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クロストークのない圧倒的な3D映像クオリティを実現 

映画館の大画面を手軽に再現!? ソニーの3D対応「HMZ-T1」

ソニーの新しいヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」。ゴーグルのような形状のディスプレイ装置を頭部に装着することで、20m先になる750型相当の大画面スクリーンを仮想的に再現できるようになっている。大画面テレビを用意しなくても手軽に迫力のある映像を楽しめるのがメリットだ

ハリウッド映画「アバター」や「トイストーリー3」といった3D映画のヒットを皮切りに、“3D元年”となった2010年。2011年に入っても、映画の3D化の勢いはおとろえておらず、最新のハリウッド映画の多くが3D映像で制作されるようになっているほか、日本国内でも3D対応の映画館が急速に増えてきている。映画館で3D映画を楽しむのは、もはや“定番”と言っても過言ではない状況だ。ただ、家庭での“映像の3D化”は、映画館ほど進んではいない。テレビやプロジェクター、パソコン、ゲーム機、カメラなど3D対応製品自体は増えているものの、ブルーレイやデジタル放送などの3D映像コンテンツがまだまだ充実していないこともあって、普及には“もう一歩”という感が否めない状況だ。


そんな映画館と家庭の間でのギャップを埋める製品として、3D対応のヘッドマウントディスプレイ“Personal 3D Viewer”「HMZ-T1」が、本日(2011年8月31日)、ソニーから発表された。頭部に装着する「ヘッドマウントユニット」と、映像・音声をヘッドマウントユニットに伝送する「プロセッサーユニット」で構成される製品で、有機ELなどのソニーの最新技術が多数投入されているのが特徴。テレビやプロジェクターとは異なるスタイルで本格的な3Dコンテンツを楽しめるソニーの意欲作となっている。発売は11月11日で、市場想定価格は60,000円前後。


今回、発売前に「HMZ-T1」の実際の映像をチェックする機会を得たので、体験レポートとあわせて、この注目の新製品をくわしく紹介しよう。

ヘッドマウントユニットとプロセッサーユニットで構成される「HMZ-T1」。2011年1月にラスベガスで開催された「International CES」に技術参考展示されていた製品だ。なお、ソニーはかつて「Glasstron」(グラストロン)というブランド名でヘッドマウントディスプレイ製品を展開していたが、1999年12月に発売した「Glasstron Lite PLM-A35」を最後に、国内では新製品が発表されていなかった。「HMZ-T1」は、実に約11年ぶりとなる新製品となっている

有機ELパネルの採用で高品位な映像の表示が可能

「HMZ-T1」のハードウェア面での見逃せない特徴は、ヘッドマウントユニットに、独自の0.7型「HD有機ELパネル」(1280×720ドット)を採用すること。民生用3D対応ヘッドマウントディスプレイとしては、2011年8月31日現在、世界初の有機EL採用モデルとなっている。自発光方式の有機ELの特徴を生かし、高コントラストな映像を再現できるうえ、8ビットの映像を14ビット相当の階調表現に向上する「SBMV(Super Bit Mapping for Video)技術」を採用することで、色再現性にすぐれているのもポイントだ。さらに、応答速度0.01ms 以下という高速応答性も達成。スポーツやゲームなど動きの速い映像も、なめらかに表現できるようになっている。

ヘッドマウントディスプレイとして初めて有機ELパネルを採用

ヘッドマウントユニットの前方右下に装備されるコントロール部。十字キーでのメニュー操作や音量調整が可能だ。左右それぞれのレンズの位置を微調整することもできる

750型相当の大型映画館にいるような“没入感”を実現

「HMZ-T1」の画質面では、前述の有機ELパネルに加えて、ソニーが長年のプロジェクター開発で培った技術を生かした、独自の光学レンズを採用しているのもトピックだ。約45度の広視野角を実現しており、20m先にある750型相当(※体感サイズには個人差がある)の大画面スクリーンを再現できるようになっている。この「20m先にある750型相当のスクリーン」というのは、ちょうど大型映画館の中央でスクリーンを視聴するのと同等な迫力であり、映画館のリアリティをそのまま楽しめるように設計されているのだ。

さらに、映画館にいるような“没入感”を強めるために、人の最大視野領域である左右200度を覆うシールディング構造を採用。加えて、ヘッドマウントユニットの下からの光をさえぎるライトシールドも付属しており、外光が入り込まないようにしているという凝りようだ。

付属のアイシールド。ヘッドマウントユニットに装着することで、下からの外光の侵入を遮断できる

クロストークフリーの3D映像表示が可能

Ver.1.4対応のHDMI入力を1系統装備。プロセッサーユニットとヘッドマウントユニットは、専用の接続ケーブル(3.5m)で接続する。ヘッドマウントユニットの電源は、このケーブルを経由してプロセッサーユニットから供給されるようになっている。このほか、HDMIスルー出力端子も1系統備えているので、テレビやプロジェクターに出力することも可能だ

