新製品レポート - ニューモデルの詳細情報をいち早くチェック! -

高感度画質とレスポンスが向上したハイアマチュア向け新型フルサイズ機 

これがキヤノンの考える着実な進化 「EOS 5D Mark III」レビュー

キヤノン「EOS 5D Mark III」

キヤノン「EOS 5D Mark III」は、2012年 3月22日に発売開始となった、35mmフルサイズ対応デジタル一眼レフカメラの新モデル。くしくも、ニコンのフルサイズ機「D800」と同日発売となっており、「D800」と並んで、この春に登場するデジタルカメラの中で大きな話題を集めている1台だ。ただ、発売直後の評価は、従来モデル「EOS 5D Mark II」ほど高くはない。それは、本機が、「有効約3230万画素」を実現した「D800」のような圧倒的なスペックアップを果たしていないことが大きく影響している。いい意味でも悪い意味でも、“着実”な進化なのだ。


しかし、である。今回、「EOS 5D Mark III」を使ってみて、スペックでは伝わりにくいところで大きな進化を遂げたカメラに仕上がっていることがわかった。「EOS 5D Mark II」のウィークポイントをほぼ解消しているのがポイント。ここでは、「EOS 5D Mark III」の「画質」「基本性能」「操作性」「機能」の進化点をくわしくレビューして、「EOS 5D Mark III」が持つ魅力を伝えたい。

「EOS 5D Mark III」のボディサイズは約152(幅)×116.4(高さ)×76.4(奥行)mmで、重量は約950g(付属バッテリーなど含む)

左が「EOS 5D Mark III」で、右が従来モデル「EOS 5D Mark II」(2008年11月発売)

「EOS 5D Mark III」を含めて、「EOS 5D」シリーズ全3機種を並べてみた

画質 高感度耐性が向上

「EOS 5D Mark III」は、撮像素子に、新開発の35mmフルサイズCMOSセンサー(有効2230万画素)を採用している。画素数だけを取ると、従来モデル「EOS 5D Mark II」の有効2110万画素から100万画素程度のわずかなアップとなっており、ライバル機となるニコン「D800」の有効3630万画素と比べてしまうと「インパクトに欠ける」感じは否めない。しかし、画素数を無理に増やさなかったことは、高感度時の画質にとっては大きなメリットだ。しかも、今回開発された新しいCMOSセンサーは、これまで35mmフルサイズでは難しかったマイクロレンズのギャップレス化などを実現しており、集光効率が大幅に向上している。加えて、映像エンジンには、従来の「DIGIC 4」の約17倍の処理性能を持つ「DIGIC 5+」を採用し、高感度時の大幅なノイズ低減を実現しているのである。

実際、「EOS 5D Mark III」が対応する感度を見ると、常用で最大ISO25600、拡張で最大ISO102400相当に対応。従来モデル「EOS 5D Mark II」が常用で最大ISO6400、拡張で最大ISO12800であったことを考慮すると、高感度耐性が大幅にアップしていると読み取れる。

以上を踏まえたうえで、「EOS 5D Mark III」の画質についてレポートしよう。

 

感度別作例(屋内) ISO50〜102400

「EOS 5D Mark III」と交換レンズ「EF50mm F1.2L USM」を使用して、室内の蛍光灯下(真っ暗な室内で明るめの蛍光灯ライトを利用)で同じ被写体を感度別に撮影してみた。撮影は、絞り優先AEでF値をF8に固定し、高感度撮影時のノイズ低減「標準」、記録画質「JPEGラージ/ファイン」、測光モード「評価測光」、露出補正「0.0」、ホワイトバランス「オート」、ピクチャースタイル「スタンダード」、レンズ光学補正「周辺光量補正:する、色収差補正:する」、長秒時露光のノイズ低減「しない」、オートライティングオプティマイザ「標準」、高輝度側・階調優先「しない」の設定で行った。

■感度別に撮影した写真のサムネイル画像

※以下に掲載する画像は、撮影写真の一部分(300×225ドット)をピクセル等倍で切り抜いた画像となっています。クリックするとリサイズ・補正を行なっていない撮影写真(5760×3840ドット)が別ウィンドウで開きます。

ISO50(拡張感度) ISO100

F8、1秒

F8、1/2秒

ISO200 ISO400

F8、1秒

F8、1/2秒

ISO800 ISO1600

F8、1/15秒

F8、1/25秒

ISO3200 ISO6400

F8、1/60秒

F8、1/125秒

ISO12800 ISO25600

F8、1/250秒

F8、1/500秒

ISO51200(拡張感度) ISO102400(拡張感度)

F8、1/1000秒

F8、1/2000秒


感度別作例(屋外) ISO100〜3200

「EOS 5D Mark III」と交換レンズ「EF24-105mm F4L IS USM」を使用して、斜光下で同じ被写体を感度別に撮影してみた。撮影は、絞り優先AEでF値をF8に固定し、焦点距離「24mm」、高感度撮影時のノイズ低減「標準」、記録画質「JPEGラージ/ファイン」、測光モード「評価測光」、露出補正「0.0」、ホワイトバランス「オート」、ピクチャースタイル「スタンダード」、レンズ光学補正「周辺光量補正:する、色収差補正:する」、オートライティングオプティマイザ「標準」、高輝度側・階調優先「しない」の設定で行った。

