連載 - ライター・編集部員による定期連載 -

小寺信良のGadget 2 Go! 第88回 

新設計でどう変わった? USB DAC内蔵プリアンプNANO-UA1a

Olasonicと言えば、最初はPC用の卵型スピーカーで人気が出たオーディオブランドだが、2013年4月から小型でハイレゾ対応のコンポ製品、NANOCOMPOシリーズを商品化している。CDジャケットより少し大きい程度のフットプリントですべての機器を製造、上に重ねて行くことでミニミニなオーディオコンポが出来上がるという製品だ。

容積はどんな機器でも共通なので、やれることは限られると思われがちだが、逆に技術的にはそこが面白いところである。今回はこの中でも、11月から発売されるUSB DAC内蔵プリメインアンプ、NANO-UA1aをご紹介する。

本機はUSB入力のほか、光、同軸のデジタル入力、アナログ入力を持つデジタルアンプだ。ヘッドホン出力もあるので、上質のヘッドホンアップとしても使える。昨年発売されたNANO-UA1の上位モデルで、見た目はほとんど変わらない。なにせ筐体は共通なので、リニューアルしても見た目の目新しさはない。

UA1とUA1aの違いは、スペック的にはDSD2.8MHz/5.6MHzファイルの再生に対応したぐらいだが、中身がまったく別物になっている。外観は最終仕様ではないが、今回は視聴用の試作機をお借りすることができた。

左がUA1、右がUA1a。肩のシール以外はUA1と同じ外観になる予定

中身が違うと言っても何のことだかわからないと思うが、基盤を見れば一目瞭然だ。コネクタやスイッチの位置が同じなだけで、回路的にはまったく別物であることが誰でもわかる。注目はコンデンサの数だ。

左がUA1、右がUA1aの基盤。サイズが同じだけで、全然違う設計であることがわかる

これまでOlasonic設計のアンプは、SCDS(Super Charges Drive Sysytem)という電源供給方式を採用してきた。これは音が小さいときにコンデンサに充電しておき、大音量が来たときに一気にその電気を放出する。したがってスペック上のワット数以上の力強い音の立ち上がりが可能になる。

実はこのしくみ、元々は卵型スピーカー内のアンプにも使われてきたものだ。これの評判がよく、オーディオ雑誌「DigiFi」の付録にこのアンプが付いた号は、あっという間に完売したという逸話もある。今年は3号連続でOlasonic設計の付録企画が展開される予定となっており、オーディオファンの間でOlasonicは着実に足場を築いている。

過去発売されてきたOlasonic設計の付録アンプ。大型コンデンサーで電気を溜めるしくみになっている

低域の繊細さがポイント

実際にDSDファイルで音を聴いてみると、DSD特有の柔らかくかつしなやかなサウンドをうまく弾き出していることがわかる。ハイレゾというと、つい高域に耳が奪われがちだが、本機の注目(注耳?)ポイントは、低音だ。

UA1も低域が良く出るアンプだが、UA1aはその上でさらにベースの輪郭がよりはっきり分離して聞こえる。弦の手触り感というか、ざらっとしたソリッド感がより楽しめるサウンドである。大型スピーカーも十分に鳴らせるパワーはあるが、ブックシェルフ程度でも十分低域の魅力を感じ取れるだろう。ボリュームはやや大きめの方が、その能力がはっきりわかるはずだ。

芯のある低音を実現するポイントが、先ほどのSCDSである。UA1では22,000μF容量のコンデンサーを1個使用していたが、UA1aでは合計で30,000μFまで増やした。1個で賄うのではなく、複数に分散して、その合計で勝負するわけだ。さらに複数の種類を混ぜることで、クセを分散させて平均化している。

今さら、というか今どき、というか、オーディオルームとして1部屋用意できる人は希だろう。スピーカーのセッティングひとつとってみても、部屋のいい位置を確保するのに苦労するご時世だ。スピーカーで聴くとは言っても、オーディオ機器をどこに置くんだ、という悩みも多い。

NANOCOMPOシリーズは、そこに注目したシリーズだ。ハイレゾを聞くには、スピーカーよりもまずはアンプが対応していなければ話にならない。なんでも再生できるDAC+アンプが一つあると、将来のシステムアップも形が見えやすくなる。

せっかくここまで作り込んだコンポがあるなら、Olasonicのハイレゾ対応小型スピーカーも欲しいところだ。こちらのほうも将来の楽しみとして、期待しておこう。

ライター/小寺信良

AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITといったメディアを独自の視点で分析するコラムで人気を博す。主な連載は、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」ITmedia「ケータイの力学」など。週刊メルマガ「金曜ランチボックス」も好評配信中。

NANO-UA1aのラインアップ

モデル 価格.com最安価格
NANO-UA1a [プラチナホワイト] 59,040
NANO-UA1a(B) [シルキーブラック] 59,630

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