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最新デジタル&家電用語解説 裏面照射型CMOSセンサー編 

裏面照射型CMOSイメージセンサーが注目される理由とは?

裏面照射型CMOSイメージセンサーとは?

ソニー1/2.4型裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R(エクスモア アール)」

「裏面(りめん)照射型CMOSイメージセンサー」(BSI:Back-side Illumination)とは、デジタルカメラやビデオカメラに使用される画素センサーの一形式だ。2008年6月にソニーが詳細を発表し、2009年2月に同社から、「Exmor R」という名前で、デジタルビデオカメラ「HDR-XR520V」および「HDR-XR500V」に搭載されたのを皮切りに、同社のデジタルカメラ/ビデオカメラに搭載され始め、今やその特徴のひとつとなっている。その後、各メーカーでもこのセンサーの採用が進み、カシオやリコー、富士フイルムのデジタルカメラや、ビクターのビデオカメラなどでも採用されている。また、ソニーに続き、東芝セミコンダクターも2010年第3四半期より裏面照射型CMOSイメージセンサーの量産を開始する。現在注目を集めるデジタルカメラ・ビデオカメラのキーとなる技術だ。

光をより効率的に取り込むことで、感度が大きくアップ

通常のCMOSセンサーの断面を横から見ると、上からオンチップレンズ、カラーフィルター、配線、受光面、フォトダイオード、という配列の層になっている。だが裏面照射型CMOSイメージセンサーは、上からオンチップレンズ、カラーフィルターまでは同じだが、次が受光面、フォトダイオード、最下層が配線という順番になっており、配線とフォトダイオードの位置が入れ替わっている。ちょうど通常のCMOSイメージセンサーをひっくり返した構造といえるので、「裏面照射型」と呼ばれる。


では、裏面照射型CMOSイメージセンサーのメリットは何だろう? 裏面照射型CMOSイメージセンサーは、画素センサーであるフォトダイオードの上に、光の進入を妨げるものがないので、光をより効率的にとらえることができる。そのため感度が上がり、暗いところでも鮮明な画像を得ることができるほか、シャッタースピードを短くすることもできるので、手ブレや被写体ブレといった失敗写真を減らすこともできる。カメラに詳しい人はもちろん、カメラに詳しくない人にも広くそのメリットを享受できる技術なのだ。その感度特性は、ソニーの裏面照射型CMOSイメージセンサーでは感度で6dB向上し、ノイズは2dB削減できる。S/N比で比較するなら8dBもの感度性能の向上を計ることができ、従来比2倍の感度性能を実現しているという。

従来のCMOSセンサー「表面照射型」と「裏面照射型」の断面図を模式化したもの。表面照射型では、光を感知するフォトダイオードの上に配線の備わる基板が乗っかっているが、「裏面照射型」ではフォトダイオードと基板の位置がひっくり返っており、光をより多く取り込める

今までなぜ実現できなかったのか?

光をさえぎる構造物を裏面に移動するという発想は素人にも非常にわかりやすい。だが、逆に言えばなぜ効率の悪い従来型の表面照射型CMOSイメージセンサーが使われていたのだろうか? その理由は製造技術と製造コストにある。裏面照射型は通常の表面照射型と比較して、その構造や工程に起因したノイズ、暗電流、欠陥画素、混色など、イメージセンサーの画質低下につながる課題が発生し、S/N比を低下させるという欠点があった。これらを解決するためには非常に高いコストがかかるため、大量生産は行われず、天体望遠鏡などの学術研究用や、産業用などのカスタムメイドによる高価格・高性能な製品で使われるにとどまっていた。


だが、新世代の裏面照射型CMOSセンサーでは、新開発のフォトダイオード構造とオンチップレンズを搭載することでコストを大幅に削減でき、また、新開発の高精度な重ね合わせを実現する技術を採用することで、混色の課題も克服している。このようにして、民生用品にまで搭載できる価格と使い勝手を持った製品として大量生産されるようになったのだ。

小型のイメージセンサーに適する

現在のところ、裏面照射型CMOSイメージセンサーは、コンパクトデジタルカメラや、ビデオカメラなどの比較的面積の小さなCMOSセンサーのみに使われており、デジタル一眼レフカメラのような大型CMOSセンサーには使われていない。ユーザーが一層の高画質を求めるデジタル一眼レフカメラに導入されないのはなぜだろう?


デジタル一眼レフカメラに使われるAPS-C規格は横幅23.6×高さ15.8mmで、コンパクトデジタルカメラに搭載されるCMOSイメージセンサより圧倒的に大きいが、画素数はさほど変わらない。この差は、画素センサー1個1個の表面積の違いとして表れ、同じ画素数で比べると10倍程度の表面積の違いがある。そのため、大型のCMOSセンサーでは、配線による光の取り込みへの影響が相対的に小さくすむ。あえて、コストのかかる裏面照射型CMOSイメージセンサーを搭載しても、さほどメリットが出ないということだ。逆に言えば、小型のイメージセンサーであるほど、裏面照射型の利点を生かしやすい。


とあるメーカーの、ビデオカメラ開発者の言葉を借りれば「将来的にはあらゆる家庭用ビデオカメラは、裏面照射型になるべき」というように、裏面照射型CMOSイメージセンサーは、カメラやビデオにとって大きなブレークスルー技術となるだろう。搭載商品も確実に増えてきており、すでに現時点では商品選びの有力な指標となっている。また、東芝が裏面照射型のモバイル用CMOSセンサーを発表しているので、携帯電話で搭載されるモデルも今年中に登場すると見込まれる。裏面照射型CMOSイメージセンサーは、携帯電話においても有望な技術なのだ。

裏面照射型CMOSイメージセンサー搭載のデジタルカメラ・ビデオカメラ春モデル


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