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クラスAアンプのフルバランス駆動、11.2MHz DSD、XLRバランス入出力に対応 

ヘッドホンの相性やプリアンプの実力は? “究極”のオールインワン・ヘッドホンアンプ、OPPO「HA-1」徹底レビュー!

2014年7月14日発売のOPPO初のヘッドホンアンプ「HA-1」。8月1日時点での価格.com最安価格は166,000円程度

高級ヘッドホン市場の拡大にともない、ポータブル・据え置き型の両方でヘッドホンアンプのニーズが高まっている。ヘッドホンアンプは、高級ヘッドホンをより高音質に鳴らすために活用したい機器であるが、この夏、高級BDプレーヤーを手がけるOPPOから注目度の高いモデル「HA-1」が登場した。USB DAC搭載ヘッドホンアンプで、クラスAパワーアンプによるフルバランス駆動のヘッドホンアンプを採用するほか、11.2MHzのDSD 入力に対応したり、XLRバランスのアナログ入出力を装備していたりと、あれこれと活用できそうな、“究極”と呼びたくなるオールインワンタイプのヘッドホンアンプに仕上がっている。2014年7月14日に発売になったばかりの新モデルだが、8月1日時点の価格.comの「ヘッドホンアンプ・DAC」カテゴリーでは、売れ筋ランキングの5位に位置する人気モデルとなっている。


ここでは、現在、デスクトップオーディオ用の試聴システムを構築しているというオーディオ・ビジュアル・ライターの野村ケンジ氏が、「HA-1」の特徴と音質をくわしくレビューする。


記事:オーディオ・ビジュアル・ライター野村ケンジ

ボリューム調整や入力切り替えが可能な赤外線リモコンが付属。Bluetoothで接続したスマートフォンからの専用アプリを使った操作も可能となっている

直販限定になるがシルバーカラーモデルも用意されている

構築中のデスクトップオーディオシステムへの導入に最適な製品

実のところ、筆者はいま、自称“ミニマムシアター”とは別の場所にデスクトップオーディオ用の試聴システムを構築している最中だ。とはいえ、段ボール山積みの倉庫状態だった場所に無理矢理スペースを確保するところから始まっているため、足かけ2年経ったいまでも、完成はだいぶ先になりそうな気配となっており、まさに絶賛構築中という言葉がぴったりの状態が続いている。スペインのサグラダ・ファミリアよろしく、途中の状態ながらも時々Webや誌面などにチラリと登場しているが、完成形はこんなものじゃない、まだまだ本気出してないぞ、と苦し紛れな言い訳をしたくなる中途半端な状態であることは確かだ。

とはいえ、リファレンスシステムの骨子はある程度固まってきており、すでにメインスピーカーはELAC「BS312」を導入済み。プリメインアンプにはAURA Design「Vita」を、USB DACにはRATOC「RAL-24192DM1」(USB DDCとしてResonessence Labs「CONCERO」を使用)、ヘッドホンアンプにはORB「JADE-2」(こちらもUSB DDCとしてJAVS「X-DDCplus」を使用)を利用している。加えて、ORBの切り替え機も4台導入しており、さまざまな製品がスイッチひとつで比較試聴できるようになっている。あとはきちんとしたオーディオラックを購入し、整然と設置するだけなのだが、“建設中”があまりに長く続きすぎたために、最近になって“リファレンス”としては気になる点がいくつか出てきた。それは、

1.DSDネイティブ再生環境がないこと
2.ヘッドホンのバランス駆動環境がないこと
3.AURA Design「Vita」が薄型ながらも幅がフルサイズであり、デスクトップ向けとはいいづらいこと

という3つのポイントだ。

うち、AURA Design「Vita」はデザイン、サウンドともにかなりのお気に入りのため、可能な限りというか、コンパクトサイズでこれに対抗しうるものが登場しないかぎりそのまま使い続けようと思っているが、仕事柄、1と2が非対応のままとなっているのはゆゆしき問題だ。そこで、さまざまな媒体でさまざまな製品の試聴をさせてもらいながら、自分の環境にぴったりの1台をそれとなく物色していたところ(いつもいつも役得ですいません)、これは、と思える製品が登場してきた。なにをかくそう、それが今回紹介するOPPO「HA-1」だ。

コンパクトボディにプリアンプとしても活用できる機能と入出力を装備

OPPOといえば、日本国内では高級BDプレーヤーが有名だ。というか、高級BDプレーヤーといえばOPPOの一択、といいたくなるくらい現在のところライバル知らずの状況である。実際、筆者も「BDP-105DJP」を“ミニマムシアター”に導入しており、BDプレーヤーとしてはもちろん、ネットワークプレーヤーとしても(時にDSD5.6MHz対応のUSB DACとしても)活用している。ESS社製DAC「ES9018」をマルチチャンネルとステレオで1つずつ搭載していたり、アナログ出力も別基板を用意するなど、さまざまな独自技術を投入することによって、音質的にもかなりの上質さを持ち合わせており、映像コンテンツだけでなく、音楽再生にも十分役立ってくれる、なかなかのすぐれものに仕上がっている。そんなOPPOから、初のヘッドホンアンプとしてデビューした。それがこの「HA-1」である。

