連載 - ライター・編集部員による定期連載 -

小寺信良のGadget 2 Go! 第40回 

地味ながら使いやすいWEBカメラ、ロジクール「C910」

最近Ustreamの放送を頼まれる機会が多くなった。出演してくれ、という話もそうだが、放送してくれ、というスタッフとしてのリクエストもなぜか多いのである。

本格的な中継システムを構築することもやぶさかではないのだが、そうなると機材の量も大変だしスタッフも必要になるしで、ちゃんとやろうとすると技術スタッフで5人ぐらいは必要になる。そこまでの予算を確保して話を持ってくるなら別だが、どうも巷ではUstream放送というのを簡単に考えているらしく、あれ、一人でやるんじゃないんですか?的な考えの主催者も多い。

ひとりでそれなりの放送をやることを考えると、コンパクトな中継システムを作る必要がある。そういう時に筆者が愛用しているのが、ロジクールのWEBカメラだ。

WEBカメラの世界では、実はロジクールは相当の老舗である。昔、米国にConnectixという会社があったのをご記憶の方はあまりいらっしゃらないかもしれない。往年のMacユーザーであれば、「RAM Doublerの会社」と言えば、膝を打つ人もあるだろう。RAM Doublerは、まだメモリーが高価だった時代に、今で言う仮想記憶をMac上で実現したソフトウェアである。このConnectix社が94年にハードウェア製品として出したのが、Macのシリアルポートに直結するQuick Camという小型のカメラだった。当初はモノクロのカメラだったが、96年にはカラーのカメラも発売した。

今はConnectixという会社はすでにないが、98年にこのQuick Camの資産を引き継いだのが、ロジクール(海外ではLogitech)なのである。ロジクールの目玉型のカメラにQCamの名前が付いているのは、その名残だ。

コンパクト中継セットには欠かせないカメラ

最近までロジクールWEBカメラの最上位機種はWebcam Pro 9000というモデルだったが、この夏に発売されたC910というのが最上位機種となった。レンズはカールツァイス・テッサーを採用という点は変わらないが、撮像素子を一新して1080pでの撮影ができるようになった。

新シリーズの最上位モデル、C910

Ustream放送では回線速度の都合もあり、HD解像度までは必要ないが、電子ズームで4倍まで寄ることができる。このとき、元の解像度が高いほうが有利だ。なにせそのままでは単焦点なので、設置場所が自由にならない現場では、なんとか電子ズームで画角を決めるしかないのだ。

スタンドで自立するほか、液晶モニタにも取り付け可能

実際に放送で使ってみると、C910はマイクの性能がいい。ステレオマイクがウリとなっているが、モノラルで使っても前方への指向性が高く、集音しやすい。講演や勉強会など人のしゃべりのときは、普通のビデオカメラの内蔵マイクよりも綺麗に集音できる。

ただカメラコントロール機能の一部として搭載されている「Right Sound」は、使わないほうがいいだろう。環境ノイズを低減するという機能だが、これをONにすると本来欲しい音にまで妙な影響が出る。これはさらなる改善を望みたいところである。

「Right Sound」はまだ改良の余地がある

現在筆者のコンパクト放送セットは、人物フォロー用にIEEE1394接続のHDVカメラ1台、全景撮影と集音用にC910、手元資料撮影ほか汎用としてWebcam Pro 9000という3カメを、Ustream Producer Proで切り替えている。

あとはカメラを固定するためにケータイスタンドとミニ三脚、HDVカメラ用に軽量三脚を1台持っていく程度で、ショルダーバッグに一式収まるサイズだ。

中継を一人でやるということはテレビの常識では考えられないことだが、全部のセットがバッグ一つに収まるというのもまたすごいことである。やろうと思えばいくらでも上があることを知っている筆者でも、費用対効果を考えると、高性能なWEBカメラはまことに便利なシロモノである。

※価格.com最安価格は2010年10月20日現在のものです

ライター/小寺信良

AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITといったメディアを独自の視点で分析するコラムで人気を博す。主な連載は、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」ITmedia +D LifeStyleなど。

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