■感度別に撮影した写真のサムネイル画像

※以下に掲載する画像は、撮影写真の一部分(300×225ドット)をピクセル等倍で切り抜いた画像となっています。クリックするとリサイズ・補正を行なっていない撮影写真(5760×3840ドット)が別ウィンドウで開きます。

ISO100 ISO200

F8、1/320秒

F8、1/640秒

ISO400 ISO800

F8、1/1250秒

F8、1/2000秒

ISO1600 ISO3200

F8、1/4000秒

F8、1/8000秒


自由作例

※サムネイル画像をクリックするとリサイズ・補正を行なっていない撮影写真(JPEG)が別ウィンドウで開きます。なお、記録画質は「JPEGラージ/ファイン」になります。

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:24mm、ISO100、F8、1/320秒、EV-0.3、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:32mm、ISO100、F5.6、1/810秒、EV+0.3、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:47mm、ISO100、F4.5、1/320秒、EV+0.7、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:24mm、ISO100、F5.6、1/30秒、EV0.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF70-200mm F2.8L IS II USM、焦点距離:70mm、ISO100、F6.3、1/160秒、EV0.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF70-200mm F2.8L IS II USM、焦点距離:130mm、ISO100、F3.5、1/1600秒、EV+0.3、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF50mm F1.2L USM、ISO100、F2、1/50秒、EV0.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:24mm、ISO200、F4、1/30秒、EV+0.3、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF70-200mm F2.8L IS II USM、焦点距離:110mm、ISO200、F5、1/100秒、EV0.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:24mm、ISO320、F8、1/40秒、EV0.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:風景、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF50mm F1.2L USM、ISO400、F4.5、1/160秒、EV+1.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF70-200mm F2.8L IS II USM、焦点距離:70mm、ISO500、F5.6、1/60秒、EV+0.7、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF50mm F1.2L USM、ISO640、F5.6、1/80秒、EV+0.7、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF70-200mm F2.8L IS II USM、焦点距離:200mm、ISO800、F8、1/160秒、EV+0.3、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF70-200mm F2.8L IS II USM、焦点距離:70mm、ISO1000、F5.6、1/60秒、EV+0.3、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF70-200mm F2.8L IS II USM、焦点距離:120mm、ISO1250、F5.6、1/100秒、EV+0.7、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:40mm、ISO1600、F5.6、1/40秒、EV0.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF50mm F1.2L USM、ISO2500、F6.3、1/80秒、EV0.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF50mm F1.2L USM、ISO3200、F4.5、1/250秒、EV-1.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:40mm、ISO4000、F5.6、1/30秒、EV-0.3、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF50mm F1.2L USM、ISO3200、F6.3、1/125秒、EV-0.7、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

レンズ:EF24-105mm F4L IS USM、焦点距離:28mm、ISO8000、F5.6、1/30秒、EV+1.0、測光:評価測光、ホワイトバランス:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、絞り優先AEモード

「EOS 5D Mark III」でJPEG撮影した作例を見ると、低感度時の画質は、正直なところ従来モデル「EOS 5D Mark II」とそれほど大きな差はないと感じる。使用するレンズにもよるのだろうが、ディテールの解像感については、「EOS 5D Mark II」から約3年後に登場したモデルであることを考慮すると、ややもの足りないと感じる場合もある(それだけ「EOS 5D Mark II」の画質の完成度が高かったことの裏付けでもある)。また、全体的に、「EOS 5D Mark II」とは少し趣の異なる描写になっている。「EOS 5D Mark III」は、どちらかというと、従来よりもJPEG撮影時の輪郭強調が強めに設定されているうえ、発色も強く、鮮やかな色味となる。「EOS 5D Mark II」の繊細な描写をベースに、よりメリハリ感のある絵作りになっているようだ。

気になる高感度時の画質については、間違いなく、従来よりも向上している。ISO3200程度まではノイズが気にならない画質を実現。ISO6400ではわずかにノイズが出てくるものの、気になるようなレベルではない。ISO12800だとノイズリダクションが強くなるものの、従来であれば、ISO6400程度の解像感はキープしている。高感度でも階調性をキープしているのもポイントだ。「高感度撮影時のノイズ低減」が「標準」(デフォルト設定)だと、ややディテールが潰れるきらいがあるものの、「EOS 5D Mark II」に比べて、高感度耐性は1段程度アップしており、ISO6400までは十分に常用できるレベルと評価したい。

なお、2012年4月5日現在、「EOS 5D Mark III」で撮影したRAWデータを、純正のRAW現像ツール「DPP ver3.11.10」を使って現像した際に、ピントがボケたような結果になる現象が発生しているが、キヤノンはこの現象を解消する「DPP」のアップデータを4月中旬に公開すると発表している。

感度は常用でISO100〜ISO25600。拡張でISO102400まで選択することができる。ISO50での撮影も可能

オート感度時の範囲とシャッタースピードの低速限界を設定することができる

「高感度撮影時のノイズ低減」は、「標準」「弱め」「強め」「しない」から効果を選択可能

「レンズ光学補正」は、従来の「周辺光量補正」に加えて、新たに「色収差補正」にも対応するようになった

「EOS」シリーズ伝統の色調整機能「ピクチャースタイル」を搭載

明るさ・コントラストを自動的に補正する「オートライティングオプティマイザ」と、ハイライト部分の白とびを軽減する「高輝度側・階調優先」も装備。なお、「高輝度側・階調優先」を「する」に設定すると、「オートライティングオプティマイザ」は自動的に「しない」に設定される



ページの先頭へ