新製品レポート - ニューモデルの詳細情報をいち早くチェック! -

超個性派! 今もっとも人気を集める高級コンパクトデジカメ 

富士フイルム「FinePix X100」の人気の秘密を探る

富士フイルムのコンパクトデジカメ「FinePix」シリーズの最上位モデル「FinePix X100」

富士フイルム「FinePix X100」は、2011年3月5日の発売以降、注文が殺到し、1か月以上経過した現在(4月19日)でも生産が追いついていないという、高い人気を誇る高級コンパクトデジタルカメラ。あらゆるジャンルの製品の中で、今もっとも人気を集めているアイテムといっても過言ではない。市場想定価格は13万円前後となっており、コンパクトデジカメとしてはかなり高めの価格設定であるにも関わらず、ここまでの人気を集める理由は、どこにあるのだろうか? 実機を試用してみてのインプレッションをお届けしよう。

富士フイルム「FinePix X100」の主な特徴
・クラシックカメラのようなボディデザイン
・APS-Cサイズで1230万画素のCMOSセンサー
・光学ファインダーと電子ビューファインダーを切り替えられる独自の「ハイブリッドビューファインダー」
・開放F2の単焦点レンズ(焦点距離:35mm判換算35mm)
・PROVIAやVelviaを選択できる「フィルムシミュレーションモード」
・階調を豊かにするダイナミックレンジ拡大機能
・約46万ドット表示の2.8型液晶モニター
・1280×720ドットのハイビジョン動画撮影機能

クラシックカメラを髣髴させるボディデザインを採用

「最近のコンパクトデジタルカメラはどれも差がない。画一的でつまらない」
そんな声が聞こえてきそうなほど、最近のコンパクトデジカメは、個性を強く打ち出した“とがった”製品が減ってきているように感じていた。だが、2011年3月、そんなネガティブな意識を吹き飛ばしてくれる個性的な機種が登場した。それが、今回紹介する富士フイルム「FinePix X100」なのである。

“個性”という点で、「FinePix X100」が人気を集める最大の理由となっているのが、従来のデジタルカメラにはなかった、印象的なボディデザインを採用していることだ。フィルムカメラと見間違えるほどクラシックな雰囲気のデザインとなっており、先鋭的でシャープな印象の筐体が多いコンパクトデジカメの中では、いい意味で“異端”といえる存在感を放っている。そのフォルムからは、往年のレンジファインダーカメラを思い起こす方も多いことだろう。また、「こういったクラシックなデザインのデジタルカメラを待っていた」という方も、カメラマニアに限らず、カメラ初級者の方でも案外多いのではないだろうか。そのあたりの潜在的なニーズも、この機種が人気を集める要因となっているように思う。

また、「FinePix X100」は、ボディ天面と底面の素材にマグネシウム合金を採用し、コンパクトデジカメとしては重厚感のあるボディに仕上がっているのもポイント。約445g(付属バッテリー、メモリーカード含む)という“ちょうどいい重さ”のボディにまとめられており、ホールドすると、金属の塊を持っているような良質な質感を得ることができる。クラシックカメラのようなデザインと相まって、持っているだけでうれしくなるような、所有感を満たしてくれるカメラなのだ。13万円前後(市場想定価格)という価格を考慮すると、欲を言えば、背面のボタン(プラスチック製)など細かいところをもう少し作り込んでほしかったが、十分に高級感のあるボディに仕上がっている。

M型ライカなどのレンジファインダーカメラを思い起こさせるボディデザインを実現。ここまでクラシックさを強調したデザインを採用したことは、やや停滞感のあるデジタルカメラ市場において、話題性という意味でも大きな一石を投じたのは間違いない。やや懐古主義的なきらいがないわけではないが、富士フイルムがこのカメラにかけるこだわりを強く感じる。ボディサイズは126.5(幅)×74.4(高さ)×53.9(奥行)mmで、重量は約445g(付属バッテリー含む)

ボディを包む部分には、グリップ感や耐久性を考慮して、レザー調仕上げの合成皮革を採用

ボディ天面やレンズの金属部の質感は上々。ダイヤルやリング部などは、すべて金属からの削り出し加工となっている。なお、シャッターボタンは、市販のリモートレリーズを装着することが可能

ボディ天面の左側は、「FUJIFILM」や製品名などのロゴが彫られている。細かいところで高級感を演出

レンズは固定式で非沈胴タイプの単焦点レンズ(焦点距離は35mm判換算で35mm)を採用。かぶせ式のアルミ製キャップが付属する

OVFとEVFを切り替えて利用可能な「ハイブリッドビューファインダー」を実現

「FinePix X100」の性能・機能面で、カメラファンの方を中心に話題を集めているのが「ファインダー」だ。コンパクトデジタルカメラとしては、本格的な光学ファインダーを備えていること自体が珍しいのだが、「FinePix X100」は、スイッチ操作で、光学ファインダー(OVF)と電子ビューファインダー(EVF)を切り替えて利用できるという、従来にはなかった独自の「ハイブリッドビューファインダー」を実現しているのだ。被写体の動きをクリアに確認しながらタイムラグを少なくして撮影したい場合にはOVFを、ピントや露出、ホワイトバランス、被写界深度などの仕上がりを調整・確認しながら100%の視野率で正確にフレーミングしたい場合にはEVFを、といったようにシーンや被写体によって使い分けることができる。

