり詰まっていることが分かる。まず、音決めの肝となるDACチップには、バーブラウン「PCM1792A」をチョイス。オペアンプは、ヘッドホン出力用に「OPA2134」、ライン出力用に「OPA827」をそれぞれ2つずつ搭載し、左右チャンネルを独立させているのが特徴だ。
いっぽうで、時間軸のゆれによる音質低下を防ぐため、1PPMという超高精度を誇る温度補償型の水晶発振器(TCXO)を搭載。またホスピタルグレードのUSBアイソレートや三洋製OS-CON、ドイツのWIMA製コンデンサー、アメリカのVishay-Dale製抵抗など、高級オーディオ製品で使われる高品位パーツをふんだんに投入している。入力はUSBのほか、光デジタルも用意する。こちらは最高192kHzまでの音楽信号に対応している。
さて肝心のサウンドはというと、骨格のしっかりした、メリハリのよさが際立っている傾向を持つ。ロックなどでは演奏のグループ感が際立ってくるし、ジャズなどでは演奏者同士の一体感がグッと増して、ステージ上のノリがかなりよくなる。なかなか楽しげな音楽表現だ。
とはいえ、決してノリがよいだけというわけではなく、抑揚表現はダイナミックかつ階調も細やか。おかげで演奏の表現がずいぶん多彩だし、演奏そのものがとてもリアルに感じられる。それらのすばらしさに比べ、SN感のみ“普通”レベルのようにも思えたが、もしかすると、これは試聴環境によるもの、パソコン側のクオリティ(試聴にはノートパソコンを使用)がストレートに反映されてしまったためかもしれないため断定はできない。いずれにしろ、人気を集めているだけのことはある、なかなかにすぐれた製品だということは確かだ。
<オススメポイント> コンパクトなボディながら、クオリティの高いサウンドが魅力。
<ウイークポイント> TI系の音響パーツは音がかっちりしすぎていて嫌い、という人には趣向が合わないかも。
・解像度感 ★★★★☆
・SN感 ★★★☆☆
・ダイナミックレンジ ★★★★☆
・デザイン ★★★☆☆
・コスト ★★★☆☆
今回の試聴は筆者の試聴室にて行った。使用したパソコンは、Acer「AS1410」というひと昔前のごくありふれたスペックを持つノートパソコンだ。ただしUSB DACとの接続にはSAEC製の高級USBケーブル「SUS-480」(0.7m/23,100円)を使い万全を期している。またUSB DACから出力されたアナログ信号はRCAケーブルでいったんAVアンプ(パイオニア「SC-LX71」)を経由してパワーアンプ(ヤマハ「101M」)へ伝達、TAD(パイオニアのプロ用機器ブランド)の「TL-1601b」(15インチ口径のウーファー)+「TD4001」(4インチ口径のホーン型ドライバー)の2ウェイスピーカーにてサウンドクオリティをチェックした。
今回の評価ポイントは、下記の5項目について表記させてもらうことにした。満点は5点。このほか音の密度感や生々しさ、熱気の高さなども評価ポイントに加えたいところだったが、それらは複数の特徴によって作り上げられている(加えて主観的なニュアンスが高い)ものであるため、文章内に表現するのみにとどめている。
・解像度感……音のきめ細やかさ
・SN感……無音時の静けさ、音が出ているときのピュアさ
・ダイナミックレンジ……音の強弱の幅広さやニュアンス表現の細やかさ
・デザイン……純粋なデザインのよさに加えて使い勝手のよさも考慮
・コスト“音質”パフォーマンス……音質のよさと金額の高さを相対値として評価
■野村ケンジの「Paradiso della musica」 「ヘッドホンの音も重視したUSB DAC選び」編
で、結局、野村ケンジは何を選んだ? ―USB DAC選び番外編―
“超”高級USB DACの驚くべき極上サウンド ―USB DAC選び第6回―
憧れの“プロブランド”が持つ驚くべき実力 ―USB DAC選び第5回―
ヘッドホンの音も重視したUSB DAC選び 第3回
■野村ケンジの「Paradiso della musica」 「初心者にオススメしたい高級ヘッドホン入門」編
ライター/野村ケンジ
ホームシアターやカーオーディオ、音楽・映像関連、クルマ分野など、幅広いジャンルで活躍するフリーライター。100インチスクリーン+TADモニターで6畳間極小ホームシアターを自宅で実践するなど、実験的な試みにも積極的にチャンレンジするこだわり派。サウンドコンテストの審査員なども担当している。