連載 - ライター・編集部員による定期連載 -

【編集部通信】オーディオファン注目の新モデルを発売前に試してみました 

「NANOCOMPO」の小型プリメインアンプでELACは鳴るか!?

2013年4月下旬の発売が予定されている、「NANOCOMPO」シリーズの小型プリメインアンプ「NANO-UA1」。東和電子独自のSCDS回路(Super Charged Drive System)を搭載するDAC内蔵のデジタルアンプです。SCDS回路とは、大容量コンデンサー(キャパシター)を使用して、小信号時に充電し、大信号時に蓄えたパワーを供給することで、連続して大きな出力を可能にする技術で、同社の「Olasonic」スピーカーでも採用されています。「NANO-UA1」では、26W+26W(ダイナミックパワー、4Ω負荷)の出力ながらも、このSCDS回路により、数値を超えたパワー感が得られるとのことです

自宅の引っ越しにともない、リビングのオーディオシステムの見直しを行っている価格.comマガジン編集部デスク担当のmkrです。2012年7月末に引っ越して約半年。「システムの小型化」をテーマに、スピーカーとアンプの買い替えを検討してきました。今回の編集部通信では、筆者の取材とオーディオ機器選びを通して、「これはなかなかいい!」と感じた、東和電子「NANOCOMPO」シリーズの小型プリメインアンプ「NANO-UA1」を紹介させていただきます。


その前に、筆者自宅のオーディオシステム見直しの背景について少し説明させてください。新居のリビングは、10畳程度のスペースでして、旧居よりも狭くなっています。そのため、スピーカーもアンプも、できるかぎりコンパクトなものにしたいと考えています。5.1chや7.1chなどのマルチチャンネルにできればいいのですが、現状ではマルチスピーカーの設置は厳しいので、ステレオ環境でいきます。なお、旧居では、設置スペースに問題がなかったこともあって、スピーカーにはKEFの「iQ30」を、アンプにはHDMI非搭載のハイエンドAVアンプをメインに使ってきました。AVアンプについては、古くて大型の製品であったため、引っ越しのタイミングで思い切って手放しています。「ゼロからやり直したい」という、新居に対するピュアな思い?もあってそうしました(後悔しています)。


オーディオ製品選びのスタートとなるスピーカーですが、自宅リビングには設置上の制限があります。「テレビ台の両サイドの空きスペースに設置する」というのが、家族(嫁)を説得できた条件なのです。そのサイズは、幅16cm程度。「狭っ!」という声が聞こえてきそうですが、家族の共有スペースであるリビングでは、多かれ少なかれ、筆者のようにAV機器に対して制限を設けている(設けられている)家庭も多いのではないでしょうか。


このサイズに設置できるコンパクトスピーカー選びは、正直、かなり難しいです。ただ、スピーカーはすでに決定しています。ELACの小型スピーカー「ELAC 310 INDIES BLACK」(インピーダンス4Ω、能率86dB。以下、ELAC 310IB)を選択しました。オーディオ・ビジュアル・ライターの野村ケンジさんに聴かせていただき、123(幅)×208(高さ)×270(奥行)mmのコンパクトなスピーカーからは想像できない豊かな音に感動し、ひと目ぼれ。「ELACにしては鳴らしやすいよ」という野村さんのひと言もあって、昨年、2本で希望小売価格24万円のスピーカーを思い切って購入しました。


この「ELAC 310IB」ですが、野村さんがおっしゃるように、ある程度のアンプでもクオリティ感のあるサウンドを楽しむことができます。ただ、当たり前ですが、野村さんにセッティングしてもらった時のようにはいかないんですよね…。「ELACのスピーカーは鳴らしにくい。アンプ喰い」とよく言われますが、確かにそのとおり。電源やケーブル、設置にまでこだわって、野村さんに聴かせてもらった音が頭に残っているもので、どうしてもハードルが高くなっているのです。エントリークラスのプリメインアンプや、10万円クラスのAVアンプを試してみましたが、思うようにいきません。特に問題なのは低域の量感。これは、どのスピーカーでも同じことだとは思いますが、より駆動力の高いアンプでないと、スピーカーが本来持っている能力を出すことはできないのです。ミドルクラス以上のプリメインアンプか、最上級のAVアンプであれば、ある程度いけるのはわかっているのですが、そうなると予算オーバーになってしまいます。「ELACを選んでおいてアンプ代をケチるなんて!」というお叱りの声も聞こえてきそうですが、できれば10万円未満で、7〜8万円くらいで何とかしたいと考えています。