「HMZ-T1」のプロセッサーユニットは、Ver.1.4対応のHDMI入力に対応しており、ハイビジョン映像だけでなく、3D映像の処理にも対応している。しかも、左目用と右目用のそれぞれのパネルに独立した3D映像を表示する「デュアルパネル3D方式」を採用しており、テレビやプロジェクターで採用されている一般的なフレームシーケンシャル方式(左右用の画面を高速で切り替える方式)などとは異なり、クロストーク(左右の映像が混ざり合って二重に見える現象)が発生しない。また、左右それぞれのパネルでハイビジョン解像度の映像を表示するため、画素数が半分になるサイドバイサイド方式と比べて、解像感の高い3D再生が可能。ブルーレイ3DやPlayStation 3用など3Dゲームの3Dコンテンツを高品位に楽しむことができる。

5.1chバーチャルサラウンドに対応

5.1chバーチャルサラウンドに対応するヘッドホンを搭載

「HMZ-T1」のヘッドマウントユニットは、ヘッドホンを備えており、映像とともに音声も楽しめる。単体のヘッドホン用に開発された独自の5.1chバーチャルサラウンド技術「Virtualphones Technology」に対応しており、臨場感のあるサウンドを楽しめるようになっている。また、「スタンダード」「シネマ」「ゲーム」「ミュージック」といった4種類のサラウンドモードも利用することが可能だ。

「HMZ-T1」体験レポート

今回、「HMZ-T1」の実機を使って、3Dコンテンツの映像をいち早く視聴する機会を得たので、そのファーストインプレッションをお伝えしよう。今回視聴した3Dコンテンツは、「元気ロケッツ」のプロモーションビデオ、ブルーレイ「バイオハザードIV アフターライフ」、PlayStation 3用ゲーム「グランツーリスモ5」の3種類となっている。

もっとも大きなインパクトを感じたのは、ソニーがウリにしているように、映像への“没入感”が高いことだ。「ライトシールド」を装着すると、真っ暗な状態の目の前に、視野角約45度のワイドでクリアな3D映像が表示されるため、臨場感が高く、映像にのめり込むことができる。さらに、肝心の3D映像は、有機ELの採用によりコントラストが高く、引き締まった黒を再現できていた。液晶テレビと比べても、黒の表現力については、「HMZ-T1」のほうが勝っていると感じた次第だ。このあたりの映像表現力の高さも、“没入感”を強めている要因のひとつだろう。また、クロストークがないため、個人差はあると思うが“3D酔い”のような現象が発生しなかったことも付け加えておきたい。

さらに、コンテンツによっても左右されるが、「HMZ-T1」で再現される3D映像からは、テレビやプロジェクターのそれとは異なる印象を受けた。よくありがちなレイヤーを重ねたような感じではなく、立体感を追求したような映像で、非常になめらかな奥行き感を表現できていたのだ。ブルーレイ「バイオハザードIV アフターライフ」と、PlayStation 3用ゲーム「グランツーリスモ5」については、自宅の3Dテレビでも視聴しているので、「HMZ-T1」を通してみた映像はかなり印象が違って見えた。

また、「HMZ-T1」は、首を動かしても映像を視聴し続けられるのもポイント。ユニットはバンドを使って固定できるので、首を大きく動かしてみてもユニットがズレるようなことはく、メガネをかけた上からでも装着感は上々であった。気になる点があるとすれば、ヘッドマウントユニットの前方部が若干重いため(ユニット全体の重量は約420g)、どうしても頭が下がってしまい、前のめりの姿勢になりがちなこと。これは、ユニットの前方部に、高性能な光学レンズを搭載しているため、いたし方ない部分ではある。装着時のバランスが極端に悪いというわけではないのだが、少々慣れが必要かもしれないと感じた。

ヘッドマウントユニットの後方に固定用のバンドが備えられている


「HMZ-T1」の最大の特徴は、ヘッドマウントユニットを頭部に装着するだけで、“3D映像空間”を手軽に手に入れられること。テレビやプロジェクター、サラウンドスピーカーを使ったホームシアター環境に比べると、導入への敷居が低いのがポイントだ。しかも、映画館並みの大画面スクリーンが目の前に広がり、クロストークがなく、映像のクオリティも高い。市場想定価格は60,000円前後となっているが、一度、「HMZ-T1」の3D世界を体験すれば、決して高い価格設定ではないと感じるはずだ。店頭やソニーのショールームなどで手に取る機会があれば、ぜひ一度、手に取って試していただければと思う。

取材・記事:価格.comマガジン編集部 mkr

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