しかも、OVFに、非常に興味深い技術を投入しているのも見逃せない。従来のレンジファインダーカメラのように、外部の光とプリズムを利用して撮影範囲を光学ファインダー内に表示する「採光式ブライトフレーム」の構造をベースにして、採光窓の部分に、電子ビューファインダー用の液晶パネル(約144万ドット)を配置しているのだ。これにより、外光を利用する「採光式ブライトフレーム」と比べて、よりクリアにブライトフレーム(撮影範囲を示す枠線)を表示できるだけでなく、シャッタースピード・露出などの撮影情報や格子線、電子水準器、ヒストグラムなどをOVF上に重ね合わせて表示できるようになっているのだ。

「ハイブリッドビューファインダー」はアイセンサーを備えており、目を近づけると自動的にファインダー表示に切り替わるようになっている。OVFの視度調整も可能

■OVF時のファインダー

ファインダー倍率0.5倍の逆ガリレオ式光学ファインダーを採用。高精度プリズムや高屈折ガラス、スーパーEBCコーティングを採用し、クリアで明るいファインダーを実現している。光学ファインダー上に各種情報が重なって表示されるのが非常に新鮮だ。ブライトフレームも非常にクリアに表示されている。また、表示する情報はカスタマイズも可能だ。なお、OVF時に利用できるAFエリアポイントは25点となる

■EVF時のファインダー

0.47型で約144万ドット表示の液晶パネルを採用。オリンパスのミラーレス一眼「PEN」シリーズ用の外部電子ビューファインダー「VF-2」と同等のパネルで、精細感のある表示となっている。なお、EVF利用時は液晶モニターでのモニタリング時と同様に、49点のAFエリアポイントを利用できる

「FinePix X100」の「ハイブリッドビューファインダー」を実際に使ってみて面白いと感じたのは、やはりOVFだ。ブライトフレームを含めてさまざまな情報が明るく表示されるOVFは今までにない感覚。ファインダーを覗きながら撮影していると、思わず笑みがこぼれてしまうほど面白かった。OVFの見え方がクリアなのも特筆すべき点で、ファインダーを覗いて撮影することの楽しさを再認識した次第だ。

さらに、ボディ前面のレバーで、OVFとEVFを瞬時に切り替えられるのも見逃せないポイント。しかも、OVFとEVFの切り替え操作に面白いギミックが用意されている。ボディ前面のレバースイッチを操作することで、OVFとEVFを切り替えられるようになっているのだが、このレバーが、まるでフィルムカメラのセルフタイマーレバーのような形状をしているのだ。このあたりの細かいところにマニア心をくすぐる“遊び”の部分があるのも、「FinePix X100」の魅力だと感じた。

セルフタイマーレバーのような形状のOVF/EVF切り替えレバー

一般的なコンパクトデジカメと同様に、ファインダーだけでなく、液晶モニターでのライブビュー表示にも対応。液晶モニターは約46万ドット表示の2.8型を採用する

ダイヤルとレバーを活用するマニュアル操作を採用。ただし、“難あり”な部分も…

「FinePix X100」は、そのフォルムからも想像できるように、マニュアルでの操作感を重視した仕様となっている。もっとも特徴的なのは、ダイヤルやリングをフル活用する操作性を取り入れていること。ボディ天面に、シャッタースピードを設定するダイヤルと、露出補正用のダイヤルを独立して備えるほか、レンズ周りには、絞り値を設定する絞りリングを装備している。

「FinePix X100」は、一般的なコンパクトデジカメのように、撮影モードを設定するモードダイヤルは用意されておらず、撮影モード(プログラムAE、絞り優先AE、シャッタースピード優先AE、マニュアルAE)の設定は、シャッタースピードダイヤルと絞りリングの両方を使って行うようになっている。シャッタースピードダイヤルと絞りリングの両方に、オートを意味する「A」という設定が用意されており、両方とも「A」に設定するとプログラムAEモードとなる仕組みとなっている。絞り優先AEモードとして撮影したい場合は、シャッタースピードダイヤルを「A」にした状態で、絞りリングで絞り値を決定すればよい。シャッタースピード優先AEモードの場合は、逆に絞りリングを「A」に設定して、シャッタースピードダイヤルで調整するといった具合だ。また、両方とも「A」以外に設定するとマニュアルAEモードとして撮影することができる。