自宅リビングの写真です。テレビ台の幅16cm程度の省スペースに「ELAC 310IB」を設置しています。「このスピーカーがこんな設置の仕方ではもったいない」という意見はよくわかります。あと、実は、KEF「iQ30」は残してあります。家族(嫁)からは「なんで残してるの?」と言われますが、ごにょごにょ言ってごまかしています。なお、再生機には、パイオニアのネットワークオーディオプレーヤー「N-50」を使っています

ここにアンプを置く予定です。大型のAVアンプでも問題なく設置できますが、小型のアンプであれば、「棚を2段にして利用できる」という家族(嫁)へのアピールになります

それで、先日、東和電子さんに取材にうかがったときの話に移ります。取材では、「Olasonic」ブランドのテレビ用の小型スピーカー「TW-D5TV」(4月下旬発売。市場想定価格9,980円)にあわせて、コンパクトな単品コンポーネントシステム「NANOCOMPO(ナノコンポ)」シリーズの第一弾製品であるDAC内蔵プリメインアンプ「NANO-UA1」を試聴させていただきました。4月下旬発売の新製品ですが、以前に「NANOCOMPO」の新製品発表会で、KEFの「R700」(インピーダンス8Ω、能率89dB)や、ソニーの「SS-NA2ES」(インピーダンス4Ω、能率90dB)をしっかりとドライブする姿を見てから注目していたモデルです。今回聴いたのは、ほぼ製品版の試作機になりますが、KEFの「LS50」(インピーダンス8Ω、能率85dB)が堂々と鳴る姿に驚かされ、また、以前に聴かせてらったときよりも低音のしまりがよくなり、SN感が向上していることも確認。149(幅)×149(奥行)×33(高さ)mm(突起部を除く)というコンパクトサイズも自宅リビングにピッタリで、価格は73,500円で予算内。試聴後に、「これならいけるんじゃないか」と思い、東和電子の山本喜則社長に「自宅のELACスピーカーと組み合わせて一度使わせてください」とお願いしました。それで、短い期間ですがお貸し出しOKをもらった次第であります(山本社長、ありがとうございます)。

で、本題です。自宅にて「NANO-UA1」と「ELAC 310IB」を組み合わせて使ってみた結果をレポートします。山本社長には「正直に書いていいですよ」と言われたのでそうします。

結論から言うと、「NANO-UA1」は、ELACの「ELAC 310IB」を十分に鳴らすことができました。10万円クラスのAVアンプでは厳しかった低域も豊かに出ます。さらに、これまで試してきたエントリークラスのプリメインアンプや、10万円クラスのAVアンプと比べると、中高域がよりクリアで解像度感も上がっており、細かい音まで見通しよく聴こえます。ステレオのセパレーションも明らかによくなり、全体的に音のクオリティがワンランクアップした印象です。普段は、一時的にエントリークラスのプリメインアンプを接続して聴いているのですが、家族(嫁)も、「NANO-UA1」で音を出してすぐに「あれ?音がよくなった」と言ってきました。「NANO-UA1」は、ミドルクラスのプリメインアンプかそれ以上の実力を秘めていると言っても過言ではないでしょう。さらに、ハイレゾ音源を試聴してみて感動しました。スピーカーのポテンシャルを引き出しているのだと思いますが、ハイレゾ再生時の空気感や立体感が大きくアップしたのです。野村さんに初めて「ELAC 310IB」を聴かせてもらったときの感覚がよみがえった気がしました。

自宅にて、プリメインアンプ「NANO-UA1」、スピーカー「ELAC 310IB」、パイオニアのネットワークオーディオプレーヤー「N-50」で音をチェックしました。NASやパソコンの音源を使っています