ESS社製DAC「ES9018」の搭載など、基本的なハードウェアスペックはBDプレーヤー「BDP-105DJP」のオーディオパートに近い内容となっているが、ディテールをくわしく見てみると、かなりの専用設計が盛り込まれており、これまでのノウハウを生かしつつも、まったく別の新しい製品を作り上げていることがわかる。たとえば、ヘッドホン出力は、左右対称かつフルバランス設計となる、クラスA動作のディスクリート・パワーアンプ回路を採用。しかも、パーツに選別品を使用して、左右の特性をマッチさせるなど、作り込みも細やか。いっぽうで、電源部には大型トロイダルコアトランスや、高品位リニアパワーレギュレーター&電源ラインフィルターを搭載。安定した電力供給を実現させている。

機能面でも、高性能かつ多彩というのが「HA-1」ならではの特徴だ。入力は、384kHz/32bitまでのリニアPCMと11.2MHz(!)までのDSDに対応するUSBに加え、同軸、光、AES/EBUのデジタル入力も搭載。さらに、aptX対応のBluetoothやiPodデジタル接続も用意。さまざまなデバイスの音源を、「HA-1」1台に集約することができる。ヘッドホン端子は、4pin のXLRバランスと、標準ジャックのアンバランスの両方に対応する。さらに、RCAおよびXLRのアナログ入出力も装備。さまざまなデバイスと接続できるデジタル(メインでアナログも1系統ながらしっかり対応している)プリアンプとしても活用することができる機能性を備えているのだ。そんな、機能性と音質に対するこだわりがとことん盛り込まれていてもなお、254(幅)×80(高さ)×333(奥行)mmという、デスクトップ用としても活用できるコンパクトサイズにまとめられているのだからすばらしい。

また、フロントパネルの4.3インチTFT液晶ディスプレイは、楽曲の情報表示に加えて、VUメーターやスペクトラムアナライザーにも切り替えが可能となっている。特にVUメーターは、なかなか雰囲気がよい。こういった、ちょっとした“遊び心”もうれしいかぎりだ。

前面に、ヘッドホン端子として、4pin のXLRバランス出力と、標準ジャックのアンバランス出力を装備。USB端子も装備されている

背面には、各種デジタル入力のほか、RCAおよびXLRのアナログ入出力が備わっている

多彩な機能を詰め込んだヘッドホンアンプだが、ボディは254(幅)×80(高さ)×333(奥行)mmとコンパクトに仕上がっている

4.3インチTFT液晶ディスプレイは、VUメーターやスペクトラムアナライザーなどの切り替えが可能

「HD800」と「SRH1540」を使ってサウンドをチェック

とはいえ、肝心なのはそのサウンドだろう。ということで、まずはPC(MacBook Air)をUSB接続し、ゼンハイザー「HD800」を使ってバランス駆動のヘッドホン出力から試してみることにした。

実力に関しては、なかなかのもの。あれほど“ヘッドホンアンプをシビアに選ぶ”“鳴りにくい”とウワサされる「HD800」が、重心の低く保たれた、落ち着き感のあるサウンドを奏でてくれるのだ。こういったウェル(帯域)バランスなサウンドを聴かせてくれるヘッドホンアンプは、ゼンハイザー純正以外ではなかなか見つけられないので、その点において貴重な存在といっていい。いっぽうで、「HD800」ならではの超解像度や抑揚表現の細やかさ、巧みさなどもしっかり引き出されており、リアルかつ情緒たっぷりのサウンドが存分に楽しめる。まるで、「HD800」専用チューンされたヘッドホンアンプであるかのような、相性のよさだ。それは、標準(アンバランス)ヘッドホン出力でも同様。フロアノイズレベルの上がった、やや雑味を帯びた音色傾向になるものの、ダイナミックさときめ細やかさを両立した「HD800」ならではの上質さは健在。特にアコースティック楽器との相性がよく、チェロなどは、芯の強いボーイングの響きが堪能できた。

続いて、シュア「SRH1540」を試してみる。こちらは、手元にXLR3pin×2のバランスケーブルしかなかったため、変換ケーブルを使いXLR4pinにしてバランス駆動ヘッドホン出力を試聴した。

相性のよさは「HD800」に譲るものの、こちらもなかなか。低域の解像度感が高く、ボリュームも適当なため、とてもクリアな音に感じられる。女性ボーカルなどは、高域の倍音がきれいに整った、伸びやかな歌声を楽しませてくれる。標準(アンバランス)ヘッドホン出力も近いニュアンスながら、やや高域の張り出しが強くなる傾向を持ち、女性ボーカルがよりハリのある、力強い歌声になった印象だ。