「FinePix X100」のダイヤルとリングを活用したストイックな操作性は、古いフィルムカメラを扱っているような感覚で、カメラとしての操作感を存分に楽しめる。その点は面白い。ただ、実際の撮影においては、マニュアルAEモードからプログラムAEモードへ変更する際に、シャッタースピードダイヤルと絞りリングの両方を「A」の位置に戻さなければならないのが、正直なところやや面倒に感じた。ダイヤル・リングが「A」の位置になくても、ボタンを押すことで一時的にプログラムAEモードに切り替えられる機能が用意されていれば便利だと感じた次第だ。さらに、シャッタースピードダイヤル、絞りリングともに、設定可能な値が1段ステップになっており、細かく値を設定して撮影できないのも残念。特に、絞り値については1/3段ステップでの設定変更を行いたいところだ。

なお、マニュアルAEモード時には、背面のコマンドレバーを使って絞り値を、コマンドダイヤルでシャッタースピードを1/3段ステップで調整することが可能となっている。

シャッタースピードダイヤルと絞りリングを「A」に設定した状態。プログラムAEモードとなる

シャッタースピードダイヤルを「A」にして、絞りリングでF値を設定した状態。絞り値F5.6での絞り優先AEモードとなる

絞りリングは、親指と人差し指・中指を引っかけられる部分を装備しており、操作感は良好

マニュアルAEモード時は、背面のコマンドレバーで絞り値を1/3段ステップで調整できる

ボディ天面の右端に露出補正用のダイヤルを装備。右手親指での操作ができるのがポイント。設定した機能を呼び出せる「ファンクションボタン」も用意されている

「ファンクションボタン」には、被写界深度の確認や、感度、画像サイズなどの機能を割り当てることができる

また、「FinePix X100」の操作性では、背面のコマンドダイヤルの操作感にやや戸惑った。クリック感が少ないため、撮影時の細かい項目変更時にどうしても誤操作が多くなってしまったのだ。また、コマンドダイヤルの中央部にある「MENU/OKボタン」も微妙な感度となっており、プッシュするとコマンドダイヤルのほうが反応するということもあった。コマンドダイヤル周りの操作感は、決して“良い”とは評価できないところである。

また、設定メニューとして、撮影時に利用する機能を設定する「撮影メニュー」と、カメラの基本設定を行う「セットアップ」の2種類が用意されているが、いずれも項目が多く、複数ページにまたがるメニュー構造になっているのも、やや煩雑で扱いにくい印象を受けた。

さらに、撮影中に再生モードに切り替えたり、電源をオフにすると、いくつかの設定項目がリセットされてしまうのも気になった。特に、都度都度、ブラケット撮影の設定がオフになってしまうのには、正直なところストレスを感じてしまった。ファームウェアのアップデートで対応が可能であれば、モード切り替えや電源オフ時でも撮影設定をキープする機能を追加してほしいところだ。

クルクルと回すことでメニュー項目を移動できるコマンドダイヤルを装備。上下左右のプッシュ操作にも対応している。クリック感が弱いのが難点

設定メニューとして「撮影メニュー」と「セットアップ」を用意。項目が多いため複数ページ構成となっており、やや扱いにくい印象を受けた

やや厳しい評価が多くなってしまったが、このほかの操作性では、コンパクトデジカメとしては珍しく、液晶モニターの左側にAE選択ボタンとAF選択ボタンを独立して備えているのはポイントが高い。測光モード(マルチ、スポット、アベレージ)とオートフォーカスエリアの切り替え・選択をダイレクトに行うことができるのだ。また、マニュアルフォーカスでの撮影時において、液晶モニター右側のAFL/AELボタンを押すことで、一時的にオートフォーカスを利用できるようになるのも便利だと感じた。

独立したAE選択ボタン、AF選択ボタンを装備。プッシュすることで測光モードとオートフォーカスエリアを設定することができる

AFL/AELロックボタンは、ピントと露出をロックする機能としてだけでなく、マニュアルフォーカス時にオートフォーカスボタンとしても利用することができる

「FinePix X100」は、オートフォーカス方式に、他のコンパクトデジカメやミラーレス一眼など同様に、コントラストAF方式を採用。オートフォーカスの合焦速度・精度については十分な性能となっており、撮影時に大きなストレスは感じなかった。また、オートフォーカスモードとして、AF-S(シングルAF)とAF-C(コンティニュアスAF)の利用が可能。ボディ左側面のスイッチでモードを選択することができる。なお、オートフォーカスエリアは49点に対応する(OVF時は25点対応)

カメラの電源を一度オフにしてから再度オンにする際に、約0.7秒で起動できる「クイック起動モード」を装備。なお、通常の起動時間は約2.2秒となっている

フォーカスリングの回転方法を設定することも可能

※価格.com最安価格は2011年4月19日現在のものです

ページの先頭へ