音質だけではありません。「NANO-UA1」は、筐体デザインと機能性でも、リビングで使用するのに魅力的なプリメインアンプになっています。デザインでは、リビングに設置することを意識して設計されており、149(幅)×149(奥行)×33(高さ)mm(突起部を除く)という超コンパクトサイズを実現したのが特徴(※「NANOCOMPO」シリーズで共通のサイズです)。ボディはアルミダイキャストで、ホワイトカラーも高級感があります。この「小さくて白いボディ」というのは、わかる人にはわかると思うのですが、家族(嫁)を説得しやすい材料でもあります。また、機能性では、リモコンでの各種操作が可能なのがポイント(これも説得材料になります)。電源のオン・オフだけでなく、音量の調整にも対応しています。「ハイブリッド・ボリウム」という機能を備えており、筐体のメカボリュームの位置を変えずにリモコンで音量調整が可能となっているのです。これは非常に便利。また、入力は、USB、光デジタル、同軸デジタル、アナログ(ステレオミニ)に対応しています。USBは96kHz/24bit、光デジタル・同軸デジタルは192kHz/24bitの入力が可能で、ハイレゾ音源も楽しむことができます。アナログRCA接続がないのは、純然たるプリメインアンプとして見るとマイナス点ですが、筐体サイズを考慮すると致し方ないところでしょう。

「NANO-UA1」のボディサイズは149(幅)×149(奥行)×33(高さ)mm(突起部を除く)で、重量は890g。ボディカラーは、新製品発表会の時のシルバーとは異なり、プラチナホワイトとなりました。このほか、ボリュームノブなどのデザインも変更になっています。その理由について山本社長は、「もっと高級感が欲しいという声があって、それに応えました」と説明してくれました

「NANO-UA1」は、一般的なオーディオ機器と比べると非常にコンパクト。自宅では、テレビ台の上に設置することができました。ということは、ラックを使わなくてよくなり、さらなるアピールにつながるというわけです

縦置きにも対応。別売オプションで、縦置き用の木製スタンドを用意するとのことです

入力は、USB、光デジタル、同軸デジタル、アナログ(ステレオミニ)に対応。USBは96kHz/24bit、光デジタル・同軸デジタルは192kHz/24bitの入力が可能です。また、TI社製Burr-BrownブランドのRate Converter「SRC-4392」を採用し、すべての入力において、192kHz/24bitへのアップサンプリング処理が行われます。DACは、Burr-Brownの「PCM1792」で、IV変換回路は、Burr-Brownの「OPA2132」。すべてのデジタル入力に対してジッターフリー設計となっていて、クロックには温度補償水晶発振器(TCXO)を採用しています。高音質なヘッドホン端子(3.5mmミニ)を備えるのもポイント。なお、背面のデザインも、新製品発表時から変更になっています

付属のリモコンで、電源のオン・オフや入力切り替えが可能。「ハイブリッド・ボリウム」により、リモコンで音量を調整することもできます

なお、余談になりますが、「NANO-UA1」は、電源の極性に敏感なタイプの製品です。取扱説明書にも、電源ケーブルの極性の合わせ方が書いてあります。試しに、極性を逆にして聴いてみましたが、音の透明感やステレオセパレーションが悪くなってしまいました。あえて逆にしてセッティングする場合もあると思いますが、「NANO-UA1」についてはストレートに使ったほうがよさそうです。また、スピーカーケーブルは、接続するスピーカーにもよるのですが、クセのあるものよりも、素直に音を伝えるストレートなもののほうがよいと感じました。低域に特徴があるケーブルを使ってみましたが、やや低域のレスポンスが悪くなり、重たい音になってしまいました。

付属のACアダプターと電源ケーブル。取扱説明書には、極性の合わせ方が書かれています

「NANO-UA1」は、「10万円以下」という価格のくくりの中では、現状、これまで試したアンプの中では、筆者の条件にもっともマッチする製品です。発売が開始される4月下旬までに他製品も試してみたいと思っていますが、「超コンパクトでリモコンが使える」という他にはない特徴があるので、今のところは「このアンプを選びたい」と思っています。筆者と同じように、リビングでのアンプ選びに悩んでいる方に興味を持っていただきたい製品です。

なお、「NANO-UA1」の詳細レビューは、後日お届けする予定です。野村さん、音質のインプレッションをよろしくお願いします!

底面は、ゴム足でネジが見えない仕様に変更になっています(※写真は試作機ですので、製品版とはゴム足の作りが異なっています)

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