新製品レポート - ニューモデルの詳細情報をいち早くチェック! -

約3年ぶりのリニューアルとなったA3インクジェット最上位モデル 

12色インクのモンスタープリンター キヤノン「PIXUS PRO-1」誕生

キヤノンは2012年1月17日、顔料インクを採用するA3ノビ対応のインクジェットプリンターの新モデル「PIXUS PRO-1」を発表(発売予定は6月)。主に、フォトグラファーやカメラマンなどのプロフェッショナル向けの製品となっているが、キヤノンが開発した新技術をふんだんに搭載しており、プリント品質が大きく向上した「フォトプリンターの最高峰モデル」に仕上がっている。直販価格は128,000円で、決して安価な製品ではないが、アマチュアの写真愛好家から見ても注目度の高い製品であることは間違いない。ここでは、実際のプリント画質など、キヤノンが開催した新製品内覧会で得た情報を交えながら、「PIXUS PRO-1」の特徴をレポートしよう。

「PIXUS PRO-1」のボディサイズは、695(幅)×462(奥行)×239(高さ)mm(トレイ類を含まず)で、重量は、何と約27.7kg! 大きくて重いプリンターとなっているが、シャシー上部・下部や紙送り補強部などの剛性をアップすることで、ボディの堅牢性が向上。安定したプリントを実現している

色域、階調性、黒再現性に加えて、光沢感も向上した12色インクシステムを採用

12色の新しいインクシステムを採用

「PIXUS PRO-1」は、2009年4月発売の「PIXUS Pro9500 Mark II」の上位モデルに位置する新製品。実に、3年近い歳月をかけて登場した、顔料インクジェットプリンターの新フラッグシップ機となっており、プリント画質に関する多くの点が刷新されている。なかでも、ハードウェア面でもっとも大きな進化を遂げているのがインクシステムだ。


「PIXUS PRO-1」では、新たに、クラス最高となる12色のインクシステムを採用(「PIXUS Pro9500 Mark II」は10色インクを採用)。「マットブラック」「フォトブラック」「ダークグレー」「グレー」「ライトグレー」「シアン」「マゼンタ」「イエロー」「フォトシアン」「フォトマゼンタ」「レッド」「クロマオプティマイザー」の12色となっており、色域と色安定性の向上を実現している。さらに、黒系インクも5色に増加したことで、階調性豊かなモノクロプリントを実現。特に、暗部の色域が拡大しており、より引き締まった黒を実現できるようになったのがポイントだ。

各インクカートリッジは、本体前面左右に装着する

また、この新しいインクシステムには、プリント表面の光沢感を整える無色の「クロマオプティマイザー」が追加されているも面白いトピック。具体的には、インクの上から「クロマオプティマイザー」を打つことで、表面を均一化し、インクの段差によって生じる光沢の不均一感を低減。これにより、光沢感の均一性を実現するという。さらに、プリント表面の反射量を抑えることで、黒が濃く、暗部が引き締まった画像が得られるのもポイント。プリントに写り込んだ蛍光灯の光がピンク色に反射して見える「ブロンズ現象」も抑制できるという。

なお、「PIXUS PRO-1」用の12色のインクカートリッジ(PGI-39)は、インク容量が従来比で約2.5倍に増加した大容量インクタンクを採用。タンク内部にかくはん板を設けることで、インクの沈降を防げるようになっている。各インクカートリッジの価格は、直販価格で2,590円。容量が増えているためインクカートリッジとしては高めの価格設定となっているが、新旧モデルでキヤノン測定の印刷コストを比較すると、L判フチなし(キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド)で「PIXUS PRO-1」が約22.9円、「PIXUS Pro9500 Mark II」が約24.5円、L判フチなし(キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード])で「PIXUS PRO-1」が約35.6円、「PIXUS Pro9500 Mark II」が約34.7円となっており、ランニングコストはほぼ変わらない結果となっている。

また、「PIXUS PRO-1」は、新しいインクシステムの採用にあわせて、プリントヘッドにインクをチューブで供給する「オフキャリッジインクタンクシステム」を採用。ヘッドも新規設計になっており、ノズル数が「PIXUS Pro9500 Mark II」の768ノズルから1024ノズルに向上。12色で計12228ノズルとなっている。プリント最高解像度は4800×2400dpi。インク滴サイズは全弾4pl。