OPPO初のオープンエアー型「PM-1」でもチェック。相性がよくないヘッドホンも……

さて、本命といえる「HA-1」とほぼ同時発売された、OPPO初となるオープンエアー型ヘッドホン「PM-1」でも試聴した。こちらは、7層構造の平面振動板や薄膜ポリマーの両面にエッチングされた渦巻き形状のアルミ導体を使用する、個性的な作りに仕立てられている。こちらに、オプションで用意されている「Balanced Headphone Cable(3m)」を組み合わせ、まずはバランス駆動のヘッドホン出力から試してみた。

相性については、さすがは純正組み合わせといいたくなるレベル。刺激の少ない、それでいて伸びやかな高域は、聴いていてとてもすがすがしいし、かといってパワー感がない繊細な音、というわけではなく、フォーカス感の高い低域によって、リズミカルで抑揚にとんだサウンドを楽しませてくれる。興味深いのは、標準(アンバランス)ヘッドホン出力との相性のよさだ。まるで「PM-1」専用のチューニングが施されているかのごとく、聴感上の帯域バランスがフルフラットな印象の、ストレートな表現のサウンドが楽しめる。システムの違いから、バランス駆動に比べてフロアノイズレベルは高くなるものの、それがあまり気にならない、ダイナミックな表現を持ち合わせている。「HA-1」と「PM-1」のバランス駆動は、アコースティック楽器などの繊細な表現を得意とする傾向があるので、ロックやJポップなどを迫力満点でガッツリ聴きたい場合は、あえて標準出力を利用するのも手かもしれない。

逆に、相性がそれほどよくないヘッドホンもあった。AKGの「Q701」や「K712」などがその典型例で、高域が悪目立ちしてしまい、キンキンとうるさい音になってしまう傾向がある。正直、好みの問題の範疇ではあるのだが、こと標準出力に関しては、AKGファンよりもゼンハイザーファンとの相性がよい(もちろん「PM-1」も同様)ヘッドホンアンプであることは確かだ。「PM-1」、およびゼンハイザーユーザー以外の人は、自分の愛用ヘッドホンとの相性がいかなるものか、念のため確認しておいたほうがよさそうだ。

プリアンプとしての実力は?

最後に、プリアンプとしての実力もチェックした。こちらは、リアパネルのXLRバランス出力をAURA Design「Vita」に接続して試聴。いやもう、これがとてつもなくすばらしい。

バランス駆動ヘッドホン出力に対してもフロアノイズレベルが格段に向上、とてつもなくピュアな、精細な表現の極上サウンドが出現したのだ。おかげで、チェロの演奏はボーイングの響きがビブラートのひとつひとつまで感じられるし、ホールに広がる響きまでしっかりと聴き取れるようになったため、レコーディングされた空間の詳細までしっかり伝わってくるようになった。エレキギターも、エフェクターの高価がしっかりと表現され、かつ倍音成分が絶妙なそろいを見せるようになったため、一段と厚みのある、印象的な演奏に生まれ変わってくれた。この価格帯で、ここまでピュアなサウンドを実現している製品はそうそうない。いっぽうで、「ES9018」はこういう音も出せるのか、という新鮮な驚きもあった。「ES9018」というと、特性の秀でたピュア志向の音ながら、ぬくもりの希薄な素っ気ない音、というイメージが強かったのだが、とことんピュアさを追い求めることで、温度感うんぬんを超えた、印象的かつ多彩な表現をしてくれるのかと、ひたすら感心するばかりだ。ちなみに、プリアウトに関しては、ボリュームのオン・オフよりも、フロントパネルの表示オフのほうが音質の向上に貢献してくれた。UVメーター表示がなかなかにいいので、どうするか迷うところではある。

まとめ

音質、とくにプリアウトに関してはかなりのアドバンテージを持っているのにもかかわらず、機能性も高く、使い勝手も良好。コストパフォーマンスの高さについては、かなりのものといえる。特に、1系統とはいえXLRバランスのアナログ入力が用意されていたり、11.2MHzのDSDに対応しているなど、筆者の使用環境にもピッタリ当てはまる。ゆえに、ああもう、これは手に入れるしかない、という結論に相成ったわけである。

ということで先日「HA-1」をオーダーし、つい先ほど到着。いままさに使い始めたところである。コンデンサなどに多少のエージングが必要なのか、試聴機に比べてやや硬い音になっているが、それは使い続けていくうちに本領を発揮してくれるだろう。筆者のように、デスクトップオーディオ環境を構築しようとしている人や、上級パワードスピーカーを使っている人、良質なバランス駆動ヘッドホンアンプがほしいと考えている人に適した優秀な製品だ。

記事:オーディオ・ビジュアル・ライター野村ケンジ

HA-1

HA-1

価格.com最安価格 149,500

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