バックナンバーを見ておわかりかと思うが、筆者は昨年末にWiMAXのル…
(2012年5月16日掲載)
2011年12月28日掲載
スズキという枠を超え、今や日本屈指のコンパクトスポーツとうたわれる「スイフトスポーツ」。その新型モデルが2011年12月13日より発売開始となった(CVTモデルは2012年1月27日より)。ベースとなった「スイフト」が発表された2010年9月から1年と3か月ぶりとなる待望の登場だ。
2005年に発表された先代「スイフトスポーツ」は、走って楽しいコンパクトスポーツとして、日本だけでなく世界中で高く評価された。また、「WRC」(世界ラリー選手権)の下部カテゴリーとなる「JWRC」にも参戦し、華々しく活躍。「軽自動車だけではなく、スズキは走っても楽しい!」というメッセージを「スイフトスポーツ」は大きく発信したのだ。その新型の登場である。「走って楽しい」というのは、「スイフトスポーツ」にとっては必須だ。そのうえで新型は我々にどんな魅力を提示してくれるのだろうか? 開発者、デザイナーへのインタビューを交えながら、くわしくレポートしよう。
まずは新型「スイフトスポーツ」のアウトラインから説明しよう。エンジンは、従来と同じ1.6リッターのM16A型だが、インテークでの可変吸気システムの新採用や、細やかなチューニングの煮詰めなどで、従来型よりも出力が8kW(11PS)向上。最高出力は100kW(136PS)/6900rpmに達した。トルクは160Nm/4400rpmで、こちらも従来型よりも12Nm向上している。ミッションは先代の5速MTと4ATから、6速MTとCVTに。多段化により燃費性能も向上し、燃費はJC08モードで14.8km/l(6MT車)・15.6km/l(CVT車)となった。10・15モードで従来型と比べると、MT車が約7%の燃費向上、CVT車は約18%の燃費向上となる。
シャシーは、標準車をベースにしながらも「スイフトスポーツ」専用のチューニングが幅広く行われた。フロントサスペンションのストラットは大型化しており、リバウンドスプリング内蔵のショックアブソーバーを採用。リアサスペンションは旋回時の安定性を高める専用設計となった。ショックアブソーバーはモンロー製だ。また、ステアリング・ギアボックスおよびサスペンションの取り付け剛性を高めて、ステアリングの操作に対する応答性が高まっている。こうした作り込みもあり、ダイレクトな操作感とフロントに対する追従性の高いリアサスペンションを実現。機敏なハンドリングを生み出している。また、ホイールは専用の17インチ。前後ブレーキも大径のディスクブレーキを採用し、制動力を高めた。
エクステリアは、専用のフロングリル、サイドアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラー、リアコンビネーションランプ、デュアルエキゾーストパイプをのぞかせるディフューザーを採用。先代のイメージを残しつつも、モダンで迫力あるルックスを生み出す。
インテリアは、専用の本革巻ステアリング、シート、大型ペダルプレートを装着。インパネにはヘアライン調の加飾が施されており、上質感が高まっている。
このほか、安全装備として横滑り防止装置のESPを標準装備。また、リアシート中央席にもヘッドレストと3点式シートベルトを採用。イモビライザーとセキュリティアラームシステムを標準とした。
このように、新型「スイフトスポーツ」は、ぐるりと見渡せば走行性能が向上しただけでなく、上質なインテリア、6速MT、17インチアルミホイール、ESPなど、商品性も高められている。それでいて価格は6MTで168万円(CVTモデルは174.852万円)。先代の162.75万円(5MT)/168万円(4AT)からの上昇を若干に抑えたところはうれしいポイントだ。
続いて、新型「スイフトスポーツ」の肝心の走りをレポートしたい。最初に乗り込んだのはCVTモデルだ。室内をのぞくと、普通の「スイフト」とは「違う」ことに気付く。本革巻きステアリングや赤いステッチの入った専用シートは、黒を基調としたインテリアの中にスポーティーさを醸し出す。また、インパネに鈍く光るヘアライン調の加飾は高級感をプラスする。国産の安価なコンパクトカーというイメージとは遠く離れた雰囲気だ。
プッシュボタンを押してエンジンを始動。そこで驚いたのは静粛性の高さであった。アイドリングストップ機能は備わっていないが、一時停止時の振動や音が非常に小さい。CVTは一時停止中にクラッチを切り離して振動を減らす制御を行っているという。
走り出しは非常になめらか。段差を越えるとコツコツと振動が入ってくる。明確に足が固められていることはわかる。だが、その振動はカドが丸められており、不快というほどではない。のんびりと走っているときは、ステアリングの微少な中立部分の反応はやや曖昧だが、リラックスできるとも言える。CVTの制御もなめらかでギクシャクしない。街中を普通に走るときの快適性はしっかりと確保されていた。
ワインディングにクルマを持ち込み、CVTをマニュアルモードに入れる。ステアリングについたパドルでのシフトチェンジは、タイムラグが少なくストレスを感じることはほとんどなかった。正直に言えば、CVTはダイレクト感というものにもっとも遠いミッションだと思っていた。それなのにマニュアルモードにすればCVTでもスポーティーに走ることができたのだ。最新のCVTは、過去のものとは見方を変えなければならないだろう。
次に6速MTに乗り換える。室内の雰囲気も乗り心地もCVTと変わらない。ただ違うのはペダルの数とシフトノブだ。そのクラッチペダルの踏み応えは軽い。6速MTは長すぎもなく短すぎもなく、適切なストローク。軽く各ギアに吸い込まれるように入ってゆく。
エンジン出力は低回転からトルクが出るタイプ。官能的ではないけれど、気付けばしっかりスピードが出るというもの。ちゃんと速いクルマを作ろうというときに好まれる特性だ。
ワインディングで、ステアリングを切り込んでいけば、クルマは一体感を持って曲がり始める。ゆるいコーナーから回り込むコーナーまで、正しくフロント・タイヤに荷重をかければ狙ったラインをピタリと外さない。また、コーナーへのアプローチに失敗してもアンダーステアは最小限。不安定な挙動はほとんど出ない。上下にうねり段差のあるコーナーを高速で駆け抜けても、ラインは乱れない。どんなシチュエーションでも4輪がしっかりと路面をとらえ続ける安心感がある。もしも不安定な状況になればESPが介入して、クルマを安全域に引き戻してくれる。ESPは、インナーフェンダーを擦る「ザザッ」という音に近い音で、その作動具合を知ることができる。どちらにせよ、高い限界性能を土台に安全性が担保された中で、いろいろと振り回せるのだ。
ワインディングでの新型「スイフトスポーツ」の走りをふり返れば、その懐の深さが印象的であった。運転手の要求にダイレクトに応えつつ、失敗したときもやさしく対処してくれる。また、そもそも失敗しにくい。なんともやさしいスポーツカーであったのだ。