左が従来のインクカートリッジで、右が「PIXUS PRO-1」用のインクカートリッジ。容量が約2.5倍にアップしている

チューブ供給方式の「オフキャリッジインクタンクシステム」を新採用

無数のインク組み合わせから最適なものを選ぶ「OIG System」

「PIXUS PRO-1」が備える新技術としては、多くのインクの中から最適な組み合わせを選ぶ「OIG System(Optimum Image Generating System)」も見逃せない。この「OIG System」は、色再現性、階調性、黒濃度、粒状性、光沢性などの要素を考慮して、用紙や印刷設定に最適なインクの組み合わせと、理想的なインクレイアウトを自動選択するというもの。ひとつの色を表現するために、無数にあるインクの組み合せの中から、もっとも適正な組み合せを決めて、用紙へのインク滴の配置を決定するという。用紙や設定によってインクの組み合わせを変える技術は、従来のインクジェットプリンターにも搭載されていたとは思うが、「OIG System」は、先に記述した複数の要素を高いレベルで満たす組み合わせを選択するのが大きな特徴となっている。

この「OIG System」は、実際にプリントしたものをフォトグラファーやプロカメラマンがチェックし、その結果をフィードバックするというテストを繰り返し、実際の見え方とのマッチングを考慮しながら開発されている。アナログ的な手法も用いて、色再現性、階調性、光沢均一性のレベルを高め、より高品位な写真画質を実現しているというわけだ。

このほか、「PIXUS PRO-1」の注目性能・機能としては、以下のものがあげられる。

・スキャン中にもインク吐出量を細かく制御する「リアルタイム駆動制御」を搭載
・入力解像度が従来の600ppiから1200ppiに向上
・従来モデルでは前面だった手差し給紙口が後トレイの後方に移動
・有線LANを搭載し、ネットワーク接続に対応
・キャリブレーションとICCプロファイル作成に対応する「Color Management Tool Pro」を同梱
・「Easy-PhotoPrint Pro」に、モノクロプリントの白とび抑制機能などを追加
・他社紙のドライバー対応、ICCプロファイル対応が拡大

後トレイの後方に、半切用紙や厚紙用の手差し給紙口を設置

「PIXUS PRO-1」の実際のプリント画質をレポート

「PIXUS PRO-1」の新製品内覧会では、同じ写真データを「PIXUS PRO-1」や、従来モデル「PIXUS Pro9500 Mark II」、他メーカーのハイエンド向けインクジェットプリンターでプリントしたものを比較チェックするデモが用意されていた。残念ながら、その様子を撮影することはできなかったが、他機種と比較チェックすることで、「PIXUS PRO-1」のプリント画質の特徴を知ることができたので、最後にレポートしておきたい。

内覧会には、人物、風景、モノクロなどさまざまな写真データのプリントが並べられていたが、いずれのプリントでも特に感心させられたのが、「PIXUS PRO-1」の光沢感のよさだ。先に紹介したように、「PIXUS PRO-1」は、12色インクシステムに無色の「クロマオプティマイザー」を採用しており、均一性の高い光沢感を実現している。その結果は、「PIXUS Pro9500 Mark II」などの他機種と比べると一目瞭然。他機種では、1枚のプリントの中で、光沢感があるところと、マットなところの差がハッキリとしているのだが、「PIXUS PRO-1」は、色や階調の違いでの光沢感の差が少なく、プリント全体で光沢感がそろっているのだ。いい意味で“顔料っぽさ”がない光沢感だと感じた次第だ。

また、カラープリントの色表現力も向上しており、特にレッド、マゼンタ、イエローの色域が拡大。これにより、より深い色が表現できるようになったのも特筆すべき点だ。さらに、モノクロプリントについても強い印象を持った。計5色の黒系インクや、「クロマオプティマイザー」の採用により、黒の表現力が大きく向上しており、実際のプリントでも、ハイライト部からシャドー部までなめらかな階調を実現しているのが確認できた。さらに、ポイントとなるのがハイライト部。薄いライトグレーなどの採用により、ハイライト部で発生しがちな、意図しない粒状感が大幅に低減できていた。

なお、「PIXUS PRO-1」は、2012年2月9日から12日の期間で、パシフィコ横浜にて開催されるカメラ・写真の総合展示会「CP+ 2012」のキヤノンブースに展示される予定となっている。興味のある方はぜひ「CP+ 2012」に足を運んで、そのプリント品質を確認してもらえればと思う。

取材・記事 価格comマガジン mkr

筆者は、フォトプリンターとして、2005年発売のやや古いモデルとなるエプソン「PX-5500」を使用しています。プリント画質(特にモノクロ)には十分満足しているので、「すぐに買い替える」というわけではないのですが、今回紹介した「PIXUS PRO-1」などの最新モデルの進化には目を見張るものがあります。



 

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